敬愛なる恩師の新刊「教皇たちのローマ」2020年3月第1版をご紹介させて頂きます!右は、前著「フィレンツエの世紀」です。
石鍋真澄氏は、私に西洋美術史を、特にイタリア美術史をご指導下さった成城大学教授です。数々の名著からは、イタリア美術が、単なる「美」の魅力とその理知的な「手法」という妥協した解釈にとどまらず、私に新たな気づきや導き、可能性を空想する機会を与えてくれました。卒業から現在に至るまで、それらは決して枯渇することなく、深く深く感謝を申し上げます。
新書の「帯」「あとがき」からの文章を抜粋させて頂きますと、「美術史では扱われることのない、破壊の歴史に焦点を当て、それを乗り越えたローマの歴史とそこで花開いたルネサンスとバロックの創造の歴史を記述しようと思った。なぜなら、ルネサンスを人間の発見と創造の物語として語り、バロックを対抗宗教革命の高揚した宗教精神の表現と捉える、といった紋切り型の説明に疑問を持ってきたからである。」
具体的には、ローマ美術を「3つの黄金時代」という言葉で語られ、ルネサンスとバロックを一連の運動と考えられています。美術に関わらず、イタリアやヨーロッパを理解する上では欠かせない研究書です。「破壊と再生」その気になる壮大なキーワードを読み進めるために、「序」と「あとがき」から言葉を追ってみますと、とても読みやすい文体でドラマ制を感じました。今日から本文に入ります。
タイトル<<Credenza>> 陶磁器絵付、笠原知子作
dipinto a mano su porcellana, kasahara tomoko
dipinto a mano su porcellana, kasahara tomoko
本日、4月12日はイースター(復活祭)です。こちらは、2014年に完成させた陶板画<<Musica>>を繋ぐもの、として製作しました。
2匹の犬のダイナミックなポーズとオークの葉と小さな実がびっしりと描き込まれたこの柄は、16世紀フィレンツエの病院の薬種房の道具一式の中で、しばしば登場します。幾つかの星も描き込まれているのは、自然を補うものとして、星による神秘的な力と魔術的な影響が、薬の治癒力を最大限に高めると考えられていたという、当時の解釈に基づいています。これらは、典型的なブルーで描かれることが殆どでした。(参考文献:展覧会カタログの学芸員解説より抜粋)
医学、科学、芸術が手を取り合って美しい作品を生み出していった「フィレンツエ」という都市に思いを馳せながら、チョコレートやハーブティー、その時代のその人にとって必要な力を補ってくれる食べものを、私は入れて欲しいと願って、この器を選び、描きました。
私は、これからも、恩師の数々の著作物に助けられ、好きを深めながら、皆さまに届けられることが増えていくのだと思います。どうぞ、石鍋真澄氏で検索してみてください。歴史を語る美術書で気になるタイトルを読破して見て下さい。そこには、自分自身の日常が豊かになるヒントを探せるかもしれません。最後に、恩師に感謝を込めて、新刊おめでとうございます。そして、全てに感謝を込めて、愛と光と希望の未来を祈って!
イースター2020年の記録