そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

オシムの言葉@日経新聞

2007-02-23 23:40:59 | Sports
今日の日経新聞朝刊には、「オシム@ジャパン」と題したスポーツ特集面が組まれていた。
月イチ連載の2回目のようだ。

ライターは武智幸徳記者。
この人、日経新聞にいるのが不思議なくらい良質のサッカー記事を書く記者だと常々思っている。
あのオシムの言葉を題材に、この人が書くインタビュー記事なんだから面白くないわけがない。

前半は、いよいよ決勝Tが始まった欧州チャンピオンズリーグについて。
アウェーゴール・ルール(ホーム&アウェーで勝敗が並んだ際に、アウェーでの得点を2倍にした上で得失点差により優劣をつけるルール)がホームチームへの過度のプレッシャーとなり、スペクタクルな試合が減少していることを指摘。

「絶対に負けられないとマスコミがあおり、それにサポーターが乗せられてプレッシャーを感じた監督や選手は本来やるべきことを忘れていく。さまざまなプレッシャーに縛られた選手たちは闘技場のグラディエーター(剣闘士)さながら。救いは負けても死人にならないことだ。」

日本でもサッカー文化が浸透するにつれて、サポーターの勝負に対する要求もかなり厳しくなっている。
特に日本代表の試合なんか顕著で、ちょっとでもミスする選手がいたり、負けたりすれば、とたんに罵詈雑言の嵐。
もちろん勝負事は勝ってナンボなのは当然のことだが、一切のミスも敗戦も許さないというのは、いくらなんでも行き過ぎだと自分も思う。
ブラジル代表だって常に強いわけではないし、フランスやオランダが予選で敗退してワールドカップに出られないことだってあるのだ。

後半は日本サッカーへの提言。
選手だけでなく、コーチこそがもっと海外に出て学ぶべき、と言う。
Jリーグには、ベンゲルやアウトゥオリのような世界でも超一流の指導者が時々やってくる。
彼らが欧州や南米に帰って一流クラブの監督になったとき、そのコネクションを生かしてコーチを送り込むことをなぜ考えないのか、という提案である。

「何が大事なのか。それはスタッフルームや選手のロッカールームに入り込み、試合ではベンチに座って彼らと同じ空気を吸い、『共犯者』になることだ。それは書物を読んだり、映像を見ているだけでは分からないこと」

まさに同感。

ところで、自分は、まだまだ世界とのレベル差が大きいサッカーよりも、むしろ野球において、指導者の海外進出がもっと進んでもいいのではないかと考える。
大リーグで活躍する日本人選手はどんどん増えているが、監督やコーチの海外進出は(トレーニングコーチなど一部を除いて)聞いたことがない。
監督業は名誉職的なところがあるが、ピッチングやバッティングのコーチに関しては名指導者と言われる人が日本にも数多い。
もちろん、まったく文化の違う大リーグに行って指導者として成功することは簡単なことではないだろうが、逆に日本のプロ野球には次々と外国人監督がやってきて、バレンタインやヒルマンのように成功を収めているのだから、やってやれないことはないはずだ。
むしろ意識の問題なのかもしれない。
今、大リーグで活躍している選手たちが、引退して指導者になる頃には状況も変わっているであろうことに期待したい。
コメント (2)
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