アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

のりピーさんの介護職志望を耳にして

2009年11月01日 | Weblog
「介護」という言葉の起こりは、軍人への恩給給付で使われた言葉でした。(私の愛読書である白川静さんの常用字解によると)「介護」の「介」という字は、体に鎧を着けた人の形(象形文字)。身を守り、身を助けること。
 そうだったのか、「介」は、鎧を着けていた…それで軍人の…。「チ、ガ、ウ!」というツッコミがほしかったですが。
 現代の日本で「介護」は、軍人とは何も関係がなく、障害者の生活支援をすること。あるいは高齢者・病人などを介抱し世話をすることです。

 この介護という言葉は、軽々しく遣ってほしくない。私は、母親を家人に介護してもらった経験から少しは分かっているつもりですが、それはそれは大変なことです。
 「支援費支給制度」により「障害者」の、「介護保険法」により「高齢者」の、それぞれ在宅介護サービスがかなり一般化してきた…しかし、サービス利用者は全体の10%程だという。問題点?周知法ですね。法や制度を理解し、それ普及する人が少ないというところに問題がある。この種のものの周知は、「人」でなければダメです。
 あと…介護を行う介護職(介護福祉士やヘルパー等)が低賃金。知人で、介護関係の資格を有し一度は施設等に勤務していた人が結構な数おりました。およそ60%は転職し、介護とは無関係な仕事をしています。「仕事がキツイ。給料が安い。やってられません」そんな状況ですから、介護施設の90%は、慢性的な人材不足。昨年度政府が予算を増やしてくれましたが、焼け石に水。

 話の焦点がずれますが、高校の校長先生とお話する機会がありました。「本校の生徒の進路で、介護の・・・」と、説明してくださったのですが、「介護の・・・」のあたりで、「どうだ!介護だぞ、介護!凄いべ本校は!」という表情で鼻の穴をふくらませました。私が、渋い顔をしているのが不本意そう。おそらく、「介護・・・」と言えば、みなさん称賛するのでしょう。私は、「介護の実態をどれだけ知って進路指導しているのか?」と、問わせていただきました。介護関係の専門学校へ行く生徒が多いというのは、高校としては自慢かも知れない。世に中が特に必要としている職だから。しかし、介護の資格を取得して職に就いても、辞める人が多い(数字としては持っていませんが、周囲の状況から間違いなく多い)。どんどん辞めてしまう…その内容を生徒が理解しているのだろうか。さすが校長先生は、そのことを理解されておられました。「介護職の道を止めさせるのも・・・」もっとも、私は、止めさせろなどとは言っていない。

 介護が必要な人の「下の世話」「体位交換」「入浴」をさせる。重労働です。熟練した、ヘルパーさんでも、体位交換、入浴、トイレの介助の際に腰を痛めてしまうことが多いのです。さらに、不規則な勤務、人が遊んでいても働かなければならない…それなのに給料が安い…網羅しきれませんが、そのような実態に納得して進学するのであれば、何も言うことはありません。大いにやっていただきたい。

 「介護職」の底流には、「命の尊厳」があります。大変重要な仕事、国民が必ずと言っていいほどお世話になる。それを食い物にしようとする介護施設業者もいた。このことは、認可、監査を厳しくしたことにより、ほぼ落ち着いてきている様子。

 「介護の仕事をしています!」このフレーズに日本人はイチコロという構図は今も健在。実際には介護の仕事をしていなくても、「介護の仕事をしたいです」でも、好感度です。黄門の印籠か、キリストの十字架か、北島康介のセリフかです。どういうことかって?「なんもいえねー」です。

 それで、のりピーです。
 「のりピー」と、初めて聞いたとき、ビールのおつまみの、「海苔とピーナッツのスナック菓子」だと思いました。「柿の種とピーナッツ」のスナック菓子、「かきぴー」があるもので…。芸能人の通称名であると知ったとき、「ピーは何なんだ?ピーは!」と、周囲に問うたが私が納得出来る回答はなかった。アンティーク世代では、「ピー」といえば、腹の調子が悪いときの擬音なんだけど。

 閑話休題。覚せい剤が大好きなのりピーさんが、執行猶予になったら専門学校へ行き介護福祉士や社会福祉士の仕事をしたいんだと!執行猶予中に、国家試験を受験できるのか?…そのあたりどうなるのか分かりませんが…のりピーさんが、介護施設の利用者さんの下の世話をしている姿がイメージ出来ません。ゲスの勘ぐりですが、「好感度アップ作戦の切り札、介護の仕事に就きたい宣言!好感度アップで、国民の同情を買って早期芸能界復帰ー!」間違いない。
 のりピーさんが介護したら、「介誤」になるのではないかと…
 私はいつも一言多くて「改悟」していますがね。白川静さんの本で、「介」を見ていたら、「一人自らの志を守る生き方を介然という」という一説が。還暦を過ぎてから、「介然」という素晴らしい言葉に出会った。と、いうか勉強が足りないだけなのですがね。ブログのタイトル、「アンティークマン」に飽きたら、「介然マン」にしようかな。