Pieces of My Life♪ ニューヨーク近郊の暮らし

子育て専業主婦から脱出!ニューヨークで医療従事者しながらコロンビア大学大学院在籍。ニューヨークのお弁当も頻繁に更新中。

反省中(自閉症患者への対応)

2021-01-14 | 大学・仕事

う~ん…。
なんて言葉で書き表したらいいんだろう…。
とにかくショックでね、
眠れなかったのです。

私が診察する障害者の患者さんは、
子供から大人まで診ますけど、
人種の割合でいうなら、
今のところアジア系は1割満たない感じ。

ほぼ、白人、黒人、南米系。
7割が重度な障害があって、
ヘルパーっていうのかな?
(エイド?パラ?ケアギバー?いろいろ呼び方があるのです。)
付き添いの人が必ず一緒に来るんです。

私が初めて担当することになったアジア系の男性は、
20代後半。
先週が初顔合わせだった。
パッと見は普通な寡黙な男性といったイメージだけど、
結構重い自閉症と学習障害がある人。

過去のカルテを読んでも、
「レントゲン撮影不可能」「治療困難」
という記載が目に付いて、
難しいのかもな…と覚悟して会った。

けど、だいたい初対面でわかるんだ。
「いける」か「いけないか」。

「上手く波長が合うか、合わないか」
という感覚。

恋愛のビビビッという感覚以上に分かる、
変な特殊能力(笑)。
「信じられないくらい障害者と打ち解けるのが早い!」と、
歯科医師からも看護師からも絶賛されているんです。
(が、調子に乗ってたら失敗するから気を付けよう…)

「はじめまして。これから担当するハイジニストのユウコです。」
と挨拶後、

「上着脱ごうか」
「マスク、耳から外してもらえるかな」
などという質問には、
ちゃんと理解してサッサと対応できていた。

ただ、絶対に言葉は発しないし、声は出さない。

私と目も合わせられないんだけど、
私が診療中は、じーっと私の顔を見ているのは分かった。

歯を無意識に凄い食いしばるので、
奥歯が割れてる。
頬筋はガッチガチだし。
口を開けても、3秒後には食いしばっちゃう。

脱感作療法後
(私の独学でのやり方なので、
ちゃんとした方法を学びたい。)

口腔内半分のディープクリーニングを修了し、
来週残りの半分と、歯周病検査を。
ということで、
今週も嫌がることなく来院。

待合室で診察の順番を待っている彼は
障害なんて感じさせない。
長身で、ロングのコート着て。

彼の名前を呼び、
(アメリカでは医院内で苗字は呼ぶことは
プライバシーの問題で禁止されています)、
診察室に入る前に、
コロナウイルス対策の一環として、
トイレに行って、
過酸化水素水の入った洗口剤で洗口してもらうのですが、
トイレに誰か入っていて鍵がかかっていました。

暫く彼と一緒にトイレの外で待っていたのだけど、
なかなかトイレから出てこないので、
じゃあ、
「コップの中のうがい薬でうがいして、
またコップに吐き戻して。そのまま捨てちゃうから。」
と言うと、

これが理解できなかったんだな…。

コップ内に上手く吐き戻せず、
彼の手とコートと床に半分吐き出してしまい、
慌てた瞬間に、コップに吐き出した洗口剤、
また口に戻しちゃった。

ここから、清掃員に床も掃除してもらわなきゃいけないし、
コロナで他人の唾液とかすごい敏感なときに、
待合室でこんなことになっちゃった。

あっちゃ~、難しかったか~。
と思った瞬間、
今まで居眠りしてた付き添いの男(南米系)が
すごい剣幕で駆け寄ってきた。

っていうか、あんた今まで何してたんだよ!
とも思ったけど。

その付き添いの男が大声で私に、
「何やってくれてるんだよ?!
コイツは言ってもわかんね~んだよ。
あんた知らね~の?」
って言うので、

「ごめんなさい。
でも大したことないので大丈夫です。
診療室に行って、
服を拭きましょう。」
と患者を誘導、
もちろん、
付き添い人は診療中もずっと付き添っていないといけないので
一緒に入って来るわけです。

するとこの付き添い人、
患者の目の前で、私に
「あんた、どういう患者診るか分かってんの?
こいつらCoo Coo(クークー)なんだよ!」
(クレイジーのスラング)
と、
頭がイカレテいる人に向かってするジェスチャーまでして、
私に説明してきた。
患者の目の前で。

私、カ~~っと血が上って、
この付き添い人の顔、平手打ちして、
「お前がCoo Cooだよ!」と言いたかったけど、
自分の感情を抑え、
「彼はCoo Cooではありません。」
と言ったけど、
その後1時間の治療中、
彼に申し訳なくて胸が痛かった。
(付き添い人はずっと居眠り)

涙が出て、歯がよく見えなかった。
(それは大問題!)

彼は「Coo Coo」の意味を分かっていると思ったし、
自分が上手くうがいが出来なかったことに
落ち込んでいると、
伝わってきた。

うがい薬を口に含んで、
またコップに吐き出す。
という行動、

よく考えたら、一般の人でも
一瞬「ん?」となる行動かもしれない。
普段しないもんね、そんなこと。

それを当たり前に要求した私が悪かったと思った。
けど、理解出来る人だと思い込んでた。
まあ、その思い込みが間違いだったわけだけど…。

彼は言語じゃなく、
視覚認知のほうが理解しやすいだろうから、
私が一度やって見せてあげるのが良いんだろうな。
けど、このコロナ禍で、
マスクを外すなんてもっての外だしな…。
などなど、後から後から込み上げてくる思い。

「大丈夫。あなたは何にも悪くない。
ごめんね、難しいこと言って。
あなたはちゃんと出来てたよ。」
と彼に言った。

どれだけ言葉が理解できるのかは分からないけれど、
”伝わってる”
という感覚はある。

その後はずっと気分が重くてね…。
私の言った「うがいの仕方」が切っ掛けで、
彼に不快な思いをさせることになった。
とか、

付き添い人は、
毎日あんな風に接しているんだろうか?
とか、

障害者を見下しているような人が、
なんで障害者の付き添いの仕事してるんだ?
とか、

患者がアジア人だから、
あんな風に接するんだろうか?
とか、

馬鹿にされるような言葉を、
子供の頃からずっと聞いて育ってきたんだろうか?
とか…。

やっぱり、同じ系統の人種同士のほうが、
サポートしやすいのかな?
とか、

数日間引きずっちゃうんだよね、私…。

私は、障害者のための歯科衛生士になると決めたんだから、
彼らの口腔衛生管理はもちろんだけど、
歯科医院に来たら、
「自分は出来る!」というちょっとした自信とか
達成感を得てもらいたいなぁと思うんだ。

障害者の人(特に自閉症患者)にとって
「歯科医院」って、もの凄く苦手な場所の人が多いから、
(音、臭い、鋭利な器具)
それが「平気な場所」になれば、
彼らの人生が少し明るい方向へ変わるかもしれないし。
という期待もあってね。
彼らの口腔衛生上、
1年に4~5回は来院してもらうのが理想。
苦手な歯科医院に年4~5回って、
結構な回数だと思うんだ…。

ヘアカットや、まつエクに
2カ月半から3か月毎に行ってた、
その間隔だもん。
もうガッツリ人生に関わっちゃうくらいの頻度だもん。

そのためには、
まだまだ障害者歯科治療に関する、
勉強もスキルも全然足りない…。

頑張んなきゃな…。

コメント
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