『仮面ライダーキバ』1~3話で蜘蛛、馬、蛸、蛾と、ステンドグラスのようにカラフルな、でもどこか平面的なファンガイアたちを見ていたら、サトゴコロがどうしようもなくフツフツと湧いてきて、散財してしまいました。
3年前に放送終了した『仮面ライダー剣』を彩った、コワ愛くるしいアンデッドたちの造形集『UNDEAD GREENBLOOD』(メディアワークス、06年8月刊)を購入。本体価格2,980円。あぁフトコロにも来たれ温暖化。
造形を担当したクリーチャーデザイナー・韮沢靖さんのアンデッド画稿集です。未使用に終わったヴァージョンも含めて、大半のアンデッドのフルカラー全身像、TV・劇場版で使用されたアンデッドの頭部・上半身のデッサンつき。もちろん、放送・上映時の姿と比較対照できるように、見開き2ページの左下に全身カラー写真もあり。
こういうの、高齢・非高齢ともに、家族にはいっちばん理解されない趣味ですね。「カッコいいヒーローやかわいいヒロインに萌えるならまだしも、悪いバケモノのイラストなんか眺めて何が楽しいんだ」と白い目で見られめさるな(←日本語崩壊)。
たとえばウルフアンデッド(昼ドラ05年『緋の十字架』、04年『愛のソレア』でも1話っきりの出演だけど強い印象を残した加々美正史さんが人間体・新名を演じていました)の全身イラスト右肩にある「毛はシルバーですが、少々エメラルドブルー(←“ブルー”に波傍線)よりで、CGに支障のない程度で。」「根本(ねもと)はゴールドよりで願います。」とか、カプリコーンアンデッドの「毛部分は少々ウェーブがかった物が良いです。」「全身の模様は“フィッシャーマン”のセーターを模したパターンです。」などの造形指示書き込みに、月河は限りない虚構世界誕生の深淵を覗き見た気持ちになってしまう。造化の神の心境とでも言いましょうか。
そうか、エレファントアンデッドの好物はクローバーアップル、ギラファアンデッドのそれは砂糖水なのか。ギラファ金居(人間体はこちらも『緋の十字架』1話だけゲスト出演『セーラームーン』クンツァイト窪寺昭さん)、橘(天野浩成さん)と睦月(北條隆博さん)に天王路(元モロボシダンから悪役にシフトお見事森次晃嗣さん)から救出されたとき白井家で何飲んでたっけな。第46話の録画どっかにあるの探し出して再見だな。よし。
実は平成ライダーのモンスターでは、『仮面ライダー555』のオルフェノクが、アンデッド以上に好きなんですけどね。“死”“再生”をイメージ具現化すべく、ファンガイアやワーム、アンデッドなど“生命力”を象徴するカラフルな設計とは一線を画し、すべて白~灰色。勝負は“質感”と造形の凹凸感のみ。
残念なことにこの作品のクリーチャー担当篠原保さんの、他作品での仕事も含めた1st画集(『イコン』)は刊行されているんですけど、オルフェノク限定の、アンデッド『GREEN~』に相当する画稿集が出ていないんですね。何故?画稿段階でモノトーンでは、本にした場合地味だから?
ホースオルフェノク(変化前人間時は『冬の輪舞』『偽りの花園』でもちょいワルになりきれなかった泉政行さん)の悲愴なる邪悪さ、クレイン(同じくバラエティではハイテンションな加藤“レイラニ”美佳さん)の哀しい異形感、スネーク(同じく『麗わしき鬼』で己れの欲望の業深さに殉じるも『踊る!さんま御殿』ではイジられ専業唐橋充さん)のイタ滑稽さなど、ぜひ原案レベルから見てみたいのですが。
たこ焼きに切って入れたいような水っ気を含んだオクトパス、プレスリー風の袖フリンジひらひらのオクラ(←オクラをライダー敵怪人モチーフにしようと最初に考えたのは誰だ!)、アニメにしたら可愛キャラになりそうな金平糖シーキュカンバー(=ナマコ)など、1エピソード・数分で倒されてしまった組も、フォルムはとても魅力的で、後ろから前からもっと見たかったし、設定はあるのに劇中炸裂しなかった必殺武器やワザ、その設定が生まれたいきさつも知りたかった。
まぁ、“刊行されてない”ことで、財布のほうは助かってますけど。