イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

マスクなさるべきね

2007-04-16 21:19:47 | テレビ番組

13:30~TBS系を観たのは久しぶりです。『暖流』第1話を録画視聴。原作が岸田國士の戯曲、やっぱり昭和文芸原作だと“何かあるだろう”と期待してしまいます。

横浜の大病院が舞台ですが、オーナー院長役・近藤正臣さんがさすが。やっぱりいいですね。ひとり娘(さとうやすえさん)の留学先からの便りに「待ってるよ、啓子♪」って、どんな溺愛パパだよ!と思いますが、近藤さんが演るとイヤらしくないんだなぁ。木下恵介アワー『冬の雲』辺りからずっと“屈折ある二枚目”を続けている近藤さん、めっきりシワまみれになったし頭髪も微妙になったけど、依然として屈折ある素敵なおじさま。かつては“二枚目にしてはネックかも…”と思えた身長の不足やキュンと上向きのお鼻も、いまとなってはかえってチャームポイントです。

ヒロイン啓子の幼なじみでいまは病院に雇われる看護師となった吟花(ぎんか)役・小西美帆さんはNHK朝ドラ『芋たこなんきん』に続くナース服。こう言っちゃなんですが小西さんは、美人なんだけど昭和チックな“貧乏くさ努力家”がよく似合う顔。

対する啓子のさとうやすえさんは、持ち前のクラシックバレエ仕込みのスタイルと立ち姿の美しさ、付け睫毛ビューラーびんびんメイクでセレブ感出しまくりですが、ちょっと“マンガの強気高慢お嬢”に類型的に固まり過ぎ。過去のこの原作映像化を調べてみると、この役は高峰三枝子さん、野添ひとみさん、岩下志麻さん、松坂慶子さんと“文句なし大輪の花”(←その時代のね)系の女優さんが演じていますよ。

時代が現代に移し替えられているし比べても仕方がないけれど、空港で今後の相手役となる日疋弁護士(山田純大さん)と鉢合わせしたとき、心臓発作の老婦人と遭遇して応急処置を施すときの演技など、“育ちや教養、毛並みのよさに裏打ちされたプライド”より、“単なる神経質なツンケン”に見えてしまうのは考えものです。お話が先に進まないとキャラの全貌が見えて来ませんが、たとえば『ガラスの仮面』の姫川亜弓のように、“「育ちがいいから」「恵まれてるから」と人に言われがちなのが逆コンプレックスで、人の先入観にお釣りが来るくらいの結果を出そうと、人目に触れないところで猛然と努力してきた”というのが啓子の魅力になるべきではないでしょうか。

元来が細おもてで吊り目で、求心的なキツネ系のお顔立ちだけに、もう少し眉の描き方だけでも再考されてはどうかな。いまのままでは、もっとたっぷりしたキャラのヒロインが別にいて、“そのヒロインに頭脳で挑む、自信家のいじめ役”に見えてしまいます。

ヒーローに当たる日疋弁護士役の山田純大さんは、いきなり風邪っ引きでくしゃみ連発の“ちょっとおマヌケ風”なたたずまいでの登場は、これから辣腕合理主義者の本性をあらわして行くと思われるだけに悪くないけど、如何せん相対するさとうさんがマンガの高慢令嬢なので、味を出し切れず空回り気味。この役は、76年の松坂慶子さんヒロイン版では、近藤正臣さんが演じたんですね。ドラマの物語世界がうまく立ち上がれば、近藤さんとはまた違った“野心家で打算的だけど、憎めなくてカッコいい”ヒーローになれそうですが。

この枠の昼ドラを観るのは05年『デザイナー』『メモリーオブラブ』ぐらい以来ですが、当時はお話の重さのわりに画面が白っぽく、セットや置き道具も妙に空間が多くスカスカだった印象しかありませんでした。久々に観ると、OPのキャストクレジットが縦書き行書体だったりなど細かいところが新鮮です。海岸で啓子・吟花・日疋・笹島(本宮泰風さん。女癖の悪い外科医)が後ろ姿で4人並ぶ映像は『仮面ライダー剣(ブレイド)』の後期OPを思い出させるふしもある。たぶん、この4人は最終回まで死んだり破滅したりはしないのでしょう。

それにしても、物語が現代の本編に入る前に、16年前の回想シーンで啓子と吟花の「ワタシたちずーっと親友よ」のやりとり、『母親失格』『麗わしき鬼』ほどではないけれど最近の昼ドラは“女同士の友情”を通奏低音にしないと成立しないのかな。主婦層、夜勤女性層、異性間の“悲恋”や“すれ違い”はもう飽きたんでしょうか。

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