かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

日繰り表に使われる社長

2010-03-11 | 事例
「銀行から何時も作っている資金繰り表で結構です。
 それも添付して頂けませんか。と云われました。
 私は、自分で作って居りますが其れでもよいですか。」
返済の元金低減をお願いに云ったら、経営改善計画と一緒に
資金繰り表も見せて下さいと云われたのです。

「私はね。自分で毎月資金繰り表を作り、月に2-3回は必ず修正をします。
 そして、日々持ち歩いて居ります。これが無いと私の行動をも
 決まらないくらいです。しかし、それだけに個人的の貸借も載って居り、
 こんな物を銀行に見せれば一遍でおかしい会社と云うことになると思います。
 見せることは出来ませんね。」

社長の言って居ることが、少しおかしいと思って詳しく聞いてみます。
案の上、「資金繰り表」の解釈に違いが有りました。
銀行の言って居る資金繰り表と、社長の思っている資金繰り表とは違います。
銀行の言う資金繰り表は、月単位で、繰越額に当月の入出金額を加減し、
残高の黒字を確かめる、それを6ヶ月から8ヶ月くらい先まで示した表です。
出る項目も細かい費目までは要求はしません。
資金の動きについて解り易い表です。

しかし一方、社長の言う資金繰り表とは、日繰り表とでも云うべきでしょうか、
毎日の入出金と残を記載して居ります。そして期間は1ヶ月だけです。
細かい物までを計上し、月中の資金状態がはっきり解ります。
渇かつの資金で回して居る企業には不可欠の表です。

1月先とか3ヶ月先の事でなく、今月の資金を教えてくれる表です。
月中の何処にも残に赤字が無い場合は、社長はこの通りになるように、頑張ります。
若し残が赤字になる時は、その解決に寝食も投げ打って奔走します。

手形は勿論のこと、個人間の調達資金は返済を1度でも狂わすと信用は
がた落ちになり、今後の資金調達も宛に出来なくなります。
毎日が氷の刃を渡っているようなもの、寸分も狂いは許されません。
それだけ、この日繰り表に間違いがあってはなりません。社長の行動は、
この表通りに資金が動くことの追求です。
社長はこれに基づいて行動を決定して居ります。
つまり、社長行動指示書にもなって居ります。

それだけにこの日繰り表を作る会社は切羽詰まって居ります。
全てを掴んで居ないと、この表は出来ません。
しかし、実際には社長が掴んで居る場合は意外に少なく、その企業の
ベテラン女事務員が作っているのが意外に多いです。
社長はその表に追われて居ますから、何のことは無い、社長は事務員に
こき使われて居るのと同じです。
「社長さん。この日にいくら不足です。これをお願いします。」
なんて会話が生じて居ります。

ただ女事務員ですから、決まって居る入出金には漏れはありませんが、
予測は出来ません。したがって来月の表は作ることは出来ません。

事務員も入れて4名の会社でしたが、事務員と社長が喧嘩して、
事務員が急に辞めてしまいました。
あわてて社長の奥さんが代わりに勤めましたが、他の仕事は全て出来ますが、
この日繰り表だけは、出来ませんでした。

税理士に頼んで見ましたが完全に失敗しました。
税理士は伝票の集計から読めることは出来ますが、この日繰り表だけは
仕事の知識より、その会社の事情を知って居ないと出来ないからです。
特にこの会社は社長の知人何人からも援助を受けて居りました。
事務員を頼りきりにして居る社長には、どうしても事務員と同じ様には、
出来ませんでした。「今までに実績を見れは出来る。」そう思って居ましたが、
事実はもう少し複雑見たいです。

社長が資金繰りに目クラ盲になったことは直ぐに影響が出ました。
これが基でこの会社は整理まで追い込まれました。
資金表作りで任しているベテラン事務員。間違っても疎かにしてはなりません。

日繰り表は大切な表です。
中小零細企業の90%以上が利用していると思います。
月単位野資金繰り表は10%も利用していないと思います。
しかし日繰り表だけならば、目先の資金解決には必要ですが、
もっと先を見たいときは役立たず、片チンバになりがちです。
大きく長く見るには月ごとの資金繰り表が必要です。

銀行が要請した資金繰り表は6-8ヶ月先迄の資金の状態を見る表です。
これにより長期の計画や方針を作ることが出来ます。

決して難しい表ではありません。
企業の責任者は、この資金繰り表も是非とも作って行きたい物です。



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