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<経産大臣指定伝統的工芸品> 長野 南木曽ろくろ細工

2021-04-30 06:47:55 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「南木曽ろくろ細工」

 Description / 特徴・産地

 南木曽ろくろ細工とは?
 南木曽ろくろ細工(なぎそろくろざいく)は、長野県木曽郡南木曽町周辺で作られている木工品です。18世紀前半に誕生した伝統工芸品で、ろくろ細工という特殊な技によって製作されます。
 ろくろ細工とは、輪切りにした原木を、ろくろの上で回しながら、カンナで挽いていき白木製品と呼ばれる木工品を削りだす手法です。この技術は、手仕事によって行われるため、職人には高度な技術が必要で、木を知り尽くした木地師(きじし)と呼ばれる職人によって作られます。
 南木曽ろくろ細工の特徴は、このろくろ細工によって生み出される木目を、自然の美しさをそのままに引き出している点です。木地鉢、茶櫃(ちゃびつ)などが主に作られますが、木の木目や木質、全体の雰囲気などを観察し、木によって作る製品を決めています。南木曽という豊かな森林から採れる名木がろくろ細工が親しまれる根源になっています。

 History / 歴史
 南木曽ろくろ細工 - 歴史
 南木曽ろくろ細工の盆などの木地製品が、名古屋や大阪に出荷していたことが記録されていることから、18世紀前半が始まりと言われています。しかし、木地ろくろ細工を作る木地師たちは1500年代には、当時発行された木を切るための免状が残っていることから、存在していたと考えられています。
 当時の近江の国(現:滋賀県)が発祥の地とされていて、日本全国で、木地師たちはろくろ細工を作るために原料となる名木を切り、白木の製品を作成していました。彼らが、南木曽にもやってきたことで、現在の南木曽工芸品は有名になったのです。
 江戸時代中期に、白木の挽き物が作られていたことも記録されています。南木曽にはその後、木地師たちが集まった集落ができて、木地師の里と呼ばれるようになりました。近代化の流れとともに、機械を使わず全てを行う職人は少なくなり、現代では電動ろくろを用いて作業することが一般的となりました。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/nagisorokurozaiku/ より

 

 手になじむ木肌の感触 南木曽ろくろ細工
 木肌に宿る木目の美しさを余すところなく生かし、自然の息吹と天然木の歴史を感じさせる南木曽ろくろ細工。素朴で暖かい手づくりの良さが、見るものの心を優しくする。

 
 実用品としての高い完成度
 古くから名木を産する豊かな森林資源に恵まれた木曽。南木曽ろくろ細工は、その木の良さを「ろくろ細工」という特殊な技法で引き出したものだけに、陶磁器にも似た柔らかくまろやかな感触が特徴だ。大蔵盛司さんは、長野県南木曽町でろくろ細工をつくるヤマダイ大蔵の4代目。この仕事をはじめて47年になる。「南木曽ろくろ細工の特徴は、湯飲みから大ぶたまで、つまり小から大まで幅広い製品をつくるところです。選木から木取り、塗装に至るまでのすべての工程がここでできるので、それだけに実用品としての高い完成度が得られます。」南木曽ろくろ細工は木の目地の美しさをそのまま生かした「白木製品」と、天然漆をすりこみ磨かれた「漆拭き製品」の2つに大きく分けられる。器、椀、鉢、盆、茶筒はもちろん座卓や丸コタツ板まで、製品の種類はさまざまだ。ろくろ細工は本来丸い型が主流であったが、これまで培ってきた技術を活用して四角い製品(机など)にも挑戦している、と大蔵さんは話す。

 自然木との真剣勝負、木取り
 南木曽ろくろ細工が仕上がるまでには、大変な手間がかかる。まずは、仕入れてきた原木を輪切りにしていく「木取り」だ。「確かにろくろを挽くことも難しいけれど、実は木取りが一番大変。いくら高価な原木を仕入れても相応の価値がある中身とは限りません。そのため木の良し悪しを見極める眼力と、木目を最大限生かして切る技術、この両方が必要とされます。」


 プラスティックに負けない強さをつくる、自然乾燥
 さらに、木取りした原木を木口面を上にして大体の大きさに切る「挽割り」、外側を切り落とし円形に整える「丸め」、ろくろ機を使って厚めの寸法にカンナで挽く「荒挽き」の工程を経て一度自然乾燥をさせる。「電気乾燥だと1カ月くらいです。ただし、割れたり・歪んだりする確率が高くなります。一方、自然乾燥だと3カ月程。大きいもので3年はかかります」。このように、じっくり乾燥に時間をかけることにより、プラスティックや金属製の器具にも負けないほどに堅労度が増し、長持ちするのである。柿のようにアクがある木は水に浸けておくのだそうだ。アクが抜けた柿でつくられた茶筒は、なんともいえぬ渋みが素朴な味わいを引き立たせる。木の湿度が10%程になったら乾燥を止めて、普通の空気に順応させる。そして、最終工程である「仕上げ挽き」、「漆拭き(水磨き)」へと続く。


 カンナ挽きに必要な呼吸
 ろくろ細工と名にあるとおり、製作上の特色はろくろによるカンナがけにある。陶磁器のろくろ製作とよく似ていて、原木をろくろで回しながらカンナの刃を当てて彫り出していく。手作業で行う「仕上げ挽き」は何よりも呼吸が大事、と大蔵さんは言う。カンナを胸に当てて作業をするため、呼吸を整えなければ手元がずれてしまうのだ。職人が使うカンナは各人が鍛え上げる。自分の道具は自分で使いやすくする、ここにも一貫作業へのこだわりが見受けられる。どのような形が自分の合ったものなのかが分かるには、5年はかかるそうだ。このような工程を経て、滑らかな表面に流れる整った木目の美しさが生み出されていくのである。大蔵さんは「木の良さを最大限生かしていくことの難しさがあるから、どの工程も気を抜けません。だからこそ仕上がった時に木目のいいところが出てくれると、うれしいですね」と話してくれた。


 職人プロフィール

 大蔵盛司

 ろくろ細工の仕事は中学を卒業後すぐ、16歳からはじめる。47年技を磨いてきた熟練の伝統工芸士。

 こぼれ話

 輸入製品との見分け方

 現在、南木曽ろくろ細工に良く似た輸入製品がよく出回っています。主に中国からのものが多いようですが、産地のものと類似品とを判別するにはどうすればいいのでしょうか。ここではその判別の仕方についてご紹介します。
まずは、原材料や外見。中国ではケヤキが多く採れないため、中国製のろくろ細工の原材料としてはハシブトナツメの木がほとんどです。産地のろくろ細工にもカンが使用されているものがありますが、細やかさは上です。ただ、素人目には見分けがつきにくく大体の人は違いが分かりません。
 他の判別方法として挙げられるのは金額です。中国製のろくろ細工は品物にもよりますが、小物など安いものでは500円程度で購入できるものもあります。産地のものは同じ形状のもので数倍以上と考えていいでしょう。
伝統工芸マークはどうでしょうか。現状では、貼付されていない製品がほとんどです。なぜなら、ろくろ細工自体が呼吸をしているため、シールをはがした際に変色の原因となってしまうためです。
 一番信頼のおける購入方法は、やはり現地の直販店で、ということになります。直販店ならば店員が丁寧な説明をしてくれますし、ろくろ細工の体験をさせてくれるところもあります。「木曽の木地師」をめぐるツアーを利用して、作業工程などを見学しつつ製品を購入するというのはいかがでしょうか。

*https://kougeihin.jp/craft/0613/ より


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