第5週に入った『愛の迷宮』、先週18話から子供たちが20代に成長した第三部に入って、2人の成人息子の母となった可奈子(高橋かおりさん)が髪型から何から一・二部の昭和40年代篇より若く見えるとか、光男(保阪尚希さん)に至っては眼鏡で無理矢理老けさしてるだけで依然アタマ茶髪でツンツンで、息子2人(阿部進之介さん・河合龍之介さん)と会議室で3ショットになった19話の会議室シーンなど、ほとんど『新春スターかくし芸大会』のコントドラマみたいだとか、まぁいろいろ「つつつっ」と顔を被いたくなる難題は抱えています。
そういう視聴上の難題をエイッと跳び越える“想像力のエクササイズ”を含めて昼帯視聴の味なわけでね。この方面ではさほど心配はしていません。
脱線ですが、その伝で行くと、やはり光男父・光吉役の横内正さんは“老け”の見せ方に一日も二日もの長がありますね。第三部では会長に退いており、18話で光男の社長室に入ってくる1シーンしかまだ登場がありませんが、14年経過した老けをメイクや白髪ヅラのみに頼らない、歩き方や、話しかけるときの首の振り向け方の速度などでちゃんと表現されていました。
気がかりなのは、光男が祐子をレイプして孕ませた子(?)・ゆりあ(黒川芽以さん)中心に、“建築設計の才能”をめぐる話が派生していきそうなこと。
本当の父親は誰なのかという出生の問題にもかかわるだけに、飾り扱いで終わるモチーフにはなりそうもない。
しかしドラマで“芸術的才能”、特に絵心系“造形芸術”をモチーフにとると、大体すべることが多いのです。
案の定、19話でゆりあが“建築設計コンクール”(←なんちゅうアバウトなタイトル)に応募した邸宅と庭のパースも、光男が初見で「まるでシロウトだな」と切って捨てたのがむしろ当然に思える、映った途端「ぷっはーっ」と来る噴飯ものでした。
小学生拓真(石井千也くん)と小学生ゆりあ(兼尾瑞穂さん)が「絵が上手なのね」「できたっ」なんつって夢の家の絵を描いてプレゼントしたりしてるうちはまだよかった。才能ったって子供の話、子供の絵ですからね。
小学生ゆりあ担当の兼尾瑞穂ちゃんは、台詞言いは硬めだったけど、スケッチブックを抱えて歩く姿が絵になっていた。スケッチブックって、意外に似合う/似合わないが分かれるアイテムです。
黒川さんの成人ゆりあは、元気いっぱいで健康的で前向きでかわいいけど、スケッチブックが似合うための条件である“はかなさ”“内省”の翳りがないのです。
もうひとつこのドラマで気になるのは“組織”“企業”の扱いが、悲しくなるほど杜撰なこと。
今日、ゆりあが意を決して小学生時代の王子様を求め本社を訪ねて行くシーンでビル前の看板“株式会社 鮎川コンツェルン”。
いくらなんでもアバウト過ぎだろう。カルテル・トラスト・コンツェルンって、中学校の社会科ですら習ったよ。多業種の企業の複合体をコンツェルンって言うんでしょうが。中核は何より金融、銀行業のはず。
この“コンツェルン”、いままで“建物を建てる”以外の業務の話題が匂わされたことさえありません。
19話で、ゆりあがルームシェアの高校時代からの女友達・久美子(アラレちゃん眼鏡がお似合い菜葉菜さん)に「このコンクール、鮎川コンツェルンの主催なの」と言うと、久美子が「えッアユカワって、あの大企業の?」とリアクションしたのには、ほとんど崩れました。ダイキギョーって。
設定平成3年。“鮎川”を“松下”か“三井”に読み換えれば成立するか?それにしても“ダイキギョー”はないでしょう。もう、記号的を通り越して、放り投げてる感じ。この場面の流れなら久美子にせめて「あの大手建設会社のグループ?」ぐらい言わせられなかったものか。
“身分違い”“セレブ”感を出すためこその設定であるはず。ゆりあを建築家志望に描くなら、“大手ゼネコン”でよかったんじゃないかと思うんですが。“コンツェルン”を冠することで、無理矢理感と漠然感だけがいや増しになってしまった。
いま考えると奥寺“インターナショナル”を名乗らせて、「元・奥寺“商会”だったのを通信事業、IT、ナノテクなど、“いま流行り”の業種に次々拡大している」というサイドストーリーを付け、三代目ボンボン社長のアホ感バブリー感を醸し出すことに成功していた『金色の翼』は言葉のセンス、ネーミングセンスにおいて格段の差があったなと思います。
ちょっと嬉しかったのは、その鮎川コンツェルンの本社ビル仰角全景が、03年『仮面ライダー555』のスマートブレイン社にも、同年『共犯者』(日本テレビ系、浅野温子さん・三上博史さん)のGSカード本社にも見えたこと。
撮影協力のクレジットで確認しようにも、両方とも録画保存してないんですよ。無念。
まぁ、確認したからどうかなるってもんでもないんですけどね。
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