登場当初は、どんだけアカデミズムと競争主義にこりかたまってんだと思わせた第一内科の先生たち、なんだ、結構さっぱりした良い人たちだったではないか(@『梅ちゃん先生』)。
梅子(堀北真希さん)の開業宣言に、一拍おいて重岡助教授(池田成志さん)「(開業医は)大変だぞ?しっかりしろ」、三枝教授(陰山泰さん)「まぁ、困ったことがあったら、いつでも尋ねて来なさい」とあっさり好意的送別モード。
考えてみればね、永遠の仮想敵=第二内科の首領・下村教授(高橋克実さん)の令嬢なわけですからね。スパイの懸念抱きつつ、粗略に遇してると思われても困るし、わかりやすくお客さま扱いもできない。居られたら居られてる間じゅう何かとメンドくさいので、本人の希望での開業辞職なら、一内の面々にはむしろ渡りに船でしょうね。追い出したという印象を外部に与えないよう、フレンドリーに送り出すのが一番。今日(7月7日)放送の送別会に用意された黒板寄せ書きには三枝教授“疾風に勁草を知る”、重岡助教授“君の決断を尊重します。頑張ってください。”とキレイ事全開で、「引き止めてもムダなようでいやぁ残念」の作り笑いも透けて見えます。まぁ本音はあんまり深読みせず、笑顔と拍手で送り出されるんだからポジティヴに送別されてあげましょう梅ちゃん。言わなくてもいつもポジティヴ梅ちゃん。
欲を言えば、重岡先生が夏でもないのに常時持ってる扇子をいっぺん全開にして絵柄を見たかったですね。ロケ時期の関係か、帝都大学で真夏の場面が無かったような。『ナニワ金融道』の桑田みたいに日の丸だったら笑うな。それともアレは噺家の扇子と一緒なのかな。タンホイザー聴きながらエア手術していた浪速大学財前教授(@『白い巨塔』)と違ってこちらは内科ですけど、誰も見てないときは重岡先生もあの扇子でエア注射やエア切開してるのかもしれない。助教授ですから当然教授昇格待ちの日々なわけで、“エア教授選開票”とかもやってるか(どうやるんだ扇子で)。
一内のホープだったらしき津田先生(渋江譲二さん)ももう出番なしかな。大学病院と言えばおなじみ、教授を先頭に廊下を練り歩く総回診行列におけるヴィジュアル“長身担当”のほかは、梅子がせっかく熱意執筆中だった論文強制引き継ぎ、担当替えの席上での失礼発言など、梅子サイドからは非好感な役回りをちょっとやっただけ。イブキさん(@『仮面ライダー響鬼』)を連ドラレギュラーで見るのは08年の昼帯『愛讐のロメラ』以来だっただけに、もっと本筋にからんでほしかった。
女子医専でもしっかり意地悪上級生グループはいたので、帝大病院ならばもっと露骨な後輩いじめ/いじりとか、男女差別、診療科別ヒエラルキーなどの描写があるかと思ったらほとんど無く、教授&助教授以外はセリフも少なくキャラの立ちようもなかったのでしょうがないか。渋江さんは『ロメラ』でも白衣の似合う若手医師役でしたが、今作は髪型的に“ホープ感”も薄かった。
……建造お父さん、坂田医師(世良公則さん)も含めて、“薄”はこのドラマの隠しテーマなのか(なわけないか)。
無事バラックの診療所への改装も済んで、看板拭こうとして倒したり嵌め込み直したりの早送りで今週は終了。この風情で“院長”って、アリかナシかで言えばかなり「ない!」ですが、そんなにガチにリアルに見なくていいんですよね。これからはお客商売ですから、“ヘンな客(=患者)”話でも相当話数稼げそう。ドラマとしてのクォリティ、レベル以上に安泰ハズレなし街道まっしぐらですな。岡部さん(品川徹さん)じゃないけど、不思議な人だなあ梅子くんは(←褒めてない)。