再放送の『真夏の薔薇』も今日で第19話。
先日、昼ドラの男性キャラはかなり力のある俳優さんを起用しても不発に終わる例が多いという話をしましたが、まぁヒロインも諸刃の剣でして、『真夏』の安永亜衣さん扮する川島碧も、実生活で友達に持つのは勘弁してほしいたぐいのヒロインではあります。
ただ、恋人である稲彦の両親・英雄と萌子と、稲彦父の元愛人である自分の母郁子との三角関係、さらには元婚約者・靖顕と稲彦のライバル関係、靖顕を肉弾誘惑する看護師江里子(『女優・杏子』の豪腕マネジャーよりはオンナっぽさ濃厚のロングヘア、胸あき大きめのセクシースーツで、その分怖さ倍増野村ちこさん)らの嫉妬や欲望うずまく中、ひとりシレッと「私は好きな人と愛し合いたいだけなのに、なぜそれが地獄になるの?」と清廉イノセントを貫いて、ぐちょぐちょ泥田の上にポッカリ浮かんだ白い蓮の花みたいに綺麗キレイな顔を続けているさまに、いちまつ「…ぷっ、ダメだこりゃ(憫笑)」と噴き出す可笑し味を感じ取ったらその瞬間から、一気に楽しい碧ウォッチングの月~金となります。
ヒロインのこの“(ずれたイノセンシーや倫理観、職業意識、使命感その他で)浮き上がっているのに自分で気がついていない”“「浮き上がっているよ」と周りも指摘是正せず、むしろいやが上にもキレイキレイなままでいるべく応援する”という、一種引き攣れた図式の、皮肉な中にもおもしろさ可笑しさを娯楽として享受できるモードになれれば、あなたも貴女も貴君も、そうアナタも昼ドララヴァーズの輪ッ!です。
放送中の『愛の迷宮』のゆりあ(黒川芽以さん)をはじめ、06年『紅の紋章』の純子(すみこ。酒井美紀さん)、05年『緋の十字架』の薫(つぐみさん)、『契約結婚』の万砂子(雛形あきこさん)、04年『女医・優 ~青空クリニック~』の優(木内晶子さん。『美しい罠』澪役であらかた失地回復)、03年『真実一路』のむつ子(高岡早紀さん)&しず子(須藤温子さん)母娘など、“笑えなかった”というその一点で、ウザい中にも愛すべきヒロインになりそこねたキャラは少なくありません。
『愛の迷宮』で言えば、第一部の文香(宮本真希さん)に、育ちの良さゆえの世間知らず、人間の暗部知らずで、打算無く純粋な動機から「わたし、どうしたらいいの…」と無垢なキョトン顔で愛憎深き脇役たちを掻き回すだけ掻き回し、大いに“笑える泥田の白蓮”の素質が窺えたのですが、惜しくも第3週半ばで退場してしまいました。
あとは二世ともいうべき黒川さんのゆりあが引き継いだのですが、似たようなテンパりズレキャラの息子世代2人(阿部進之介さん、河合龍之介さん)にはさまれて目立たないせいか、「あなたはそのままでいいのよ」の火に油注ぎキャラたる久美子(菜葉菜さん)がいまひとつ迫力不足なせいなのか、はたまた世俗的庶民的生存能力を見た目漲らせるご自身の体型・容貌のためか、いまいち『真夏』の碧ほどの“わくわく目の離せない浮き上がりっぷり”を発揮できず不発弾で終わりそう。
安永亜衣さんのどこがヒットで、黒川さんの何がハズレなのか、よくわからないのですがね。とりあえず、タマゴに目鼻描いたような、プチオールドファッションドな安永さんのお顔立ちに、時代不詳のアーチ型眉、これは強力だと思う。
黒川さん、ドラマは一応平成3年のバブル末期設定なのですけれど、どっかイマドキのオヤジ殺しギャルっぽくて、運命の恋に命かけるより、援交とかでいくらでも食いつなげそうな雰囲気なんだなぁ。
このドラマはラジオドラマだと思いながら観ると(私は時々目を閉じて聴いています)なかなかいい話だな~と思っています。今時珍しい、まさしくオールドファッション物語で、昔の少女コミックにありがちな材料と展開でもありますが、台詞のかけあいだけ聴いてるととても真面目で丁寧なスタンスのドラマだと評価します。 「愛の迷宮」残り3週分、目を閉じてご覧になってはいかがでしょうか? おせっかいなお薦めかと思いますが・・笑。
昼ドラは「ハズレ」「好みじゃない」と思っても、継続録画すれば前作や次作との比較もできるし、脚本家やP、演出さんの名前と持ち味も一致してくるし、枠としての方向性の波動もとらえられるので、筋を追ったり俳優さんに惚れ込んだりとはまた違った楽しみが生まれますよね。
今季も『真夏の薔薇』再放送さえ無ければ、『迷宮』も食えない作品ではなかったと思うんですが、うちのTV環境が“どアナログ”なため、日中不在の時間に“帯2枠”はきついんですわ。途中14:00過ぎに1回帰宅して(無茶!)“迷宮用テープ”を取り出し“薔薇用テープ”に入れ替えることができたら両方録っとくんですけどね。
東海初挑戦で頑張っている黒川芽以さんに、ものの喩えとは言え援交引き合いに出しちゃあなんぼなんでも失礼ですわな。何て言うのか『薔薇』の安永さんや、『レッド』の遊井亮子さん、『冬の輪舞』の(まだ細くて生硬だった)遠野凪子さんや『偽りの花園』の遠山景織子さん辺りに比べて“アナクロ感、時代から(透明な壁で)隔絶されてる感”の不足?……ようするに“中途半端にイマドキの娘っぽい”って言いたかったわけで…
フォローになっとるのか。
光男キーマン説まるっと同意です。光男の孤独と兄コンプ・焦燥、手遅れだった文香への愛と悔恨→逃避→再生を軸に、もっと年輪感、人生の坂越え感にじむヘアメイク・演出にし、子供たちの話はエピソード的に配してくれれば嵌まれたのにと思います。
脱落したとは言え出先のTVでたまさか遭遇するし、公式行けば結構詳しく拾えるし、どうも最終盤は結局ご一緒することになりそうですよ(甘)。またお立ち寄りください。