フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 | |
速水健朗 | |
朝日新聞出版 |
Kindle版にて読了。
「フード左翼」「フード右翼」とは言い得て妙。
フード左翼とは、ベジタリアン、スローフード、地産地消、無農薬、マクロビオティックなどを嗜好し、食や農の資本主義化や効率化に対する反発を抱く人々。
「工業化」された農業・畜産業や、遺伝子組み換え技術に対して恐れと嫌悪を持つ。
一方、フード右翼は、ジャンクフードやファストフードなど、フード左翼が嫌う資本主義化された安くて高カロリーな食品を好んで食す層。
ただし、本書では、専らフード左翼を語ることに紙幅が費やされ、フード右翼についてはそのカウンターとして対置されるくらいであまり詳しく触れられていません。
右翼というより、どっちかと言うとノンポリ?という印象も。
食の資本主義化に疑問を抱かずに身を任せているだけという感じがする。
著者は「何を食べるかは政治的態度の表明」であると断じます。
確かにこの視点は面白い。
今どき政治運動に力を注ぐ人など殆ど存在しないけど、食の消費にはその人のポリシーが現れる。
それから、「フード左翼は都市部でしか成立しない」とか「有機農業は実は環境に優しくない」とかって話もなかなか興味深い。
結局、フード左翼というのは富裕な国の富裕な人々による贅沢であるということなんだな。
人口減少で国民の胃袋の絶対数が減り、社会階層が分断される方向性にあるであろう日本のような「成熟社会」では、フード左翼は少しずつ勢力を増していくのかもしれない。
「安全なものを食べたい」「でもお金には限度がある」
は誰にでもあるでしょう
この本を少し立ち読みしました
無理に二つの種族に分けているようですが
コーラやポテチが好きな人に
「普通の野菜サラダと有機野菜サラダ、どっちか
おごるよ」
って言えば、結果は見えていますね
そりゃ、きれいに二分はできないけど、それが本質ではないでしょう。