私が行っている福祉センターの歌声サークルは、毎月、第1・第3の火曜日が練習日だ。
8月の2回目の練習日はお盆と重なったので、最終週の29日(火)が、代わりの練習日になった。
私は決してうまくはないけれど、みんなと声を合わせて歌うのはとても楽しいし、気分もスカッとする。
そこで私はその日の練習を楽しみにしていた。
そのためということではないけれど、その日の朝は5時ごろには起きていろんな雑事をしていた。NHKのテレビをつけたまま。
6時前後、テレビがただならぬ雰囲気で、北朝鮮がミサイルを発射したニュースを放映し始めた。
(上は、その日の毎日新聞の夕刊)
今回は、ミサイルが日本列島の上空を通過したということもあって、アナウンサーの声も緊迫の度を増している。
そして、総理大臣を初めとして、関係する政治家などが厳しい顔で画面に登場してきて、北朝鮮がいかに無謀で許せないこと
をしたかを、力説する。(そんなこと、言われなくてもよく分かっている!)
そして、自分たちは国民を守るために同盟国などと協力してあらゆる努力をすることを強調し、国民にも最大の注意を喚起
する。
そうして、同じような画面が何度も何度も、繰り返し繰り返し、放映された。
それは、日本の平和な朝の、ある意味象徴でもある、「ひよっこ」の放映時間になっても続いた。
私は、だんだん腹が立ってきた。
それは単に、私が毎朝楽しみにしている「ひよっこ」の放送が無くなったからではない。
ほとんど変わり映えのしない画面と音声が何かヒステリックな感じで流されるのを見聞きしていると、私は、注意を喚起されて
いるというより、<脅し>を掛けられているような気がしてきたのだ。
「日本は北朝鮮によってこれだけ危ない目にあっているのだ。日本国民たる者、きちんとそれに対抗する道を考えなければな
らない!」と。
そしてそれは、方向を誤ると、かつて日本が戦争に突き進んだ時と同じような、危険な状態をも起こしかねないのだ。
(しかも今回は、核戦争という地球全滅の危機もはらんでいる。)
私はかろうじて空襲警報を直接聞いたことのない世代に属するけれど、それまでテレビで見聞きしてきた空襲警報が、その時、
私の頭上で実際に鳴っているような感覚・恐怖に襲われた。
それ程、NHKで流された画面と音声は、今の事態を収拾する方策を真剣に探ろうという冷静さを失った、ヒステリックなものに
思えた。
これは、私の過敏すぎる、或いは偏った考えの為せる業だろうか?
私は我慢できなくなって、チャンネルを6に変えた。
すると、そこでも話題はミサイルのことではあったが、NHKと違って、コメンテーターの方々がいろんな角度から、今後どうすべ
きかを真剣に話し合われていた。
私はそれを聞いて、ホッと息をついた。
(それから2・3日経った昨日、「日本が軍事費を大幅にアップしたことを、アメリカ筋も驚きを持ってみている」とテレビが報じて
いた。日本の今後に対する危惧は、深まるばかりだ。)
そんなこんなで、せっかくのコーラスなのに、少し水をさされた感じはあったものの、私はやっぱり時間通り、Iさんと一緒に福祉
センターに行った。
そして、それなりに楽しく歌ってきた。
帰り道、Iさんと私がよく行く、安全で美味しい商品を売っている小さなお店に寄った。
そこでお店の方が、「おいしい白いトウモロコシがあるよ!」と言われた。
「へえ~! 白いトウモロコシ!!」
白いトウモロコシを実際には見たことがない私が興味を示すと、「ナマで食べてね。」と言われる。
「ナマで食べるんですか!」 (何にもしないで食べられるなんて最高!とズボラな私はますます興味深々。)
「じゃあ、皮をむいて洗って、そのまま食べたらいいんですね!」
そう言った私に、Iさんとお店の方が驚いて同時に言われた。
「トウモロコシは洗って食べるものではないよ!そのまま食べるの!」
それまで、トウモロコシを洗ってから焼いたり蒸したりして食べていた私は、ここでも自分の常識の無さを知って恥ずかしかった。
でもそんなことは、気にしない、気にしない!
家に帰って半分だけ皮をむいて、中から、きちんと整列したまっ白いトウモロコシの粒が本当に出てきたとき、私は感動した。
そして、そのままかじったトウモロコシの、ジューシーで甘かったことと言ったら!
この日は、トウモロコシについて、新しい発見の日でもありました。
この日の夜、久しぶりにベランダから空を見ると、上弦の半月がビルの上に出ていた。
そう言えば最近、月を見ることがなかった。
ビルの上の月では何とも味わいがないけれど、久しぶりなのでカメラを持ってきて撮った。