ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆の国市・子ども創作能始動!~付・カヌー乗ってきました(その2)

2010-07-27 01:25:52 | 能楽
さて先日は子ども創作能のお役を決めたのですが、まずは台本の内容の説明をし、それぞれの役の特長などを話し、見どころの型があればそれも説明して、子どもたちに演じたい役割を決めさせます。ここでは最上級生の6年生が主役級の役、5年生がそれに準ずる立ち方の役を演じる、と決めてはいますが、それ以上 ぬえの方から あれこれと誘導したり、指図したりする事は一切せずに、公平に役を決めさせることにしています。あの子が去年よく出来たから主役をやらせようなどということはしませんで、まず役ごとに希望者に挙手させ、希望者がかぶったら、ここは ジャンケンで決めさせています。

以前は「手を挙げられない子もいるのだから、挙手ではなく記名投票にしてほしい」と、そっと実行委員を通じて ぬえに申し入れをしてきたお母さんもありましたが、そんなの、ぬえは当然 却下です! みんなの前で手を挙げてハッキリ自分の意思も述べられない子が、本番の舞台で重要な役を勤められるはずがない。役を決めるのは子どもたちに任せるけれども、いざ役を手にしたからには、それを勤める責任ということを学ばせるのが ぬえの考えでもあります。

とは言え、ジャンケンで決める役は悲喜こもごも~。仲良し同士で「この役を一緒にやろうよ!」と話し合っていた子が、ジャンケンの結果、別れ別れになってしまったり… でも決まってしまえば、いつまでもくよくよしている子はありませんけれどもね~。

そんなこんなで役を決め、稽古スケジュールを確認させ、台本を読み、簡単な動作の作法や、立ち方には基本の型を教えて第1回の稽古は終わりました。そんで、この日の稽古では翌週にある地元のイベント「カヌーフェスティバル」への参加を呼び掛けてみました。

中伊豆には狩野川という大きな川が貫いているのですが、この川でカヌーに乗ってみる、というイベントが、ちょうど行われていたのです。こういうイベント、大概地元の人はほとんど知らないものですよねえ。ましてや自分たちが住む街の中を流れる川に舟(カヌー)に乗って浮かんでしまおう、なんて企画ですから、これはみなさんちょっと体験したことがないでしょう。しかも今回のイベントでは、通常1~2名乗りのカヌーとは別に、巨大な10人乗りカヌーというものがあって、1人1回200円でこれに乗せてもらえる、というのです。これは子どもたちと一緒に参加するしかないでしょう。

まあ…初顔合わせのときに呼び掛けて、その1週間後に行われるイベントに出かけよう! というのですから、ほとんど誰も手を挙げないかなあ、と諦めてはいたのですが、なんと「行く! 行く~!」と子どもたちも次々に参加表明をしてくれまして、保護者も入れて総勢13名という大所帯が集まることになりました。

ライフジャケットを着、実行委員の方に誘導されてカヌーに乗り込み、岸から離れると、みんなでオールを漕いで進みます。流れに逆らって上流に向かって進むのですが、意外にスムーズに進みます。しばらくして川の中州で休憩し、この猛暑ですからみんな膝まで川につかって遊びます。見ればなにかの魚の稚魚がたくさん岸辺近くに群れています。これを見た子どもたちがまた大騒ぎ。

ところが、水の中をじ~っと見つめていたアリサ(6年)がいきなり両手でガバッと水をすくったかと思うと…「捕れたよ~」 …(゜_゜;) あなた、素手で魚を捕まえられるのですか…

スゴ過ぎるぞ! 伊豆の子どもたち。