「京小紋」
Description / 特徴・産地
京小紋とは?
京小紋(きょうこもん)は、京都府で作られている織物です。古来から染め織の中心地であった京都には、型彫の優れた技術があったため、染めだけなく型彫も行われてきました。
京小紋の特徴は、雅びではんなりとした柔らかな雰囲気の色柄です。起源は、基本となる型紙が作成された約1200年前とされています。小紋とは、もともと武士の裃(かみしも)にある小さな文様を単色で型染めしたものです。
江戸時代には小紋を染めた麻の袴が武士の正装になります。庶民の間にも、町人文化の自由でおしゃれな感覚が受けいれられて、粋な流行りとして小紋が広がりました。
元は単色だった小紋も、多彩な色使いへと変化していきます。京都では、京友禅(きょうゆうぜん)と互いに影響を受け合いながら、独自の小紋として発展。柄や色遣いにも気品が溢れています。
近年では、モダンなデザインも登場し、バックなどの小物や洋服などにも京小紋が型染めされるなど、現代にも息づいている製法です。
History / 歴史
京小紋(きょうこもん)は、基本となる型紙が作成された約1200年前が起源とされています。小紋は武士の裃(かみしも)に小さな文様を単色で型染めしたものです。
室町時代や応仁の乱以降には、様々な絹織物が生産されます。京都の堀川を中心に、染色職人が集まる職人町ができるなど、京小紋が徐々に発展していきました。
戦国時代には徳川家康や上杉謙信が京小紋を身に着けたとも言われています。小紋を染めた麻の袴が江戸時代の武士の正装になると、町人たちが粋でおしゃれな感覚で小紋を身に着けるようになりました。
京都が産地である京小紋は、同じ産地の京友禅の影響を受け、他の産地とは異なる独自の小紋として発展を遂げます。江戸小紋(えどこもん)と比べると、京小紋は具象柄が多く、多色染めで色鮮やかな印象です。
染めるための型紙には和紙を使用し、防染のために米から作成した糊(のり)を用いる古来の製法で現在も生産されています。
*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyokomon/ より
日本の四季に映える京小紋
友禅と影響しあいながら、独自の発展を遂げてきた「京小紋」。型友禅の技術が、そのまま生かされる京小紋には、雅やかな雰囲気がある。色使いや柄ゆきには、優しさや気品が溢れている。
京小紋の魅力は、はんなりとした雅やかさ
京小紋の歴史は古く、基本となる型紙が作られた1200年前がその起源とされている。小紋染めは、江戸時代の武士の裃として発展し、一般に“江戸小紋”と言われている。粋でおしゃれな小紋染めは、男女の「小袖」として江戸・京都の一般庶民の間で流行した。明治になってからは「型友禅」と影響しあいながら、単色から多彩色へと変化し、「京友禅」として独自の発展を遂げた。「京小紋」には「東京染小紋」と違った、はんなりとした雅やかな雰囲気がある。色使いや柄ゆきにも、やさしさや気品が溢れているのが特徴だ。現在、その伝統的な“京小紋”の持ち味を生かしながら、新しい手法でその活路を見出している池田染芸。その開発の現場に、染師・池田和男さんを訪ねた。
伝統的な“京小紋染め”の技が生みだす「鮫小紋グラデーション染」
京小紋は、型友禅とも言われる。伝統的な文様も数多い。以前は、いろいろな文様を染めていたが「最近は、小紋の中でも最もデザイン性に優れた“鮫小紋”の文様にこだわっている」と言う池田さん。その“鮫小紋”に、京小紋独特の「はんなりとした雰囲気」がのせられた。“鮫小紋”の地色に裾ぼかしが入っている「グラデーション鮫小紋」だ。この、特許を取得した「新技法“地色ぼかし染め”の開発」にも、京小紋の伝統的な技術が活かされている。柔らかな風合いに仕上げられた小紋は、1999年秋グッドデザイン賞を取得。着物で初めて「Gマーク」の指定を受けた。審査でも高得点を取得した「グラデーション鮫小紋」は、特別賞候補にもなった。
今までになかったものを創りたい
池田さんは、染屋家業三代目。高校の商業科を卒業し、家業の染色に従事した。それと同時に3年間、京都市立美術大学(現在の京都芸大)の聴講生として、働きながら色彩学や美術史を学んだ。
「創造力を生かす」のが趣味だと言う。業界で『ブック見本』といわれるカラー写真の付いた見本帳にスライドフィルムを使ったり、作業能率を上げるために型洗い場に簡単なシャワーを取り付けたりした。また、友禅板に紙テープを貼って板の汚れを防ぐことも考えた。日常の作業工程を見直し、提案・実践するうちに、23歳の時、「オートエアー自動噴霧器」を考案する。染型紙に湿りを持たせるために使う噴霧器には、従来空気を入れるのに手押しポンプが内蔵されていたが、替わりにエアーコンプレッサーを使うことを思いついたのだ。この発明は実用新案を取得し、科学技術庁長官賞を受賞した。「今までに無いもの、前例の無いことをする」のが好きなのだ。20代の時に、当時前例が無かった異業種が集まる勉強会「キモノファッション研究会」を創立し10年余り続けてきた。
そんな池田さんの目の前にある「きもの業界」の現実は厳しい。銅版画の原理で、金属の円筒に繊細な鮫小紋などの文様を彫る「機械捺染」の技法で作られた「小紋」の出現。値段も安く均一に綺麗に染まる「大量生産された小紋」に押され、「伝統の技法で染めた」小紋は苦戦を強いられていた。「本物の“伊勢形紙の糊防染でできた京小紋”と、“機械捺染”の小紋が、誰にでも一目見て区別できる方法はないだろうか」。染師として現実を直視した池田さんにとって、この課題は挑戦し甲斐のある“テーマ”になった。かつて美大で勉強した色彩学のグラデーションの技法を応用し、新技術の開発に取組むことになった。
京都は“歴史と職人の町”
「伝統的工芸品の本当の良さを知る上でも、その産地に赴き、自分の目で見て確かめて頂くのが一番」だという池田さん。「京都は歴史の古い町ですし、伝統的工芸品も17品目と多い。日本の文化を支える技術の町でもあるんです。“ほんまもん”の伝統的工芸品を京都まで買いに来る、“買い物と観光の町”にしていきたい」と語る。
本業以外のことにも精力的に取組む池田さん。交友範囲も広い。“染め”業以外で、今一番力を入れている事はインターネットだと言う。「これから、少しずつホームページの中身を充実させていきたい。“京小紋”の歴史や沿革を情報発信していきたいと思ってるんです」と、次の目標を語った。
職人プロフィール
池田和男 (いけだかずお)
1937年1月7日生まれ。
京小紋 染師
伝統工芸士
京都府伝統産業優秀技術者
こぼれ話
伝統工芸の歴史を彩る小道具たち
桃山時代に活躍した、狩野吉信画「職人図屏風」にも、型置きしている職人の傍らに、大小さまざまの「染桶」が描かれています。池田染芸でも工房の階段の踊り場に、壁面一杯積み重ねられた「染桶」がありました。桶は、使用された当時の職人達にとって身近に存在し、人生の傍らにあった小道具。長い歴史を生きてきた「染桶」には、造形的な美しさや時の流れを感じます。
木桶は今でも「和」の味を残す小道具として、お料理用の「寿司桶」から「風呂桶」まで、私たちの身近にあるもの。私たちの「木桶」もまた、日常の暮らしの中に密着して家族の歴史と共に生き続けています。
*https://kougeihin.jp/craft/0209/ より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます