「カイロス」
カイロス(KAIROS)は日本の衛星打ち上げ用ロケットである。民間企業スペースワンの開発した自社事業用のロケットで、小型衛星の打ち上げを目的とする。
「大型の衛星を少数打上げるのではなく小型の衛星を大量に打上げるという発想」をもとに、「契約から打上げまでの「世界最短」と打上げの「世界最高頻度」をめざす」小型軽量のロケットである。動力に固体燃料を使うことで発射までの準備期間を短縮し、衛星の受け取りから4日で発射することを可能にした。また効率化のため、GO/NOGO判断などの管制手順を自動化したほか、異常発生時の指令破壊も機体に自動で判断させることで、打ち上げの省人化を実現している。
なお、ロゴは「https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2021-155616/40/ja」である。
名称
ロケットは「Kii-based Advanced & Instant ROcket System」の頭文字からKAIROSと命名された。
カイロスはギリシャ神話に登場する「時間」および「機会」の神。同社は「世界で最も契約から最短で、頻繁にロケットを打ち上げる」宇宙輸送サービスを目指していて、「時間を味方に市場を制する」との意思を示したという。また、カイロスにはギリシャ語で「チャンス」の意味があり、好機をとらえて事業を成功に導くという思いも込めた。
製造
キヤノン電子が駆動系や電子制御に関わる部品の一部を供給[3]し、群馬県富岡市にあるIHIエアロスペースの富岡事業所で製造される。
打ち上げ
初号機
令和3年(2021年)度中の打ち上げを目標としていたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延やロシアによるウクライナ侵攻の影響で部品調達が遅れ、4度にわたって延期された。
2024年(令和6年)3月9日に、内閣衛星情報センターの短期打上型小型衛星を搭載しての打ち上げが予定された。当日午前6時半、11時1分12秒の打ち上げの実行を判断したが、直前に予定時間を変更。11時17分12秒打ち上げとされたが、警戒区域に船舶が侵入し、速やかな退去がなされなかったため、打ち上げは「JST:3月13日11時1分12秒」へ延期となった。
2024年3月13日11時1分、スペースポート紀伊より発射されたものの、数十メートル上昇したのちに爆発を起こし、打ち上げは失敗となった。山中に落下した破片により周辺では火災が発生し、木々などが焼けた。発射施設に大きな損傷はなく、焼損面積は山林やロケットの残骸を含め約980平方メートル。スペースワンは「飛行中断措置が行われた」と発表している。
打ち上げ失敗の原因
スペースワンは2024年8月25日の会見で初号機の失敗について、事前の固体燃料サンプルの分析を元にした推力の予測よりも実際の第1段ロケットの推力が数%不足しており、設定していた飛行正常範囲から外れたことをロケットが検知して自律破壊に至ったと説明した。また、自律破壊をしなければ正常に飛行した可能性が高いとしている。2号機では推進系等の機体側の設計変更はせず、飛行正常範囲の設定を見直すとしている。
2号機
2024年10月9日、スペースワンは2号機について、12月14日午前11時から午前11時20分、スペースポート紀伊から打ち上げると発表した。ペイロードはマイクロサット1基、3Uのキューブサット4基の計5基とし、うち4基について輸送サービス契約相手はSpace Cubics、台湾国家宇宙センター(TASA)、テラスペース、ラグラポ(広尾学園中学校・高等学校の衛星打上げを支援)、1基については契約相手を非公開と発表している。
第1回GO/NG判断が行われ、打上げはGO判断が出された。打ち上げ時刻は「JST:14日11時00分00秒」とした。ただその後、天候が悪化。高度10km以上で風速の影響が大きく、細長いロケットに過大な加重がかかるなど打上げには適さない状況と判断し、延期。カイロスロケット2号機の打上げ日を「JST:15日11時00分00秒」に変更した。
さらに延期された当日15日も、発射場上空は強風であったため、安全な飛行が困難と判断し、打ち上げを再延期した。16日付で新たな打ち上げ日時は18日11時00分00秒 (JST)と発表された。
18日午前11時00分00秒に打ち上げが実施され、打ち上げの3分後には1段目と2段目の分離が行われた。しかし、11時15分にミッション達成困難と判断されたため、飛行中断措置が行われた。
*Wikipedia より 24/12/19時点
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