デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



マルクス・ガブリエル/著 マイケル・ハート/著 ポール・メイソン/著 斎藤幸平/編 『未来への大分岐』(集英社新書)読了。

ショッキングな内容だった。
モノの需要よりも生産技術の向上によってモノが溢れかえった潤沢な社会、限界費用がゼロになる社会になりつつあるのに、これまでの産業資本主義を維持するために莫大な債務が発生していることが分かっているのに止められない。時代が進み産業資本主義が終焉を迎えつつあるのに、これまでの資本主義から転換を図ろうにも変化をよしとしなかったり変化を恐れるあまり、自分にとって都合のいい相対主義に陥り、目の前の問題を「誰かのせい、他国のせい」にしようとする政治家を支持してしまう。
この本で語られた内容や対談している4人の識者の思いを矮小化どころか整理にはなっていないといわれるかもしれないが、このようなことだろうなと実感してしまった。
若い頃、私は雇用を増やしたいならワークシェアリングと労働時間を短縮と世の中で機械が行っている労働を不便を承知で再び人間がやるようにすればよいと思っていたが、事はそう単純なものではないことがこの本を読んで更に身に沁みる。さらに人類に危機をもたらしている気候変動や地球環境の問題に取り組むには、無くなった海岸の砂浜を他国から輸入した砂でもって「再生」させれば事が済むわけではない。
畢竟、

 とくに晩期のマルクスの自然科学ノートを読むとわかるのは、彼が懸念し、関心をもって取り組んでいたのは、利潤の最大化を第一目的とする資本主義においては、持続可能な地球の管理は不可能だ、ということの証明だったのです。
p72


我々が発展させていかなくてはならないのは、地球との新たな関係だ。人々がともに地球に対してケアを行うという、今までとは違った関係を地球と結んでいかなくてはならないのだ、と。
p76


たしかにそうなんだけどなぁ…。
政治でしか世界を変えられないという発想にしがみつくことしかできないことを自覚するのはつらいが、政治主義・制度主義に陥ったまま、産業資本主義を維持するために資源を浪費し続ける社会に警鐘を鳴らしているのはよくわかる。また人間はものの捉え方や思考の面でもヴァージョンアップできることをこの本は教えてくれるように思う。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )