「あけびの味噌詰め焼き/あけびの油焼き」
主な伝承地域 県内全域
主な使用食材 あけび、まいたけ、しめじ、味噌、砂糖
歴史・由来・関連行事
あけびは、山形県民にとって欠かすことのできない郷土の味覚として根づいており、春には新芽、秋は果実を食用に。つるはつる細工などに活用される。
山形県であけびの栽培が盛んになったのは、1970年代から1980年代あたりから。天童市で採取されたあけびが関東で好評を博し、本格的な栽培がはじまった。村山地域や置賜地域が主産地になっており、県全体の生産量は全国トップレベルを誇る。薄紫色、ピンク色など種類や系統によって見た目も若干異なり、食卓に彩りをそえる役割もある。
全国的には種のまわりの白い部分を食べるのが一般的だが、山形県では皮の部分を食べるという全国的にも珍しい食文化がある。味わいはほろ苦く「あけびの味噌詰め焼き」のほか、煮物、和え物、天ぷら、ぬた和えなど、さまざまな料理に調理して食される。
食習の機会や時季
あけびの季節は8月中旬から10月中旬。内陸部の家庭では旬の食材として、シーズンの間に一度か二度はあけび料理が食卓にあがるという。地元の人にとってあけびはわざわざスーパーマーケットで買う食材というよりも、裏山に自生しているものをとってきたり、庭先で育てていたり、ご近所からおすそ分けしてもらったりするものという感覚。あけびの皮は天日に干して保存しておき、煮物などにも利用される。
あけびは捨てるところのない万能果物といわれていて、ひと昔前は、種子から油をとっていた時代もあった。
飲食方法
調理前に、あけびの種を取りのぞき、フキンで水気を拭き取っておく。ひき肉や舞茸を味噌や砂糖で煎り煮して、それをあけびの皮に詰めたらタコ糸などで結んで、ていねいに焼いてから食べる。
あけびの皮はほろ苦い風味があるが、味噌と合わせることで食べやすくなる。皮の部分はナスのように味がよく染みて、炒めものや煮物にすると噛み締めた時に味が染み出して美味である。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
高い生産量からもわかるとおり、あけびは山形県民にとって馴染み深い食材。里山では近隣から採集する人も少なくない。「あけびの味噌詰め焼き」のほか、さまざまなあけび料理が伝承されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/akebinomisozumeyaki_yamagata.html より
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