アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「日本人見捨て作戦」へ公的資金は…

2009年11月10日 | Weblog
 「JAL」は、還暦過ぎ世代にとっては雲の上の会社でした。大卒新入社員採用枠が数百人のところ、志願者は数万人ということもありました。今考えると、夢だったのかなと思うほどです。福利厚生が素晴らしかった。乗務員の通勤は、ハイヤー送迎。乗務員の宿泊は、もちろんスイート。社員寮は瀟洒なマンション。社員には終身無料パスの支給。無料パスは家族にも適用された。

 栄耀栄華を極め、飛ぶ鳥を落としまくったJALが経営危機に。雲の上から降りてきて、政府に助けを求めることになろうとは…。
 経営危機の要因の一つに挙げられているのが、「年金」。年金が高すぎるのです。具体的には、公務員の年金の、およそ2.7倍です。もっと分かりやすく書けって?公務員の年金が月額15万円として、JALの年金は、月額40万円。これなら良く分かるでしょう。いかに高額の年金か!公的資金を投入して、JAL元社員の年金まで我々庶民の血税で払うのかなあ?複雑な気持ちです。
 政府は、「企業年金の高い給付水準を強制的に引き下げることができる特別立法」の検討に入った。いいぞ、政府!

 と、と、ところが、JALのOBらで作る「JAL企業年金の改定について考える会」は、政府が検討している企業年金の給付水準引き下げに反対する要請文を長妻厚生労働相あてに提出した。月額40万円は払ってくださいよ。確定給付企業年金法に基づいて設定されている年金額ですから!と、いうこと。

 盗っ人猛々しいとは言いませんが、この人たちのためにさしあたり、3,300億円必要なんですよ。日本人を、(結果的には死者は出なかったが)見捨てておきながら、高額な年金をきちんと国で面倒見ろと…!

 日本人を見捨てた…
 イラン・イラク戦争とき、サダム・フセイン大統領が期限を設定し、「イラン上空を飛ぶ航空機は、無差別に攻撃する」と、宣言。イラン在住外国人は、脱出しなければならなかった。それぞれの国の航空会社や軍が救援に当たった。
 当時、日本人の脱出のために飛行機を飛ばすことが出来たのは、JALしかありませんでした。そのJALが、救援を拒否。労働組合が、「安全が確保できない」「戦争に加担するに等しい」という理由で反対したから。
 200名を超えるイラン在留邦人が、全く脱出方法が見つからずに生命の危機に瀕する状況となったわけです。

 助けてくれたのは、トルコ。トルコ政府はイランの日本人に救援がないことを知り、トルコ航空の自国民救援のための最終便を2機に増やしてくれた。おかげで215名の日本人が期限ぎりぎりで危機を脱することができた。トルコは、「トルコ人は陸路でも脱出できるから」と、(トルコ人に)優先して日本人を救出してくれたのです。(実際、この救援機に乗れなかったトルコ人約500名は、陸路イランを脱出した)

 トルコ政府、トルコ航空の、「困っている人は、人種国籍を問わず助ける」という武士道精神は素晴らしいです。「JAL企業年金の改定について考える会」のメンバーは、その時の状況の生き証人でしょう。「企業年金の給付水準引き下げに反対」…その気持ちは理解できる。だけど、半額でも公務員より高い。我慢してください…。