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一言でいうと、マンガみたいな小説。
例えば、あだち充のマンガみたいな。
二人の主人公(少年と少女)の関係の設定が、まずあだち充っぽい。
そして二人を始めとする、中心となる少年少女たちの造形も。
中心人物は皆、美男美女で、聡明で、性格が良くて。
その周囲の友達は、美男美女を引き立てるそれなりのルックスだけど気は良くて。
んでもって、敵役の性格の悪い少女が出てきて。
なんつーか、わかりやすすぎて拍子抜け。
高校生って、もっと混沌と、悶々としてるもんじゃないだろうか。
この小説に出てくる高校生たちは誰も聡明すぎる。
悩んでいないわけではない。が、自分の性格もよく理解できてて、周囲の友だちのことも友だちではないクラスメートのこともちゃんと分析できてて。完全に自己完結できている。
こんなの全然リアリティがないと思う。
しかも心情説明が親切すぎる。
何を感じているのか、何を感じていないのか、イチイチ言葉を尽くしてト書きで説明されてしまう。
行間を読ませる、ということが一切無い。
作者は表現力に自信が無いのか。それとも読者を信頼していないのか。
けっしてつまらない小説ではない。この小説を大好きになる人、ノスタルジーを感じる人がいても驚かない。
だけど自分は認めない。まったくもって認めない。