どうやらあまりにも入園希望者が多いため面接を実施するようになったようです.
先ず早く申請した順に選ばれ,その書類選考.
その後面接でした.
ギフテッド&タレンティッド(英才教育)の幼稚園ではなく,
ごくごく普通の幼稚園(のはず)でして,
「社会性」をみる面接だということでしたので,
問題行動のある子かどうかを専門化が見るんだろうと思い,
何の準備もしていませんでした.
面接当日は息子に,
私:「今から学校に行くからね.新しいお友達と,仲良く遊べるかどうか,先生が見るから,
デヴィはいつものように遊べばいいからね.」
とだけ伝えておきました.
けれど,緊張感の張り詰めた室内….
その異様な雰囲気に,親の私のほうが緊張.
ブロックやパズル,クレヨンと画用紙,粘土などが準備され,
数人の子供と一緒に部屋に入れられました.
親達は一緒に中に入るのですが壁側にズラッと並んでいました.
本来なら1面接につき6~7人の子供と一緒に遊ばせ様子をみるはずだったようですが,
面接初日だったため,
日時を変更した子や,遅れてきた子,到着と同時に眠ってしまい参加できなかった子など数人いて,
結局うちの息子を入れて子供は4人のみ.
教室の広さからいうと,和気藹々と遊ぶには少な過ぎる人数でした.
子供達が一緒に遊ぶような雰囲気は全くない感じ.
よく言えば繊細,悪く言えば神経質な私の息子は,
その雰囲気の違いや,母親の緊張感を即察知.
借りてきた猫のように大人しくなってしまいました.
面接官は,園の一番豪い先生(とはいえ若い),心理療法士,アシスタント.
各自,子供の名前が記入されている用紙をバインダーに挟み,
気が付いたことを書き込んでいくというやり方です.
ブロックは,知育系のものですが,
息子は遊んだことのないタイプのもので,
そのブロックを触っていると,
「名前は?」「年齢は?」「何を作っているの?」
「ブルーのブロックはどれ?」「タイヤにはどのピースがいいと思う?」など
まあ普通なことを尋ねていっています(もちろん英語オンリーです).
普段は誰彼構わずベラベラ喋り,
尋ねられてもないのに,「僕,Almost Three!(僕もうすぐ3歳!)」
なんて言ってる息子なのに,
「デヴィッド」と小声で名前だけは答えたものの,
あとは,「喋っていいの?」って表情で私の様子を窺うだけで全く答えず,
「あっちゃ~」と思いつつ様子を見ていた私でしたが,
とうとう我慢しきれなくなり,
「デヴィ,何やってんの?!
いっつもみたいに遠慮なく喋りなさい!」と外野から野次を飛ばしてしまいました.
が,うん,とこっくり頷いただけでその後も全く同じ状態の息子.
ツカツカと面接官が私のところにやって来て,
「大人しい息子さんのようですが,おうちでは日本語だけで話されているんですよね?」
と断定的に,しかも残念そうに尋ねてきました.
この際,「はいそうです!」と言ってしまったほうがメリットがあるのか?どうなのか?
と,一瞬考えた私は,
「はい,日本語オンリーです…」
と言ってしまった後に,やっぱり嘘を吐ききれず首を傾げてしまいました.
面接官,息子の用紙に書き込んでる,書き込んでる….
何だろう?「母親の発言に問題あり」とかだろうか?
正直,うちの息子は日本語よりも英語のほうをよく発するので,
私は意識的に日本語を話すよう心掛けたのが数ヶ月前.
それが仇となった…と愕然としました.
私:「いや,こんなに大人しい息子を見るのは初めてなんです.
いつもは煩いくらい喋る子なんですけど,なんか緊張しているみたいで…」
と言ってはみたものの,今となっては単なる悪足掻き.
面接官も「分かってますよ~」なんて言いつつ苦笑い.
その後粘土コーナーに座った息子.
早速、面接官が丸めた粘土を平らにし,
「はい,これはピザね.8等分にカットしてみて?」と子供達に聞いていました.
8等分?!
そんなこと,入園する前の子はもう理解していないといけないの?!
だ~れもできないっしょう?そんなこと!
