かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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差し押さえ予告

2011-09-01 | 事例
「月末までに50万納めないと差押すると税務署から言われました。
 50万はどうしても揃いません。何とか助かる方法は無いものでしょうか。」

深刻な相談です。
「間違いなく税務署がそう言ったのですか。」
「間違い有りません。」

不動産は有りますが、住宅ローンだけでも無剰余になります。
更に地銀が第2抵当を組んで居ます。
一寸聞いただけで無剰余と解かるものを、税務署が差押などする筈が有りません。
もう1度聞き直します。

「何時税務署は貴方にそう言ったのですか。店売りだから売掛金はないし、
 預金口座はわかっているかも知れませんが、それを差押えるのに予告などしませんよ。」
「これです。」
と見せてくれたのが催告書です。
其処に差押さえ予告とはっきり印刷して有ります。

「なあんだ。差押えと騒いでいたのはこれですね。これは何処でもやりますよ。
 これで実際に差押が有ったと言う例は私はまだ知りません。
 払わないと何時かはするでしょうが、それは先の事で、
 今回の50万の事では有りません。」
脅しかも知れませんが、効果は有ったようです。

サービサーの催告書なども、この差し押さえ予告が良く印刷されて居ます。
青くなって駆け込む債務者に言います。
「落ち着いてください。貴方のところは銀行からもサービサーからも訴訟など受けて居ないでしょう。
と言う事はまだ差押など出来ませんよ。差し押さえするのは債務名義と云って差押え許可証が必要です。」
と債務名義の事を説明します。
「本当に直ぐに差押さえが必要の時は、彼らは直ぐに仮差押をします。
 これは予告など有りません。むしろ何にもしないと思って居るところを突然やります。
 それにこれは債務名義など不必要なんです。」

手紙で差押え予告としてあっても、直ちに差押など実際には先ず有りません。
それに差押さえが有っても、税務署の場合、不動産を差押えても、殆ど先順位が有りますから、
競売にはなりません。先順位が競売になるまで待って居ます。
それより税務署で怖いのは、滞納が長引くと、二人ずれの不意の調査が有ります。
調べて、其の途中お金が出てきたら急に態度を改め、その場で、差押かまたは
自主的に納めた事にします。
税務署は債務名義がなくても差押えられるのが怖いです。

サービサーならば話し合って、回収不能となると先ず訴訟を起して債務名義を取ります。
その後3ヶ月くらい非常に静かになります。
3ヶ月目くらいに1回問い合わせがあります。
「どうですか。少しでも払えませんか?」
これはお義理に聞くだけのものです。
「一寸今は無理ですが。」
何にも言わずに切ります。
その3-4日後には必ず差押さえが有ります。

実際の差押さえに予告など有りません。
資産を隠されると差押えの効果がなくなります。
それよりこうしたことを伝えて、情勢の厳しさを債務者に認識して貰うのが、
この通知の役割ではないでしょうか。
実際の差押えは、常日頃の言動の中で察しなければなりません。
そして必ずといって解かるものです。

只仮差だけは事件が始まって直ちに発生するものです。
債務名義がなくても出来ます。
差押える方が保証金を積んでの差押えですから、あてずっぽうの仮差など有りません。
殆ど打撃を蒙ります。
事件が起こったら当初、これだけは用心しましょう。

「貴方、50万出来ないからと ふてくされていなくて、せめて10万くらいを作りなさい。
 そして、それを持って税務署に行って分割を御願いしなさい。
 貴方の誠意を見せれば税務署も必ず協力してくれます。
 但し、其の約束を破ると次第にきつくなり、ついには会社に調べに来ますから、
 そうならないように貴方が出きる約束をしてください。
 そうそう、行くときに初回分の持参は忘れないようにね。」

30日の晩、「行ってきました。話がつきました。明日から落ち着いて仕事が出来ます。」
ぶっきらぼうの電話が有りました。


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