アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「おまえはタリバンか!」にかかわって

2009年03月13日 | Weblog
  「おまえはタリバンか!」にかかわって

 「解らなかった」「知らなかった」・・・そのため、結果として酷(むご)いことをしてしまった、酷い結果になったということ…本来あってはならないことなのですが…いくらでもあります。

 私が今も忘れられないのは、少年野球(中学生)の監督をしていたときのことです。いつも練習を休まないKくんが練習に出てきていない。チームメイトに尋ねても誰も知らないという。自宅へ呼びに行かせた。Kくんは、練習に出てきた…。動きが鈍いので、いつもより多くノックをした。翌日からがKクンは学校へ行っていないという…。なんと、39度の熱を出して早退して家で寝ていた。そこへ、野球の練習に呼び出され、いつもの2倍ものノックを受けた・・・。
 とんでもないことをしてしまった。結局、Kくんは、風邪をこじらせ2週間もの療養。新しいバッグ、新しい靴、新しい・・・を揃えてもらって楽しみにしていた修学旅行へも行くことが出来なかった。選手の状況を何も見えていなかったバカ監督のせいで・・・。
 せめてもの私自身への救いは、Kくんが高校へ進学してから甲子園に三度出場したということでしょうか。指導者がバカだと、選手が大変な迷惑を被る。あのとき…高熱があるなんて全く知らなかったのです…。それで済まされる問題だとは思っていませんが。

 鳥取県警米子署員が、自転車に二人乗りをしている高校生を見つけて職務質問した。そのうちの一人は、日光を浴びると皮膚が腫れるなど障害が起きる「ポルフィリン症」のため、黒いずきんをかぶっていた。署員は、そんなこと知るはずもなかった。
「その変な格好したやつ、止まれ。おまえはタリバンか!(アフガニスタンの反政府武装勢力)」…言ってしまいました。
 それが、暴言だということで、鳥取県議会の代表質問で明らかにされた。県警本部長は、「不適切だった」と謝罪した。
 難病で黒いずきんをかぶって生活しなければならない高校生に、「タリバンか!」と、言った。その部分だけ取り出すと、極悪人です。しかし、道路交通法違反の疑いのある高校生と警察官という状況を考えると…「言ってしまうよなあ…」と、思ってしまいます。「ポルフィリン症」だと知っていたら…当該署員のみならず、普通の人間なら、「タリバンか!」など言うはずがありません。

 Yくんが、ある大会の受付で、「ポケットから手を出せ!」と言われたことがありました。彼は、事故で右手の肘から下を失っており、手がない袖を上着のポケットに入れておくクセがありました。「手を出せ」と、言った人は、真相を知って絶句していました。この件も、知っていたら「手を出せ」などと言うはずがなかったでしょう。

 東京・江東区の暴走族「葛西怒羅権(どらごん)」のメンバー8人(16~18歳)が、茨城県の高校生5人を金属バットで殴りつけ、全治1か月の大ケガなどをさせた。
葛西怒羅権の少年らは、「縄張りで、ほかのグループが走行していたらボコボコにするおきてがあった」と…。茨城の高校生は、バイクで東京観光に来ていただけ。もちろん暴走グループではなかった。そのことを知っていたら、襲撃しなかったでしょう。ただこの事件は、「知らなかったから襲撃した」というだけの問題ではありませんが。

 これらの事故・事件が起こらないようにするためには、どうしたらいいでしょうか?「解らなかった」「知らなかった」なのですから、「解らせる」「知らせる」ことが必要。
 「熱があるんです」「日光を浴びると皮膚が腫れるんです」「肘から下がないんです」「茨城の高校生です」…全て状況が違う。解らせる、知らせるは不可能に近い。解らせる、知らせるの前にあるもの…それは何か?
 「挨拶」ですね。「挨拶」を交わし、自分が何者であるのかを晒し出す。このことにより、酷い結果を少しは回避できると思います。日本には、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということわざがあります。戦国時代でなくても通用するものです。