「奥会津昭和からむし織」
からむし織について ~からむし織の基礎知識~
からむしとは?
からむしは、イラクサ科の多年草で、苧麻(ちょま)とも言われます。繊維を青苧(あおそ)と呼んでいます。
からむしを原料とする上布の生産地では、越後(越後上布・小千谷縮布)や宮古(宮古上布)、石垣(八重山上布)などがあり、昭和村は本州における唯一、上布原料の産地となっています。
植 付
からむしは、雪がとけ5月中旬頃からむしの根を植えますが、 1年目は雑草を取り除く程度で、2年目以降にからむし焼をおこない、3年目から収穫ができるようになります。
からむし焼き
からむし焼きは、旧暦4月の中の日(5月21日の小満の日)を目安に行っています。これは、からむしの発芽がばらばらなので、先に出た芽を焼くとともに根に刺激を与えて一斉に発芽させるために行います。
また、害虫の駆除や焼いた灰を肥料にする意味もあります。からむしの栽培が最も盛んだった大正以前には、村中で火がつけられ、夕空をこがして壮観だったようです。
垣結い
からむし焼き・施肥を終えた後、からむし畑の周囲に杭を立て、棒ガヤ(カヤ)で垣を作ります。 これは風で倒れたり、擦れ合うのを防ぐためと、獣の侵入を防ぐために行われます。 こうして囲われたからむしは静かに成長していきます。
収 穫
からむしの刈り取り時期は、7月20日前後からお盆までに行います。この時期に収穫すると、品質の良い繊維がとれるのです。
刈り取りは1本ずつカマを使ってていねいに行います。茎から葉を落とし、尺棒と言われる定規で一定の長さに切り揃えます。 からむしの成長具合によって品質を分けて束ねられます。
浸 水
刈り取り選別したからむしは、皮を剥ぎやすくするため、数時間から一晩ほど清水に浸します。
からむし剥ぎ
清水に浸したからむしは、1本ずつていねいに、皮を2枚になるように剥ぎます。 剥いだ皮は1にぎりくらいに束ねて、また清水に浸します。
清水に浸すのは、皮を乾燥させないためとからむしから出る青水(青汁)を流すためです。
からむし引き
苧引き具で剥いだ皮の外皮を除き、繊維を取り出します。取り出したばかりのからむしは真珠のような光沢(キラ)があります。
取り出した繊維は、2日程度陰干しして乾かします。
乾 燥
屋内で干されたからむしは、昔の単位である100匁(約375g)にまとめます。出荷用の形に束ねられたからむしは、日にあてないよう保管します。
苧績み(おうみ)
からむし引きによって取り出された繊維を細かく裂き、糸をつないでいきます。1本1本指で裂いてつなぐので根気のいる作業となります。 帯1本分の苧積みには2ヶ月程かかります。
撚りかけ
おぼけ(苧桶)と呼ばれる丸ワッパにためられた糸を静かに取り出して湿らせ、糸車でよりをかけ、丈夫な糸に仕上げます。
からむし織
作った糸は、昔ながらの機織り作業(地機による手織り)により、立派な反物に仕上げられます。 糸がデリケートなため高度な技術を必要とします。 肌に付着しない夏衣として気持ちよく、一度着用すれば他の織物を着ることができなくなると言われています。
現在では、着尺、帯、小物等がからむし織で生産されています。
*http://www.vill.showa.fukushima.jp/making.stm より
*https://kougeihin.jp/craft/0138/ より
産地
福島県 大沼郡昭和村
歴史
山間高冷地の昭和村では、江戸時代にはからむし栽培が始められ、途絶えることなく生産されています。習得に長期間を要する「からむし引き」と「手績み」を経て作られるからむしの糸は、非常に品質が高く、小千谷縮や越後上布の原料にもなっています。昭和村のからむしは、原料として出荷されているほか、村内においても織りの技術は、親から子へ、姑から嫁へと代々家々に受け継がれ、地機で織られた裃などがハレの着物として用いられてきました。
特徴
奥会津昭和からむし織の一番の特徴は、原材料である昭和村産のからむしの品質の高さです。からむしはイラクサ科カラムシ属の植物で、「苧麻(ちょま)」または「青苧(あおそ)」とも呼ばれ、茎の部分の靱皮繊維(外皮の内側の繊維)を利用します。水分の吸湿・速乾性に富み、天然繊維としては非常に強く、水に濡れると強さが増し、耐久性にも優れています。さらりとした感触が心地よく、夏の衣料を始め小物や装飾品など用途は多岐に渡ります。特に、夏衣としては、一度着用すれば他の織物を着ることができなくなると言われるほど上質な製品です。
*https://www.tohoku.meti.go.jp/s_cyusyo/densan-ver3/html/item/fukusima_05.htm より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます