山の中のこの旅館は寒い。部屋の灯油ガスヒーターは一定時間たてば、自動停止する。此処は久住山麓。海抜も高いはず。傍に谷川が流れている。
露天風呂は黄赤色の濁り湯。広い。これは風情がある。しかし、冬場は寒い。脱衣所にも扉がない。落ち葉が落ちて、湯の底に溜まっている。移動すると浮き上がって体に纏い付く。長いこと掃除がなされていないようだ。落ち葉が古い。
内湯は24時間利用可能だが、長い廊下を伝って、冷えている屋外に出なければならない。まさか、熊は出るまいが、周囲は林。夜更けに行こうとは思わない。
仕方がない。毛布をもう一枚重ねることにした。それでもあたたまらない。トイレは部屋についているが和式。ウォッシュレットに慣れている現代にはそぐわないだろう。階段が暗い。畳は新調されていて清々しい。
連泊のつもりで来たが取り止めよう。