ネット上にあふれかえってるもの、いろいろありますが、“占い”ってのも、かなり“あふれかえってる番付”の上位でしょうね。
情報サービスサイトをいくつか見て歩くと、必ず占いリンクがあって、クリックするとたちまち無料で何十種類もの占いが、蛇口を開いたようにほとばしり出てくる。
特に12星座別の“今日の運勢”は、全サイト、ほぼもれなく貼ってありますね。しかも、運勢の強弱、吉凶、サイトごとにぜんぶ、毎日違う。見事に違う。違わなかったことはない。
午前中、出かける前に余裕なとき、ためしに5コぐらいのサイトを渡り歩いてみると、金運・恋愛運・仕事運・全体運、“全会一致”なこと一度もないですな。
あるサイトで金運“☆☆☆☆☆”だったのに、別のサイトでは“45点(100点満点で)”だったり。
見る先見る先ぜんぶ絶好調、あるいはぜんぶドツボ、って日はいままで一度もありません。西洋占星術といえば天体の運行に基づく、近代数学・天文学の基礎となった学問のはずなのに結構イイカラ加減だなぁ。
もちろん、占いの必勝消化法“いいことだけ信じる”に従えば別にどうってことないようなもんですけど。
一度でも、「今日はドンピシャだった、ここの占いのおかげで助かった」と実感するような実体験があれば、そのサイトを“お気に入り”認定しようと思うんですが、気がつけばどのサイトも「事前の準備が物を言う日です。」とか「自分の意思より人がどう思うかを優先してみましょう。」「譲る精神があなたの評価を高めます。」…なんて、微妙に、「別に今日、この日に改めて言われんでも」ってな、ウルトラアバウトなことしか書いてなかったりする。
まぁ、その日一日にまとめるべき商談の契約額とか、想う相手と何会話ぐらいいいムードで交わせそうかとか、“吉凶がはっきり出る懸案事項”を持ってる人には、どうにでもとれる文言でも“当たり”“ハズレ”は皮膚感覚としてあるんでしょうね。こちとら平坦な生活してるからなぁ。
それにしても「どうにかまとめろ!」と思うのは“ラッキーカラー”。
今日の月河の星座ラッキーカラーは「イエロー」「銀灰色」「ミントグリーン」「海老茶色」「フューシャピンク」。
…………どういうコーディネートすりゃいいんだっ!
『安宅家の人々』は第31話。宗一(内田滋さん)が雅子(小田茜さん)を異性として、“トクベツな人”として愛していること、自分が宗一を愛して夫婦の関係になろうと努力してきたのは無駄骨だったことを知った久仁子(遠藤久美子さん)の不気味悪魔スマイルで終わったショッキングな回となりました。
久仁子の人格が本日を期して180°変わったわけではないと思う。今日の久仁子悪魔スマイルは、昨年放送された『わるいやつら』(テレビ朝日系)第2章エンディングでの戸谷(上川隆也さん)のそれと同じく考えるべきでしょう。
当時戸谷を演じていた上川さんは同ドラマ公式サイトでのインタヴューで「ホームページ上だから明かしますが」と前置きした上で、「あの戸谷の笑顔は、あの瞬間に、(戸谷友人=下見沢弁護士からの付き合わないかの誘惑を振り切って帰ってきたとき、無垢な赤ん坊と平気で戯れる戸谷を目にした)豊美(米倉涼子さん)のイメージの中でだけ見えた顔で、実際の戸谷は笑ってはいないと思う」「豊美の心の中で戸谷はこれだけ悪に見えた…という解釈のもとで、思い切り悪人的な面を出してみた」と語っておられます。
今日の久仁子の悪魔スマイルも“久仁子自身が、「あの瞬間から自分はこんなふうに変わった」と思い込んでいる、そのイメージ”の具現化であって、“人から見てあんな顔を実際していた”と絵ヅラ通り受け止めてはいけないのではないかな。
逆に考えれば、久仁子自身が「自分はこんなに悪になった」と自覚するほどは、客観的には悪になってないともとれる。
それこそ思いきり客観的に、冷たい他人の目で突き放して見れば“生活に困ってない金持ちの身内での、コップの中の嵐”程度のドラマ世界ですが、登場人物ひとりひとりの“心の中の天使と悪魔”に注目すれば、意外な普遍的奥行きが見出せるかもしれません。