アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

宝くじ売りの子 ~「アンティークマンのベトナム」第6話 

2009年09月13日 | Weblog
 ホーチミン市を歩いていると、靴磨きの子が、「靴を磨いてあげる」とつきまとってくる。ズックの運動靴や、サンダルを履いていると彼らに狙われなかったのでしょうが、いかんせん、私は皮の靴を履いていた。
 「いいから!」と言っても、寂しそうな目でついてくる。ゆっくり歩いて靴を磨きはじめられても困るので、一生懸命歩きましたよ。
 え?ズックの運動靴を知らない?困ったもんだ。北朝鮮の軍隊が履いているんですよ。早い話が、「布の靴」です。ズックは日本語なのかって?カタカナで表記するぐらいなので、外来語。オランダ滞在11年のジャンボ氏が得意とする、オランダ語です。
 
 子どもが、券のようなモノを持っている。券は、名刺大で薄い紙に細かな印刷がされている。子どもは、無言で歩行者に見せては、クビを振られている。ベンチに座っている人に見せる→クビを振られる。ショーウインドウの中の店員さんに見せる→クビを振られる。カフェの客に見せる→クビを振られる…私達にはしつこくない…一体この子達は、何をしているのか?宝クジを売っているのでした。

 ベトナムの宝くじは、売り場がない。つまり、「手売り」で売る。宝くじシステムは複雑で、旅行者が買っても言葉が通じないから当選番号確認が出来ない。10,000ドン(約50円)の宝くじの1等賞金は、約750万円。2等以下の賞金は…15万円、8万円、5万円・・・9等が、500円。2等以下の賞金が、極端に低いのがベトナムの特徴。

 ベトナムの迷信に、「ゴキブリは金運を運ぶ」というものがあるそうです。ベトナムへ行くときは、ゴキブリをたくさん持っていくと喜ばれるかも知れません。4等の賞金5万円でも、余裕をもって1か月暮らせますから。

9月4日が、新学期。靴磨きの子や宝くじ売りの子たち、学校へ行ってきたのかなあ。それとも、「義務教育は、ない」から、学校へ行っていないのかなあ。
 高層ビルの建築が市内あちこちで進んでいるホーチミン市。その足場に、薄汚れた服で働く子供達がいる。
 実業家グエン氏の言葉に、「ハノイは平壌、ホーチミンはソウル」がありました。ソウルに例えられるホーチミン市に見られる格差。平壌に例えられるハノイではどんなことになっているのでしょうか…。理解しかけたかのように思われたベトナムが、また遠ざかっていくような気がしました。