アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

御供物をたべる仏様

2009年09月29日 | Weblog
 アメリカからの留学生2人を、お寺の見学に連れて行った。特に有名な寺ではなく、ごく普通の町のお寺。寺の中に、お墓を建てていない人用の、納骨のローッカーがあった。お参りに来た人は、ロッカーを開けて仏壇にお花やら果物やらお菓子やらをお供えする。
 そのロッカーコーナーへも、留学生をつれて行きました。彼女らの真っ先の質問は、「(お供物を指さし)何のために、お菓子や果物を置くのか?」であった。当然の質問です。欧米のお墓参りには、供物の習慣は有りませんから。

 私は…「亡くなった人の生前の好物などをお供えするんだよ。死者が、食べるんだよ」と、まあ、ミステリアスに説明。
 どーせ、首をかしげるだろうと思ったら、意外にも大きくうなずき、理解した様子。しかも、かなり感動している。死者が供物を食う…それほど説得力のある説明とも思えないが・・・

 な、な、なんと。お供え物の横に灰皿があり、吸い殻が一本。2人のアメリカ人留学生は、「死んだ人が、好物のタバコを吸った」と思ったのでした。私の話に感動するはずです。仏壇に吸い殻があったのですから。

 ドイツとフランスのテレビ局が、「田の神」を取材したという。「田の神」の話、日本では全く話題にもなりませんでした(外国のテレビ取材で、ようやく話題になった)。
 どんな話だったか…
 「大黒天姿の田の神像(南九州市にある)」が盗難されそうになる騒ぎが起きた(5月)。住民は、盗まれちゃかなわないと、「像と台座を固定する」ことを協議した。しかし…ここからが素晴らしいのです…「像と台座を固定してしまっては、田の神様が夜中に田の見回りができない」と、固定を取りやめた。
 ドイツとフランスのテレビ局は、このことにおおいに関心をもった。そして、この度の取材とあいなった。「神話の芸術」という教養番組で、ドイツ、フランスのほか、ヨーロッパ数カ国で放送される(2010年1月)。

 「田の神の像が、夜中に田の見回りをする」日本人にとっては、「ああ、そーゆういい伝えね」で、やんわり終わりにする。もちろん内心は、「んなわけないべ!」。
 番組の監督さん(フランス人)は、「人々の、田の神への敬意に感動した」と話したという。こういう感性…本来、日本人のものだったのに。

 なお、日本での放送予定は…ない。放送しても、観る人が少ないでしょうねえ。