福井の例は全国への警鐘
「成人式で暴れる」…毎年必ずある。近年は、報道される暴走例が減少しているので、徐々に良識をわきまえるようになってきたのかなと、思っていました。しかし、むしろ凶暴化も…。「沖縄県、神奈川県、福井県」…ほかの都道府県でもあったでしょうが、たまたま新聞で見たのはこの３県。
福井県は、全国学力学習状況調査（全国学力テスト）の総合で、小学校は全国第２位、中学校は全国第１位です。このたび、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授は、福井県の御出身。南部さんは、「福井の教育は良かった。伝統的に教育熱心な土地で育ったことに感謝しています」と。
私としましては、「児童生徒の学力は、地域の将来の力を表している」という考えです。学力日本一、ノーベル物理学賞受賞者が、「伝統的に教育熱心」と評している福井県で、新成人が暴走した。
全国学力テストの結果と、新成人が成人式で暴走するのとは、何ら関係ありません。４７都道府県、どこにでも親の躾け、学校の指導、地域の教育力では間に合わず、「常軌を逸する子」は、おります。その子が、「×県」の子だから×県がよくないということでは全くありません。福井県と並び、学力日本一の秋田県にだって、法を犯す若者は、たくさんいるはずです。
＜現在の福井県の教育現場の実態＞
○ 学力日本一のため、他都道府県の教育関係者の視察急増（東京都、北海道からはまだ行っていないようです）・・・対応しなければならないので、教員にとって本務とは異質な業務をしなければならない…時間がとられる
○ ゆとりのない教育現場
部活動の指導、事務作業（各種報告書作成、進路関係等）、授業の課題チェック、保護者対応、会議・打ち合わせ…帰宅が午後８時～深夜
○ 厳しさが増すばかりの教育環境
１週間の時間外勤務は…小学校１７時間１８分、中学校は２４時間
教員が児童生徒と接しない仕事で疲弊している。２００７年度にうつ病などで病気休職した教員は、２８人（過去最多）。
「こりゃあひどい！」と思われる方、これは、福井県の例ではありますが、ジャパンスタンダードなのですよ！つまり、福井の教育現場の実態は、視察者の急増を除き、実は日本全国共通の教育現場の実態なのです。
＜ところでこの度の成人式では、どんな暴走があったのか…＞
沖縄県の場合・・・新成人が会場への道の渋滞を理由に、対向車線を逆走し道路交通法違反の疑いで逮捕された。もう一人が、逮捕された男を乗せたパトカーの前に立ちはだかって窓ガラスをたたき公務執行妨害の疑いで逮捕された。
神奈川県の場合・・・タクシーのボンネットに飛び乗り、さらに別のタクシーにも飛び乗って（忍者並みだね）ボンネットをへこませ逮捕された。
酒に酔って騒ぎ、駆けつけたパトカーの後部ガラスを素手で叩き割り逮捕された。
福井県の場合・・・福井市の成人式で、約２０人がステージに上がり…写真を撮ったりクラッカーを鳴らしたりした。
学力と、これらの行為とは無関係という前提の元、沖縄県、神奈川県、福井県の３県の、全国学力学習状況調査（全国学力テスト）の結果を見てみますと…
＜全国学力学習状況調査の総合順位＞
沖縄県 小学校４７位 中学校４７位
神奈川県 小学校２７位 中学校３４位
福井県 小学校 ２位 中学校 １位
沖縄県の取り組みについては過去に詳しく述べました。秋田県との教員交換など懸命に学力向上を模索しています。今後の成果に期待します。実情として、成人式で暴走する子が出ても、全くおかしくない状況のようです。プロ野球ロッテの八重山商工高出身の大嶺祐太投手が言っていました、「プロ野球選手にならなかったら、暴走族になっていたと思う」と。
神奈川県の結果、間違えているんじゃないかって？中学校の順位が、急に７都道府県に抜かれるのはたしかに不自然。しかし、間違えてはいません。どうしてそういう結果になったか？これは、私立の中学校が全国学力テストへ参加していないからでしょう。神奈川県の場合、高いレベルの私立中・高が多数集まっています。勉強熱心な子は、私立中学校へ進む傾向があります。
平塚市の神田高校が、入試で服装や態度がおかしい受験生を不合格とした問題。そのときの私の主張は、「神田高校は正しい。悪いのは中学校」でした。神田高校の校長は、更迭されました。その後の保護者や生徒、そして世論は頼もしかったです。「神田高校は当然のことをしたまで。更迭された校長を学校現場に戻そう」と、署名活動やら嘆願書やら。「服装の乱れは心の乱れ」ですから、成人式で平気で暴れます。
横浜市は、１２年度から、小学校３４６校と中学校１４５校の計４９１の全市立校で「小中一貫教育」を実施します。中高一貫より、小中一貫のほうが成果が出ます。何とか学力を上げようとしていることがうかがえます。
三県の事件、同じ土俵では語れません。暴走の「質」が問題です。沖縄、神奈川の場合は、「公務執行妨害」です。福井の場合、「調子に乗って騒いだ」。
公務執行妨害事件を起こした子が出た市町村は、「断固許さない」という態度でなければ、来年もまた起こります。福井のようなケースは、４７都道府県、どこでも起こります。「ステージへ上がって騒がないこと」この注意一言で、９０％防げます。残りの１０％は？「精密機械でも、遊び（誤差）が必要」、ステージへ上がって奇声を発する子…必要ではありませんが、悪にしてしまうこともないでしょう。
「パトカーのガラスを割る新成人」「ステージで騒ぐ新成人」これらは、家庭と、学校と、地域社会が、２０年かけて作り上げたものです。学力と暴走、無関係ですが…関係があるようにも見えてきてしまいました。
