アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ト、トマソン

2014年10月30日 | Weblog
 亡くなってから、生前以上に話題になる人も珍しい。ここんとこ、日本中の新聞で生前のエピソードを取り上げています。日本中の新聞をチェックしたのかって?チェック出来るはずないでしょう!しかし、だいたい分かります。

 高瀬川でもなく源平合戦でもない、「赤瀬川原平」さんなんですがね。もうかれこれ、30年前に、「トマソン」で有名になった。芸術家で芥川賞作家で、映画の脚本も手がけた。「老人力」はベストセラーになった。しかし、生前は(亡くなった)今ほどは、マスコミに取り上げられなかったような。亡くなってから、「凄い人、こんなおもしろい人だったのか」と、あらためて気づいたというところでしょう。
 尾辻克彦を知っている人は、赤瀬川原平と同一人物であることは知っていたでしょう。才能が、地獄谷のようにブクブクと沸いていた人だったんでしょうねえ。

 私は、「トマソン」がおもしろかったです。プロ野球の巨人が、引退した王選手に代わる主砲を米国に求めた。鳴り物入りで来日したのがトマソン選手。ところが、成績不振で「トマ損」と揶揄された。早い話がいじめ。だけど、有名人にとっては揶揄はもとより、誹謗中傷は税金みたいなもの。2シーズン在籍。2年目の成績は、47試合出場、打率1.87、本塁打ゼロ。これじゃあ…「トマ損」だよねー。
 このトマソンに目を付けたのが、巨人ファンの赤瀬川原平さんだったわけで。街で見つけた、心引かれるけれど役に立たないものを「トマソン」と呼びだした。

 「トマ損」のほか、「ジョン損」という野球選手もいました。「ジャク損」もおりました。私は、「ジャク損」をさらに、「弱損」としておもしろがっておりましたがね。

 「老人力」…「物忘れ・イズ・ビューティフル」「宵越しの情報はもたない」…若い人にとってはおそらくおもしろいでしょう。だけど、高齢者となった私にとっては、寂しいです。えっ?「そういうことを言うと、トマソンと呼ばれるぞ!」って?
 …も、もうトマソンになってます…。