一年に一度、月河が真剣に五七五、俳句に打ち込む季節がやってきました。
それにつけても、某郵政公社の年賀はがきのTVCM、引っかかります。女の子が「後出しかよ!」と怒っている年賀状、消印が1月8日になっている。
アレ、そんなに怒ることでしょうかね?
毎年今頃になると、『新年』の歳時記を繰りながら思うんです。郵便局は、自分たちの仕事を早く片付けたいから「年賀状はお早めに」「お早めに」としつこくPRしていますが、このクソ忙しい時期に、「明けましておめでとうございます」「幸せな一年でありますように」なんて、のんびり大所高所なメッセージなんて書けませんよ。書く気持ちになれませんよ。
百歩譲って、8日は確かにまずい。サボり過ぎだ。1日に配達された年賀状を、2日、3日と留守にしてたか遊びほうけて放置してたかして、世間が動き出した4日5日になってやっとこさ読んで、「早々と年賀のご挨拶有難うございました」なんてやおら書いて、それでも即日は投函せず、7~8日頃会社行く途中にあせって出した、みたいな、「正月=単なる連休」となめ切った、日本人の伝統文化を軽視したゆるい生活姿勢が見え見え。
でも、年賀状って、本来ならば正月が実際来て、新年を迎えたという厳かな気持ちになった時に、厳かな気持ちで机に向かって、筆をとって、初めて書くべきものじゃないでしょうか。
年末押しの仕事、お歳暮の手配、クリスマスならびにイヴの予定、忘・新年会場の予約、メンバーの出欠、会費の徴収、もろもろの支払い、自宅に帰れば大掃除…その他で頭も身体もいっぱいいっぱいの12月上~中旬に、ムリヤリ「新年の御慶びを申し上げます」なんて、近未来とは言え、少なくともいま現在は心にもない嘘八百の美辞麗句を書くのが、儀礼として、文化として、はたして正しい事なのか。
元日は静かにもの思い、2日、3日に「本年もよろしくお願い申し上げます」と賀状をしたため、4日までに投函。世間が通常のサイクルで動き始めた5日、6日頃、知人友人に届いて、年越し年明けの此方の状況を知らしめる。それこそ本当の年賀状じゃないでしょうか。
年賀状に、正月らしい季節感たっぷりの俳句を書いて送りたいと思うあまり、ついついこんなことも考えてしまうのですが。
それなら、正月にしこたま、食い溜めならぬ作句溜めしておいて、それらを翌年の賀状に使ったらどうか、と……
毎年考えて、毎年実行してないのです。
同じ新年の句とは言え、一年遅れ。
何だか“冷凍食品の解凍”みたいじゃないですか。