彼は1通の訴状を目の前にして考え込んで居ます。
呼出状には「営業譲渡取消し事件」と有ります。詐害行為取消しのことです。
その一方で、彼が譲り受けた売掛金も仮差をされて居ます。
今迄其処の発行の手形を割って居ますから、得意先は殆ど知られています。
でもその額は今300万もないでしょう。
差押えられなければ新会社は辛うじて回る可能性が有ります。
差押えられれば其れまでです。
見かけは今までの会社と全く同じです。唯経営者が変わっただけと映ります。新会社を作ったのは
旧会社が不渡りを出してからです。
得意先には今までの会社から営業譲渡の挨拶状が行って居ます。
だからこそ、金融業者は詐害行為取消しの訴訟を起してきたのでしょう。
会社が暮れに不渡りを出し、再起不能を社長から発表が有ったのは今年の4日です。
「国税が全てを持っていくだろう。12月の皆さんの給料は1円も払えません。」
そうでなくても会社は今まで10年以上に渡り給料の未払いを発生させて総額7000万にもなって居ます。
止めた人間が此の支払いについて訴訟を起したり、労働基準局に駆け込んだりして此の数字が正しい事を認識して居ります。
国税も何回もの調査で之が正しい事を認めて居ます。
今居る従業員は何時かは之が戻るだろう、又辞めてもほかに働く場所が無いと言う事で居座って居ます。
自分の残の給料は貯金代わりに思って、その額が一つの慰みになって居るのでした。
会社が倒産してもうその給料もなくなる。同時に働き場所がなくなる。
パートだけの会社はパニックになりました。
しかし誰からとなく、それだったら自分たちで会社をやったらどうだろうか。
今までの社長には綺麗に手を引いて貰って、会社を居抜きで使わして貰おう。
こんな案が出てきて、彼がその交渉役に選ばれました。
一方、会社は1億3000万の税金を10年以上延滞して居ります。
国税に回り、今まで何回となく監査や差押が有り、それでもラチが明かず、
此の年末の支払いによっては思い切った手段をとると宣告されて居ました。
最近は毎月20万づつ払って何とか済んでいましたが、それも此処半年以上途絶えて居ました。
その結果の宣告です。
思い切った手段の中身はわかりませんが、社長は売掛金の一斉差押と解釈して居ります。
納品すると直ぐに回収し、支払いに回して居りますから、幾らも有りませんが、資産と云えば此れしか有りません。
国税は、その一方で、其れまでに此の会社を整理するようならばそれ以上追及しない事も云いました。
しかし、形を変えて何処かに譲渡した場合は、少しでも詐害行為と思われるところが有れば第2次納税義務者として
その会社を徹底追求するとも云っていました。
此の年末、すら仮に不渡りにならなくとも国税に払うお金はなかったでしょう。10万すら有りませんでした。
社長は不渡りにならなくても、会社は終わりと覚悟していたようです。
一番怖かったのが従業員です。
その時の従業員の怒りが怖く、倒産に対して何にも対応もせず、成り行き任せだったのです。
思いがけない彼からの申し込みでした。
工場が成り立つかどうかなど今の状態ではわかりませんが、自分は旧債さえ背負っていればうまく今回は逃れそうです。
喜んで同意しました。
前パートが1万円の出資で、急いで新会社をつくり、得意先には円満譲渡として挨拶状を送って居ます。
又国税には社長はすっぱり手を引き、後を従業員会社がやっていくことを伝えました。
国税は2度ほど来社し調査の結果、嘘は無い事を認めて居ります。
差押えて来たのは手形を割って居た業者です。
たまたま割った手形が、同じく12月末に倒産したのです。その買戻しの交渉が有ったのですが、此方も逃げて居ます。
ラチガ空かないと見て、他の売掛金を仮差してきたのです。
そこで既にと云ってもつい最近、売掛金の譲渡がされていることを知りました。
慌てて詐害行為取消しの訴訟をしてきたのです。
彼にとってみれば、製造は自分達で立派な物が出来ます。
唯、今迄社長だけが交渉して居た、対外的の事を若干知れば何とかやっていける自信が有ります。
後は、やがては競売になる借地の上の建物の使用権さえうまく解決できれば何とか最小限の商売は出来て
いけそうです。
金融業者のことも国税の事も考えたこともないし、第一、何にも知りません。
債権の古さから云っても、給料と云う順位から云っても税金の次に強いと思って居ます。
答弁書は5月28日まで、口頭弁論期日は6月4日です。
絶対に35名の給料を守るのだ、彼に勇気が湧いてきます。
http://oguchi-keiei.com/postmail/postmail.html ← お問い合わせは、こちらから
電話・FAXでのお問い合わせは、
０４２－４８３－３６０４（10時～17時）