なんて思っていると,
発表会にでも行くかのような綺麗なパープルドレスを着ていた女の子,
なんと8等分にカットするのです!
ええ~~~っ!!
これ,何の学校?何の面接?
普通の幼稚園でこんなにハードル高いの~?!
と,いよいよアタフタしだした私.
うちの息子はもちろんそんなことできるわけでもなく,
ぼ~っとその女の子の様子をみてました.
すると今度は面接官,粘土を丸め,
「これはクッキー生地よ.さあ,クッキーを作りましょう.スマイリーフェイスのクッキーを作ってみて!」
と言うのです.
ああ,それも無理だわ.
だって,クッキーとか嫌いだもん.
クッキー生地なんて見たこともないよ.
それに,スマイリーフェイス?
こっちはスマイってる気分じゃね~よ!
と思っていると,
息子の横に座っていた男の子,
なんとスマイリーフェイスを盛り付けたのです!
もう,ひょえ~~(驚)!!でした.
面接官が我が息子に
「デヴィッド,○○の作ったスマイリーフェイスを見てごらん.上手に作れているでしょう?」
なんて言ってると,
息子,丸めた粘土をコロコロコロっと机の上を転がしました.
すると,面接官が「転がすものじゃありません!」というオーラを放ちながら,
パッとその粘土を止めたのでした.
その瞬間息子,小声で「おにぎりコロリン(おむすびころりん)」
と日本昔話を言ったのですが,
残念ながらそんなことアメリカンの面接官に分かってもらえるわけもない….
ああ,もう面接官に訳す気力もない私.
穴があったら入りたい….
と,立っているのも辛くなった私は(産後2週間とかだったのですが),
児童が座る低~い椅子を自分に引き寄せ座り,
他の親御さんの後ろに身を隠すように座ったのでした.
すると息子が「・・・・」
何やらまた小声で言っています.
面接官が「何?」と尋ねると,やや大きめの声で
息子:「Mammy is hiding from me!」
と私を指差して笑いました.
その瞬間,その面接官も,他の面接官も,
うちの子が喋ったことに驚いたのか,
英語を話したことに驚いたのか,
笑顔になったことに驚いたのか分かりませんが,
ハッとした顔で息子を見て何やら記録しておりました.
面接が終了し,
皆帰るとき,
うちの息子だけが聞き分けなく泣き始めました.
「Not going home!No go home!(まだ帰らない!)」
他の子は皆,ささっとお片付けをして帰り支度をしているというのに,
我が息子だけが,わあわあ泣いて,
片付けられた遊具を出そうとする始末.
そして,「まだNew friend(新しいお友達)と遊んでない!」
と泣き叫ぶのですが,
煩いったらないのです.
ああ,間違いなくこれもマイナスポイントだろうな….
煩い!静かにしてくれ!
他の親御さん達は,
面接の結果はいつ出るのか?とか,
何を基準に見ているのか?とか,
いろいろ質問していましたが,
もうそんなことはどうでもいい.
息子が煩く泣き喚くのが恥ずかしいったらない!
と,息子を引き摺るように園を出,
無為矢理ストローラーに座らせ帰るときは,
正直息子に腹が立っていて,言葉にもなりませんでした.
どうして普段通りに出来なかったんだ?!という思い.
暫く歩き,息子に,
「どうしていっつもみたいにお話出来なかったの?先生がいろいろ聞いてたでしょ?」
と問うと,
息子:「I don’t know that guy.(あの人たち知らないもん)」
って….
そうそう,知らない人にペラペラ話しかけていくんじゃないって,
普段母さん言ってるもんね…(涙).
だって,あんたホームレスにも話し掛けていくんだもん….
それに,面接官たち,
親には自己紹介してたけど,
子供達に自己紹介してなかったしね.
ああ(いろんな意味で愕然).
しばらく歩きながら,
「うちの息子はこれでいい!面接結果なんてどうでもいい.このままでいいんだ.」
と,入園できないことを覚悟し,
きっと自分の子供に期待して過ぎていたんだろう自分が情けなくなり,
息子には余計な経験と緊張感を体験させてしまって悪かったなぁと,
涙を零しながら帰宅したのでした.
つづく
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