モナコと言えば、税金もとらずF1とカジノの上がりで食ってる国みたいなイメージしかありませんでしたが、クロマグロ絶滅阻止にこんなに強硬に動くとは思いませんでしたな。世界中の大富豪が集まって遊び暮らす地中海のリゾートでは、トロとかは食べないのかしら。
我らがクロマグロ、もとい本マグロが、ジャイアントパンダやジュゴンと同列のアンタッチャブル絶滅危惧動物として、「捕獲するなんて、ましてや捌いてナマで食うなんてちきゅうにやさしくない、人間のやることじゃない」と指弾されるとは。回遊魚だし、結構モリモリ繁殖して豊富な水産資源だと思っていたのですけれど。
「オマエらだって牛殺して食ってるだろ!」と言いたいところですが、「ちゃんと牧場でおいしい餌与えてヌクヌク肥らしてから食べてるもんね~」「野山を自由に走り回ってるのを網かけて捕まえて切ったりさばいたりしてないもんね~」って言われたらそれまで。考えてみれば日本人、地続きに文化を異にする他民族がいない島国の気楽さか、山菜は採るタケノコキノコは採る、“みずから汗かいて金投じて耕さない自然の実りを、勝手に取って食する”ことにわりと無神経、無頓着なのは否めませんね。
要するに、乱獲しない、幼魚は捕らない節度の範囲内で消費すればいいんですよね。いくら“日本の食文化”と主張しても、そこらのコンビニや回転寿司、ファストフード店でまで本マグロが食われまくっている現況は、いくらなんでも飽食し過ぎと言われても仕方がないかなという気もします。
人間、異民族の食文化には滅法偏狭なもので、記憶に新しい2002年サッカーW杯日韓共催大会当時には、韓国を初めて訪れた、特に北欧の報道陣や観戦サポーターから「韓国人は犬を食べるらしい」「野蛮だ」「動物愛護に悖る」「犬肉料理を出すホテルには泊まらないぞ」との非難が上がったことがありました。まー日本人視点からしても、愛玩犬でおなじみチワワやトイプードルやゴールデンレトリバーを思い浮かべて、あの可愛いのを皮剥いでさばいて鍋で煮て食っちゃうの!?と思うと飛び上がりますが、韓国の皆さんにすればもともと食用に育てられた種類のヤツを手頃なシーズンに手頃な手法で料理するんだから、牛や豚や鶏を食べるのに比べて、突出して野蛮で残酷だと言われては心外でしょう。
世界に目を広げると、信じられない生きモノを信じられない方法で調理して常食している国はあるもので、その昔『世界まるごとHOWマッチ』で、国名は忘れましたが南アジアの国で、果物を主食とするコウモリを形まんまでスープにして食べてるのを見たことがありますし(例によってゲテモノ食いならたいてい経験している石坂浩二さんが、「旨いんですけど、顔がイヤなんですよ。すごく恨めしそうな顔してるんです」と言っていた)、大航海時代からのオーストラリアの国民食・カンガルースープは、日本でも食べられるお店があるようです。エスカルゴ(かたつむり)や、背中に3本縞のあるグルヌイユ(食用蛙)はグルメの国フランスでは普通にコース料理の一環ですね。
日本人がマグロ食べ過ぎ、捕り過ぎって言われても、旨ーいやつの旨ーい部位をとことん好き放題食べようと思ったら途方もないお愛想払わなきゃならないし、たいていの庶民はお財布と相談しながらちょぼちょぼ大切に食べてるので、金持ちの道楽御用達どころみたいな国から資源保護だの動物愛護だの言われたくねぇや、とは思いますが。とりあえず国際取引全面禁止は否決されたようでひと安心。
ちなみに、今回地中海マグロ保護を提唱したモナコの王様・アルベール2世大公は、ハリウッド女優だった故グレース・ケリー王妃の遺児なんですね。胸にするか腿にするか(@『泥棒成金』)。
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