今日の日経新聞朝刊「けいざい解読」、小平龍四郎編集委員の記事がなかなか秀逸だったので以下メモ。
住設機器大手の日立ハウステックが、4月1日より社名から「日立」を取ってハウステックとなったのは、投資ファンドニューホライズンキャピタル主導の事業再生に目処がつき、三期ぶりの経常黒字化を果たしたからとのこと。
不採算事業からの撤退や生産・営業拠点の縮小、希望退職者の募集。ニューホライズンが一昨年末の買収から進めてきた再生策は基本的なことばかりだが、日立グループでは難しかった。ファンド主導で素早く実行できた理由を、ニューホライズンの安東泰志社長は「我々が憎まれ役を引き受けたから」と表現する。
退職した従業員だけでなく、事業を縮めれば納入や下請けの業者からも恨みを買う。事業再生といえば聞こえは良いが、内幕は関係者に痛み分けを求める泥臭い利害調整。「高い投資リターンを求めるファンドの規律がなければ迅速に進められない」(安東氏)
2000年代初め、日本が「失われた十年」から脱する過程では憎まれ役のファンドが多く登場した。日本が再び不況に沈む今はファンドの撤退が相次ぐ。
「買収できそうな企業が日本より多い中国や韓国、オーストラリアに投資を集中させたほうが、ファンドにとって良い選択だ」
ハウステック再生にメドがついた今月1日、アジア全域で活動する投資ファンド、ユニタス・キャピタルのアンドリュー・リュウ最高経営責任者が東京拠点の閉鎖理由を語った。9年前に日本に進出し、自動車部品リズムの再生など実績も残しただけに、市場では日本撤退を惜しむ声が多い。
ファンドが日本への関心を失っている理由のひとつは、企業金融に公的資金の関与が深まっていることだという。短期の資金繰りだけでなく、社債や株式の引き受けに及びそうな公的資金を期待し、企業がリストラを延期しているフシもある。米有力金融機関が日本の大手電機メーカーに不採算事業をファンドへ売却するように勧めると、「公的資金でひと息つけるか見極めてからにしたい」と告げられた。
このような経済状況で、政府が企業に対する公的支援を厚くすることに反対する意見が出てこないのは当然だとは思います。
が、それが企業の支援に対する「甘え」を生み、淘汰されるべき不採算事業を存続させることにより後でより大きなツケが回ってくるリスクとなることも認識しておいたほうがよい。