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一夜明けた。寒い朝。というのに、まだ全心が昨夜の忘年会を引き継いで、ほかほか温まっている。こんな愉快な人たちとだったら、また飲みたい。全心湯たんぽがあたたかい。
人の中に入りたくない症候群重症患者の己が、人の中に入ってあたたまったのだ。
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一夜明けた。寒い朝。というのに、まだ全心が昨夜の忘年会を引き継いで、ほかほか温まっている。こんな愉快な人たちとだったら、また飲みたい。全心湯たんぽがあたたかい。
人の中に入りたくない症候群重症患者の己が、人の中に入ってあたたまったのだ。
8
相手方の人に助けられて、司会進行役も無事に終了した。槍で突かれることもなかった。
お役御免。それが開放感を味わわせているのだろうか。それだけではないような気がする。
7
老人がふと思う。過去をどう生きたかが現在を支配している、そういう風圧を内にも外にも感じることがあるが、過去は常に現在の支配者だろうか。そんなこともあるまい。
「わたしは誰であったか」ではなくていいような気がする。老人はふっと思う。わたしはいつも現在を自由に生きるキングであっていいはずだ。
6
16時に集合完了して始まって、18時30分でぴたりと終了した。お見事! 飛ぶ鳥跡を濁さず。さっと散った。全開が、瞬時で全閉になった。ホテルのバスが駅まで送って行った。
5
16時に集合完了して始まって、18時30分でぴたりと終了した。お見事! 飛ぶ鳥跡を濁さず。さっと散った。全開が、瞬時で全閉になった。ホテルのバスが駅まで送って行った。しばらくを一人ロビーで過ごす。予約していた運転代行がまもなくやって来た。
4
何をして生きて来たかを問わない。今何をしているかも聞かない。それで済んでいる。それで話ができる。こんな不思議なところがあるのだ。長く生きてきた者たちの、なだらかな下り坂にいる者の、自然な「いたわり合い」なんだろうか。
3
互いに気を許して打ち解け合うという現象が自然系列にあった。老いを楽しく生きようとする者の、仲間意識が膨れてきた。「おれが偉い」を誰も口にしない。「こう生きた、こう生きる」の主張をしない。いわば、主張無風地帯だ。
2
四月から始まった「高齢者の集う自由参加入学学習会会合」の、その忘年会。場所はホテルの2階の広い宴会場。この日の参加者は男女合わせて52人。終始、和気藹々とした雰囲気だった。互を迎え合う、拒否しないという雰囲気があった。ご馳走も列んだ。飲んだ飲んだ、食べた食べた。話も弾んだ。愉快な芸自慢、喉自慢をたくさん聞いた。
1
ふふ。あんなに嫌がっていたのに。今夜もまた忘年会したい。楽しかった。何がそんなに? なんだろうね。なんだろうね。この己の変化はちょっと謎。謎めいている。