1954年
福岡商大も立命のエース紀藤の速球とカーブにまったく手を焼き、二回以後わずか1安打を放っただけで敗退した。
三宅に代った紀藤は左腕から内角へスローカーブ、内外角には速球を配する頭脳的なピッチングで福岡の打線を1安打に封じてエースの貫禄を示した。
関西六大学の王者、立命館大学の主戦投手紀藤広光君(22)の中日ドラゴンズ入りが決り、一日正式入団が発表された。現役選手に登録、ただちに第一線選手として早くも活躍が期待されている。背番号は23。同選手は左腕、本格派の速球投手としてすでに定評があり、ドロップにも威力がある。身長五尺八寸、体重十七貫は投手としてまず申し分なく、柔かい投球フォームからくり出す左投手特有の速球はドラゴンズの新威力として期待されている。現在まで立命館大経済学部三年生に在籍、今春の関西六大学リーグ戦ではエースとして7勝2敗の好成績をおさめ優勝に導いた第一人者として最優秀投手に推薦された。最近では大学選手権で明大と優勝を争いバックが振わず惜しくも敗れはしたが、彼の投球は光った存在として認められている。犬山市御幸町出身で、昭和二十七年犬山高を卒業、立命館大に入り、こんど中退したもの。高校時代は中日本多外野手の後輩で、地元チームに入団したわけである。八月三十一日、東京の大学選手権を終って来名、はじめて中日球場に現われドラゴンズのユニホームを着た同選手は入団の抱負について次のように語った。「プロ入りした動機は主として家庭の事情によるもので、中日ドラゴンズに入ったことは地元チームという点からいっても非常にうれしい。幸い天知監督以下全部の先輩選手がいい人ばかりで、これからは大いにがん張って勉強してみたい。とくに本多さんがいるので心強い。ずっと練習しているから格別にトレーニングの必要もなくいますぐにでもプレイができます。もちろんプロ野球と学生野球ではバッティングでも格段の差があるが、やれる自信はある。来年から・・・というより、きょうからでも投げてみたい」
1955年
昨年中途で入団、立命大のエースだっただけに今年はかなりいけそう。速球とシュートが武器。