かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

相談者が信じられない

2016-02-06 | 事例
昨年暮れ、ローンとそれ以外の担保があって完全な無剰余の自宅が強制競売になった人が居る。

彼は次のように聞いてそれを信じ切っていた。
「自宅はローンと担保で完全な無剰余になります。きちんとローンを払って居れば
 少なくとも時価とローン残が同じになるまでは競売もなく住むことが出来ます。
 そのほかに担保まで有りますから、まず、競売はありません。
 万一、間違って競売申請をしても裁判所が取り下げ勧告をします。」

その理由などは解らないが、競売は無いと信じ切っていた彼に、「競売開始決定」が届いたのである。
無剰余だから、取り下げがあるなんて説明はとうに忘れている。
そのために彼は飛び上がった。

不動産屋の知人も多い。彼は聞いた。誰もが無剰余の競売なんて知らない。
裁判所が競売をするというから、競売は行われと殆どの一致した意見。彼はおびえた。

困り抜いて私のところに相談に来た。

「物件時価より担保の方がはるかに多いですね。そんなもの、競売にはならないです。」
私の一声だ。
これが不味かった。彼の信頼感が一挙になくなった。
「それそれ、それで相談に来たのです。現実に私のこれがそうなって居るのです。」
強制競売者はサービサーだ。
「サービサーはこうした事は知り抜いて居る。なんでこんなことするのか。」
少し私も困った。その態度を見て、彼はますます私は素人と同じと思ったみたいだ。

私は無剰余の競売について説明した。
無剰余と言う言葉すら呑み込めないから理解までには程遠い。
「必ずこれは取下げになる。あなたは何もせず、じっとしていればよい。」
と説明しても、話がうますぎるという顔色だ。
けれど懸命な説明に、納得のふりをして帰った。

帰ってから、大勢の人に聞いた。
誰もが私の言を信じない。競売を取り下げるのが裁判所だ。
裁判は公平で、決して彼の味方ではない。
貴方の為に取り下げ勧告すると言うのは、話が出来過ぎだ。と言うのが殆どのの意見。

そうなることを心配して、何回も連絡した私に黙って、競売をやめるには早期和解しかないと彼なりきの結論を出した。

いずれにせよ、その頃はサービサーも申請のミスに気付いたらしいから、和解も大幅に負けた。
それにしても彼は相当な金を工面し和解をした。
サービサーは競売を取り下げた。
彼は普通だたっら払わない多額のお金を払ったのだ。

大勢の異なった意見。その中から真実の意見を探し出すのは実に難しい。間違えば命取りだ。
私が信じられなかったことは、最初の私の態度にあっただろう。
スタンスがぶれていると見られたのである。

ただ同じような事はいっぱいある。

真実を信じさせること。
相談に乗る者の勤めであろうが、これほど難しいことはない。


重要案件を隠して相談。

2016-02-06 | 雑感
もう1度合いたいと言ってきたのは昨年夏の相談者だ。
昨年の相談は経営不振とその改善方法についてだ。
「今日の相談でよく解りました。相談は今回1回で十分です。わからないことがでたら
 電話してお尋ねします。
 連絡がなければ順調にやっていると思ってください。私の方に問い合わは心配無用で 
 す。」
格好いいことを言って、5時間のやり取りをして帰って行った。
その人がまた会いたいという。

案の上、打ち合わせた事は、何んにもやってなかった。
「あの時に打ち合わせた事は何にも増して重要な事は自覚しております。しかしそれ
 以上に重要なことが起きて、どうしてもそれを優先せざるを得ませんでした。
 それが目鼻を付けたため、改めて振り返ると、今や、どうしようもない事態になって
 居ました。何とかもう1度解決策をお願いしたいです。」
経営の改善問題が今は会社の存続問題まで進んでいるみたいです。

前回言わなかったが、有る企業から公正証書で4000万借りていたらしい。
返済日を2回伸ばしたが今回も伸ばさざるを得ない。
「もう待てない。返せない時は、海外店2店と国内で指定店2店を直ちに当社に譲って
 ほしい。でなければ法的回収に入ります。」
借りる時すべてを調べ、当社の一切を承知しているから、要求も的を得ています。従わざるを得なかった、と言う。

いずれも再建には重要な店舗だった。
特に差押えも出来ない海外店は相当な黒字店であり、万一の時の逃避先とも考えていた。
国内店も最も稼げる店を指名してきた。
前回の打ち合わせの頼り所が無くなった。再建案は0からの出発だ。

この件は解ったとして、この事に関係なく進められることはいくつかあった筈だ。
それらは進んでいるかと質問したが、歯切れが悪い。
「経営者一家の持ち出し、即やめるという事でした。これが今の状態になった遠因です。」
 まだ続けているのですか。」
関係ない母や姉に多額の給料を出している。
本部と称して男子社員2名と女子1名がぶらぶらしている。この体制もそのまま。
つまり全く何もしてない。

今は金利だけ払っているが、もうこれも払えなくなった。
公租公課は、月払いにして、何とか無理をして払っている。今の払いならばなんとか
税金も保険も承知をしてくれる。

いちいち細かい裏付けをこの短時間内では出来ない。彼の言を信じて何とか業務の
継続を考えた。

「リストラをして、銀行返済を0にすれば事業は続行できます。
 代位弁済やむなしの考えで、今の会社の継続と第2会社案を考えましょう。
 時間がないから、当分は今の会社でやっていくより他ありません。」


 各店で日々の仕入れはやらせましょう。
 社長は一人で資金繰りをやってください。全店に配る大型仕入だけをやりましょう。
 そうすれば返済がなければやっていけます。
 金利も払わないと銀行は代位弁済にするかもしれませんがやむを得ないでしょう。
 その対処の方法をアドバイスします。」

 しばらく、現状のままの店舗で続行しても、代位弁済まで覚悟した内整理です。
 倒産と同じです。 が、そう考えずに、回復の大手術をしたと考えてやりましょう。」

再建案は何とか纏めた。
彼もこれならばできるという。
「頑張れよ。」
解れる寸前、彼から質問があった。

「税金は毎月70万を払うという約束になって居ます。しかし来月はこのほか400万を
 払う約束です。赤字店舗解約の保証金の戻りです。
 でも相殺金が多く、実際には200万しか戻って来ません。」
この時に初めて2000万も滞納が有り国税に移っていることも知った。
着き70万と、一時金の400万は、何回も約束を破って、また最近決めた事らしい。

今日の打ち合わせでも、最初に公租公課は大丈夫と言ったじゃあないかと怒鳴りたくなる。相手は70万だけを考えると払える。その他は払えないからその対策を聞きたかった。と言うつもりだったらしい。
なんでも自分の都合のよい方に考えて、自分勝手に判断して居る。

言わなかったことを悪いとは思って居ない。涼しい顔だ。

時間をかけて1から自分で調べて結論を出すより他ないだろう。
方針が出ないままに国税の70万だけ払ってあとは全部止める。
彼のことだから、その場逃れの嘘を言ったり約束したりするだろう。

再建なんてできるかな。
出来る人ではなさそうだ。
再建なんてとても無理だ。破産しかないかな。