犬は人につき、猫は家につくとよく言いますが、TV番組の視聴者は、番組につくのでも出演者につくのでもなく、ましてや作家や監督につくのでもなく、もちろんスポンサーにつくわけなどさらさらなく、ひたすら“枠についている”ことが結構多いものです。
NHKの朝ドラや大河、フジ系のいわゆる月9、テレ朝日曜のスーパーヒーロータイムなどが代表で、要するに、「○○という番組が何時何分からあるから見よう」と積極的に選ぶのではなく、ある曜日の何時頃にはいつもTVのスイッチが入っている、チャンネルが何番に合わされているという“習慣”で視聴されている。
(何だか、広告代理店の回しモンみたいになってますか?)
昼ドラも“枠につく客”率の高い店、つまり“習慣”で観られることの多い番組ジャンルには違いありません。観る人はずーーーっと何作も観ているし、見ない人は一作も、1話も見ないのではないでしょうか。
『女優・杏子』の東海ドラマ枠で言えば、毎話、本編が途中一回のCMタイム込みでPM1:30~1:55の25分、次回予告PM1:56~1:57を加えて正味26分。この時間に不在がちな生活でも、“毎週月~金”でタイマー予約セットし、120分のビデオテープを入れっ放しにしておけば、三倍モードで13話ないし14話録れます。放送開始第1話から録り始めたとすると、三週めの水曜か木曜まで録れる。録れますが、1話26分の連ドラを14話、一気にはなかなか観られるものじゃありません。目が疲れるとか首が張るとかのフィジカルな世界ではなく、ほとんど頭が壊れます。一日1話26分ずつ観ていちばんストーリー追尾しやすいように作ってあるお話ですから、まとめ見だと10話辺りでどうしても息切れして、エピソードの因果関係や人物間の感情のベクトル方向、テンション度合いがこぼれ、つかめなくなってきます。
やはり、昼ドラに付き合うなら、最低でも一週=5話ごとには巻き戻して追いかけるだけの、こちらもテンションを維持しなければなりません。“枠につく”のも、意外に惰性だけでは行けないものです。
もちろん、追いかけたい、追いかけずにはいられないと思わせるように作られてこそ昼ドラですけどね。
ヒロイン杏子さん同様、月河の昼ドラ伴走生活も『杏子』最終話とともにひとまず完全燃焼。しばらく休眠期間に入ります。
(つづく)
(↑すっかりその気)