「成人式で暴れる」…毎年必ずある。近年は、報道される暴走例が減少しているので、徐々に良識をわきまえるようになってきたのかなと、思っていました。しかし、むしろ凶暴化も…。「沖縄県、神奈川県、福井県」…ほかの都道府県でもあったでしょうが、たまたま新聞で見たのはこの３県。
福井県は、全国学力学習状況調査（全国学力テスト）の総合で、小学校は全国第２位、中学校は全国第１位です。このたび、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授は、福井県の御出身。南部さんは、「福井の教育は良かった。伝統的に教育熱心な土地で育ったことに感謝しています」と。
私としましては、「児童生徒の学力は、地域の将来の力を表している」という考えです。学力日本一、ノーベル物理学賞受賞者が、「伝統的に教育熱心」と評している福井県で、新成人が暴走した。
全国学力テストの結果と、新成人が成人式で暴走するのとは、何ら関係ありません。４７都道府県、どこにでも親の躾け、学校の指導、地域の教育力では間に合わず、「常軌を逸する子」は、おります。その子が、「×県」の子だから×県がよくないということでは全くありません。福井県と並び、学力日本一の秋田県にだって、法を犯す若者は、たくさんいるはずです。
＜現在の福井県の教育現場の実態＞
○ 学力日本一のため、他都道府県の教育関係者の視察急増（東京都、北海道からはまだ行っていないようです）・・・対応しなければならないので、教員にとって本務とは異質な業務をしなければならない…時間がとられる
○ ゆとりのない教育現場
部活動の指導、事務作業（各種報告書作成、進路関係等）、授業の課題チェック、保護者対応、会議・打ち合わせ…帰宅が午後８時～深夜
○ 厳しさが増すばかりの教育環境
１週間の時間外勤務は…小学校１７時間１８分、中学校は２４時間
教員が児童生徒と接しない仕事で疲弊している。２００７年度にうつ病などで病気休職した教員は、２８人（過去最多）。
「こりゃあひどい！」と思われる方、これは、福井県の例ではありますが、ジャパンスタンダードなのですよ！つまり、福井の教育現場の実態は、視察者の急増を除き、実は日本全国共通の教育現場の実態なのです。
＜ところでこの度の成人式では、どんな暴走があったのか…＞
沖縄県の場合・・・新成人が会場への道の渋滞を理由に、対向車線を逆走し道路交通法違反の疑いで逮捕された。もう一人が、逮捕された男を乗せたパトカーの前に立ちはだかって窓ガラスをたたき公務執行妨害の疑いで逮捕された。
神奈川県の場合・・・タクシーのボンネットに飛び乗り、さらに別のタクシーにも飛び乗って（忍者並みだね）ボンネットをへこませ逮捕された。
酒に酔って騒ぎ、駆けつけたパトカーの後部ガラスを素手で叩き割り逮捕された。
福井県の場合・・・福井市の成人式で、約２０人がステージに上がり…写真を撮ったりクラッカーを鳴らしたりした。
学力と、これらの行為とは無関係という前提の元、沖縄県、神奈川県、福井県の３県の、全国学力学習状況調査（全国学力テスト）の結果を見てみますと…
＜全国学力学習状況調査の総合順位＞
沖縄県 小学校４７位 中学校４７位
神奈川県 小学校２７位 中学校３４位
福井県 小学校 ２位 中学校 １位
沖縄県の取り組みについては過去に詳しく述べました。秋田県との教員交換など懸命に学力向上を模索しています。今後の成果に期待します。実情として、成人式で暴走する子が出ても、全くおかしくない状況のようです。プロ野球ロッテの八重山商工高出身の大嶺祐太投手が言っていました、「プロ野球選手にならなかったら、暴走族になっていたと思う」と。
神奈川県の結果、間違えているんじゃないかって？中学校の順位が、急に７都道府県に抜かれるのはたしかに不自然。しかし、間違えてはいません。どうしてそういう結果になったか？これは、私立の中学校が全国学力テストへ参加していないからでしょう。神奈川県の場合、高いレベルの私立中・高が多数集まっています。勉強熱心な子は、私立中学校へ進む傾向があります。
平塚市の神田高校が、入試で服装や態度がおかしい受験生を不合格とした問題。そのときの私の主張は、「神田高校は正しい。悪いのは中学校」でした。神田高校の校長は、更迭されました。その後の保護者や生徒、そして世論は頼もしかったです。「神田高校は当然のことをしたまで。更迭された校長を学校現場に戻そう」と、署名活動やら嘆願書やら。「服装の乱れは心の乱れ」ですから、成人式で平気で暴れます。
横浜市は、１２年度から、小学校３４６校と中学校１４５校の計４９１の全市立校で「小中一貫教育」を実施します。中高一貫より、小中一貫のほうが成果が出ます。何とか学力を上げようとしていることがうかがえます。
三県の事件、同じ土俵では語れません。暴走の「質」が問題です。沖縄、神奈川の場合は、「公務執行妨害」です。福井の場合、「調子に乗って騒いだ」。
公務執行妨害事件を起こした子が出た市町村は、「断固許さない」という態度でなければ、来年もまた起こります。福井のようなケースは、４７都道府県、どこでも起こります。「ステージへ上がって騒がないこと」この注意一言で、９０％防げます。残りの１０％は？「精密機械でも、遊び（誤差）が必要」、ステージへ上がって奇声を発する子…必要ではありませんが、悪にしてしまうこともないでしょう。
「パトカーのガラスを割る新成人」「ステージで騒ぐ新成人」これらは、家庭と、学校と、地域社会が、２０年かけて作り上げたものです。学力と暴走、無関係ですが…関係があるようにも見えてきてしまいました。