ふがいない僕は空を見た
窪 美澄
新潮社
5話から成る一つの物語ではあるけれど、第1話に登場する主要人物達が第2話以降にそれぞれ主人公となり、一人称で書かれていて、独立した5話にもなりうる構成が面白い。
なので、主人公は男子高校生、不妊治療中の新妻、女子高校生、ベテラン助産師さんと幅広く、内容が盛り沢山。
人それぞれが傷や闇を抱えながら、なんとか生きていく逞しさは、現実の私達も同じ。
なんでこんな本を手に取ってしまったのかと後悔の第1話だったけれど、第5話では祈ることしかできない母親の気持ちがよく分かって涙がポロリ、いつの間にかバカ息子をも応援したくなる。
第1話がR18であったことを忘れさせるような、爽やかな安堵に近い終結。