そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

消費税率をめぐる笑い話のような話

2010-03-11 23:40:06 | Economics

ここにきて、日本の財政破綻リスクの注目度が増す一方、事業仕分けで大騒ぎしても一兆円くらいの歳出削減しかできなかった事実もあり、消費税増税やむなしとのムードが高まってきているように感じます。
その方向性自体には基本的に賛同しますが、なんだか財務省の思惑通りことが進んでいるようで、なんとなく癪に障りますが。

日経朝刊の「経済教室」も、今週は「消費増税を考える」とのシリーズでキャンペーン中。
本日付け4回目は、国枝繁樹・一橋大学准教授。
消費増税にあたっての、どっちかっていうとテクニカルな論点について語られています。

消費増税するにしても、食料品などの生活必需品についてはゼロ税率・軽減税率を適用すべき、との議論はよく見かけますが、実際にそうしてしまうと執行面で混乱が起きることが欧米での実例を挙げて紹介されてました。

 より厄介なのは、執行面の煩雑さだ。食料品の消費税率が軽減あるいはゼロでも、レストランで供される料理には標準税率が課されることが多い。ドイツではハンバーガーはテークアウトであれば軽減税率の対象だが、店内で食べれば標準税率となる。カナダでは、ドーナツは5個以上は店内で食べるとみなされ標準税率が適用されるが、6個以上はテークアウトとみなされゼロ税率適用となる。
 さらに区分をめぐり裁判となることもある。英国では普通のビスケットとケーキはゼロ税率だが、チョコで包まれたビスケットはぜいたく品として標準税率となる。かつてチョコで包まれた菓子のジャファケーキが、課税上、ケーキか、チョコで包まれたビスケットか問題になった。生産者は、古くなると硬くなるのがケーキで、湿気で軟らかくなるのがビスケットと主張。ケーキと認める裁決が出た。
 また日本ではポテトチップスとされるスナック菓子のプリングルズに関し、「ジャガイモは原材料の半分未満なので、標準税率のポテトチップスではなくゼロ税率を適用すべきだ」と英国の生産者が主張した裁判では、結局、ポテトチップスであるとの判決で決着した。こうした煩雑で不確実性の高い税制は事業者に過大な負担を課す恐れが強い。

笑い話のようだけど深刻な話。
消費税率は一本化して、低所得者支援は所得税額控除など別の手段により行なった方がよい、というのが本稿の見解です。

子ども手当の所得制限の議論と同様、一見いいように思えても、ちょうど「境い目」が問題になるという点では同じ例と言えるでしょうか。


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