どうやらアメリカ政治に地殻変動が起きている。ウォール街による露骨な政治コントロールに人々が心底嫌悪し、現状を変えたいと願っているのだ。共和党で支持率一位のトランプ候補も、反ウォール街の主張を掲げる。ウォール街としては、左派サンダース大統領の誕生も、右派のトランプ大統領の誕生もともに悪夢以外のなにものでもないのだろう。民主党左派サンダースの公約の目玉は「ウォール街に課税して公立大学の授業料を無償化する」である。共和党右派のトランプ候補の公約の目玉は「アメリカの全世帯の約半数に上る低所得者層の所得税をゼロにする。その財源としてヘッジファンドから課税する」である。最左派と最右派の公約にはともに反ウォール街の公約とTPP反対が含まれ、それぞれ支持を伸ばしている。従来、二大政党制では、大統領選の候補者の主張は、当選可能性を考えて次第に中道に接近し、大差のないものになっていくと考えられてきた。今回は、共和党の予備選も民主党の予備選も、「中道から遠く離れた」右と左の両極に重心がシフトしていっている。そちらの方が支持が集まるからだ。
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