そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

自然失業率

2010-09-23 11:22:46 | Economics
ダイヤモンド・オンラインの辻広さんのコラムで、自然失業率の概念についてわかりやすく解説されていたので、以下備忘のためメモ。

さて、その失業率は質の異なる2種類に分けて考えることができる。「需要不足失業率」と「自然失業率」である。 

 「需要不足失業率」は、経済の悪化によって労働需要が減少し、労働供給を下回ることで上昇する。早い話が、景気が悪化してモノが売れなくなれば、企業経営者は雇用を抑え、あるいは減らしてしまうということだ。だから、リーマンショックのような大きなショックが経済に加われば、いっぺんに需要不足失業率は上昇してしまう。 

 「自然失業率」は、景気循環には左右されない。労働市場においては、好不況にかかわらず、求人側と求職側の間において求める技能や待遇など条件面でミスマッチが常に生じる。それは、適性や能力は、労働者個々によって違うからだ。仮に、労働における総供給と総需要が一致していたとしても、例えば、求人側がIT技術者を求めているのに、求職側にITスキルが欠如しているのでは雇用は成立せず、未充足の求人と失業者が同数存在することになる。これが、自然失業率である。 

ちなみに、自然失業率は総供給と総需要が均衡した状態なので、その均衡を打ち破って、財政政策や金融政策で無理やり失業率を自然失業率以下に低下させようとすると、賃金や物価の上昇を招き、インフレを起こしてしまう。 

以上は、経済学者のミルトン・フリードマンが唱えた説で、世界において浸透した標準的な考え方である。

で、「2009年時点の日本の自然失業率は、経済財政白書によれば3.5%程度、OECDによると4.1%程度」にも上っているとのこと。
コラムの後半では、自然失業率を低下させるためには、解雇規制緩和をはじめとする労働市場改革を進め、求人と求職のマッチ機能を高める必要があることが提言されています。
その通りだよなと思いつつも、既得権を守ろうとする志向が強力な上に、ミスマッチに苦しんでいる側にも「慣性」が働いてなかなか経済構造が転換しないことを考えると、今よりもっと事態が悪化してお尻に火がつかないと変わらないのかな、という気がする。
まあ少なくとも「一に雇用、二に雇用…」などと呪文を唱えているだけではダメなのは明白ですが。
コメント
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