※電話番号は、お間違いの無いようおかけ下さい。
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呼出状には「営業譲渡取消し事件」と有ります。詐害行為取消しのことです。
その一方で、彼が譲り受けた売掛金も仮差をされて居ます。
今迄其処の発行の手形を割って居ますから、得意先は殆ど知られています。
でもその額は今300万もないでしょう。
差押えられなければ新会社は辛うじて回る可能性が有ります。
差押えられれば其れまでです。
見かけは今までの会社と全く同じです。唯経営者が変わっただけと映ります。新会社を作ったのは
旧会社が不渡りを出してからです。
得意先には今までの会社から営業譲渡の挨拶状が行って居ます。
だからこそ、金融業者は詐害行為取消しの訴訟を起してきたのでしょう。
会社が暮れに不渡りを出し、再起不能を社長から発表が有ったのは今年の4日です。
「国税が全てを持っていくだろう。12月の皆さんの給料は1円も払えません。」
そうでなくても会社は今まで10年以上に渡り給料の未払いを発生させて総額7000万にもなって居ます。
止めた人間が此の支払いについて訴訟を起したり、労働基準局に駆け込んだりして此の数字が正しい事を認識して居ります。
国税も何回もの調査で之が正しい事を認めて居ます。
今居る従業員は何時かは之が戻るだろう、又辞めてもほかに働く場所が無いと言う事で居座って居ます。
自分の残の給料は貯金代わりに思って、その額が一つの慰みになって居るのでした。
会社が倒産してもうその給料もなくなる。同時に働き場所がなくなる。
パートだけの会社はパニックになりました。
しかし誰からとなく、それだったら自分たちで会社をやったらどうだろうか。
今までの社長には綺麗に手を引いて貰って、会社を居抜きで使わして貰おう。
こんな案が出てきて、彼がその交渉役に選ばれました。
一方、会社は1億3000万の税金を10年以上延滞して居ります。
国税に回り、今まで何回となく監査や差押が有り、それでもラチが明かず、
此の年末の支払いによっては思い切った手段をとると宣告されて居ました。
最近は毎月20万づつ払って何とか済んでいましたが、それも此処半年以上途絶えて居ました。
その結果の宣告です。
思い切った手段の中身はわかりませんが、社長は売掛金の一斉差押と解釈して居ります。
納品すると直ぐに回収し、支払いに回して居りますから、幾らも有りませんが、資産と云えば此れしか有りません。
国税は、その一方で、其れまでに此の会社を整理するようならばそれ以上追及しない事も云いました。
しかし、形を変えて何処かに譲渡した場合は、少しでも詐害行為と思われるところが有れば第2次納税義務者として
その会社を徹底追求するとも云っていました。
此の年末、すら仮に不渡りにならなくとも国税に払うお金はなかったでしょう。10万すら有りませんでした。
社長は不渡りにならなくても、会社は終わりと覚悟していたようです。
一番怖かったのが従業員です。
その時の従業員の怒りが怖く、倒産に対して何にも対応もせず、成り行き任せだったのです。
思いがけない彼からの申し込みでした。
工場が成り立つかどうかなど今の状態ではわかりませんが、自分は旧債さえ背負っていればうまく今回は逃れそうです。
喜んで同意しました。
前パートが1万円の出資で、急いで新会社をつくり、得意先には円満譲渡として挨拶状を送って居ます。
又国税には社長はすっぱり手を引き、後を従業員会社がやっていくことを伝えました。
国税は2度ほど来社し調査の結果、嘘は無い事を認めて居ります。
差押えて来たのは手形を割って居た業者です。
たまたま割った手形が、同じく12月末に倒産したのです。その買戻しの交渉が有ったのですが、此方も逃げて居ます。
ラチガ空かないと見て、他の売掛金を仮差してきたのです。
そこで既にと云ってもつい最近、売掛金の譲渡がされていることを知りました。
慌てて詐害行為取消しの訴訟をしてきたのです。
彼にとってみれば、製造は自分達で立派な物が出来ます。
唯、今迄社長だけが交渉して居た、対外的の事を若干知れば何とかやっていける自信が有ります。
後は、やがては競売になる借地の上の建物の使用権さえうまく解決できれば何とか最小限の商売は出来て
いけそうです。
金融業者のことも国税の事も考えたこともないし、第一、何にも知りません。
債権の古さから云っても、給料と云う順位から云っても税金の次に強いと思って居ます。
答弁書は5月28日まで、口頭弁論期日は6月4日です。
絶対に35名の給料を守るのだ、彼に勇気が湧いてきます。
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