アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

島唄&変なおじさん

2009年01月08日 | Weblog
  悲しみを笑いとばす強さ

 「島唄」…民謡居酒屋の三線のお兄さんに説明されて、ショックを受けました。
 これまでの知識は…
1 THE BOOMの歌の題名。
2 反戦のメッセージもあり、大ヒットしたので、教科書に採用された(音楽、英語、地理)。
 まあこんなもの(知識というほどのものじゃないですね)。ところが、元々「島唄」は、奄美諸島の民謡全体を指す言葉であるという。THE BOOMの島唄のヒットにより、伝統的な「島唄」の影が薄くなってしまった。このことを嘆く人たちもおられるという。そりゃそうでしょう。庇を貸して母屋を取られた格好ですから。

 THE BOOMの島唄の歌詞。「反戦」には違いないのですが、ニライカナイが出てくるので、俗人が三線兄さんの受け売りで解説するようなものではないです。ニライカナイは、「生者の魂の出発点で、死者の魂が帰るところ」。遥か遠い東(辰巳の方角)にあるとされている。沖縄を車で走ると、「なんだこりゃあ!」と驚愕する程立派なお墓を目にする。形は、台湾の墓と同じ。亡くなった人を大切にする。これは、「死者の魂は親族の守護神になる」という信仰からとのこと。ニライカナイは、霊が守護神へと生まれ変わる場所でもあるのだと。

でいごの花が咲き 
風を呼び嵐が来た
でいごが咲き乱れ
風を呼び嵐が来た 
繰り返す哀しみは 
島わたる波のよう 
 歌詞の意味は、「春に米軍が上陸し、残酷な殺戮が寄せては引く波の様に繰り返された」
 
島唄よ風に乗り  
鳥とともに海を渡れ
島唄よ風に乗り  
届けておくれ    
私の愛を
 「島唄よ風に乗って、魂と共に海を越えてあの人がいるニライカナイへ私の愛を届けておくれ…」
 
海よ 宇宙よ 神よ 命よ このまま永遠に夕凪を
 「今、あなたを思い、永遠の平和を祈る…」
 酔っぱらって歌うような歌ではなかったのです…。

 「変なおじさん」は、志村けんさんのオリジナルだと思っていました。ところが、民謡居酒屋で「変なおじさん」と同じメロディーで、「ハイサイおじさん 、ハイサイおじさん・・・」と、歌っている?何と、「変なおじさん」の元歌が、「ハイサイおじさん」だとのこと。これで、目からウロコが2枚落ちた。高校野球の甲子園で、沖縄県代表の応援団が、どうして志村けんの「変なおじさん」で、カチャーシーを踊るのか不思議でしたが…大いに納得しました。

「ハイサイ」の意味は、「こんにちは」で、朝でも昼でも夜でも、いつでも使える挨拶の言葉とのこと。ハイサイの女言葉が、「ハイタイ」とのこと。タイ語では、男の「こんにちは」が、「サワディカップ」女言葉が、「サワディカー」沖縄の言葉とタイの言葉、挨拶に男用と女用がある点で似ています。

 「ハイサイおじさん」の歌詞の意味ですが…こどもがおじさんをからかうのです。おじさんは、真面目に切り返す。一例をあげると… 
 (こども) こんにちはおじさん おじさんのハゲは大きいよ台湾ハゲ!(台湾人を小馬鹿にしているわけではなく、台湾の形をしたハゲということ) 
 (おじさん) ハゲは優秀なんだぞ 私の祖先はみな優秀
 (こども) それではボクも整形して あちこちにハゲを作ろう

 ユーモラスと言えないこともないが・・・
 「おじさん」には実在したモデルがいた。おじさんは、沖縄戦の悲惨な体験から心の病になったのだそう。こどもが、そのおじさんをからかっちゃいけません。
 ちょっと待った!高校野球の甲子園で応援団が、どうしてそのような重い内容の、「ハイサイおじさん」で、カチャーシーを踊るんだ!?不謹慎じゃないか!
 「悲しみを笑いとばす強さ」が沖縄の歌にあるということでしょうか。