イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ほぉら ごらんよ

2007-04-19 08:59:25 | テレビ番組

昼ドラもたまにいつもと違うチャンネルを見ると、作風とは別に、いろんな細かい“慣習”のようなものが違うのが、軽く新鮮です。

ここ3話TBS系『暖流』を録画していますが、OPを改めてじっくり見ると、“暖流”という縦書き行書体の左下に“第3話(全55話)”って出るんですね。フジ系=東海昼ドラも第○話は出るけれど、全×話は出ません。いまでこそここの枠は3ヶ月クールで年4作、概ね全作60~65話見当と勝手知ったるなんとやらになっていますが、知らないと、とにかく展開ジェットコースターでドロドロの作風が売りのトコですから「い、いったいいつ終わりが来るんだ…」と視聴者もあてどないドロドロ感をヒロインたちと共有する効果もある(爆)。

全何話のうちいまどの辺まで進んだところか、始まったばかりか中盤なのか終盤なのか、今日初めてこのドラマを見る人にもOPでわかるわけだから、TBS系のほうが親切なような気もしますが、偶然見たのが全55話の第44話とか、あんまり後半だと、「どうせいまから見ても人間関係とかわからないな」と離れて行くこともあるかも。何となく、合理的なようで軽く低体温な感じが漂うTBS枠ではあります。

さて、フジ系=東海の『麗わしき鬼』で目下人気№1キャラと言えばヒロイン相手役・英矢の異母弟みちるくんですが、男の子にひらがな表記の“みちる”、しかも中性的な容姿、と揃うと、どうしても70年代アイドル城みちるさんを思い出してしまいます。

彼のデビューした73年当時は新・御三家(野口五郎さん西城秀樹さん郷ひろみさん)が男の子アイドル界では追随を許さぬ磐石の人気で、柳の下の泥鰌ってなノリで後を追うようにデビューした同系は事実上まったく歯が立たなかったので、城さんも結局は大成はせず泡沫アイドルで終わってしまいましたが、顔に似合わず声質は以外に骨太。甘いか辛いかで言えば甘い声ではありますが骨太。近年も昭和懐メロ番組などで積極的に顔を出し歌ってくれていますが、同年代の引退組アイドルOB、OGたちに混じると声の衰えの少なさは褒めてあげていいんじゃないでしょうか。

…………こんなことで褒められてもご本人、嬉しくないか。取り下げ。

『イルカにのった少年』月河はドンピシャ彼らポスト新・御三家アイドルのマーケティング対象だった年代なんですが、クラスメートたちともよく笑っていたけど73年・74年(確かこの曲、73年のかなり押し詰まった時期のリリースなんですね。本格的に話題になったのは年明け、冬休み明けぐらいだった記憶あり)時点のリアル女子中学生から見てさえ、このタイトルセンス、詞曲センスはすでにかなり古かった。

♪誰も知らない/南の海から/イルカにのった しょおねーんーがーーやぁーーぁってーきーたッ! という、じわらーっとリタルダンドして戻る歌い出しなど、「いつのヒーロー主題歌だよ」と思っていました。

でも、社会人になってちょっとマニアな曲目入ったカラオケ店に行くと、コレ、結構、難曲だったことがわかりました。歌い出しとほぼ同じコードから展開するAメロを受けて ♪空と海との隙間から/イルカにのった少年はー とテンション上がった直後、すぐにピークに行かないで♪あーいの花束胸に抱き と一旦引く音程は、かなり歌い慣れないと引けません。城さん、歌、うまかったんじゃないか。

ここで引いた後 ♪とーおい国からやってくる と、さっきピークに直行しなかった分のお釣り来る勢いで直角に上がる解放感。ここは日本語の「遠い」のつもりで歌っちゃいけません。昨日のシマンテック社テレフォンサポート中国人男性スタッフの「ヨースみていて」じゃありませんが、「トーーイくにから」とカタカナ表記のイメージで歌うべし。そのほうがつき抜け切れます。

ここでつき抜け切れさえすれば続く最恥部分 ♪キミに キミに キミに会うため も怖くありません。妙にバックスイングして逆モーション、みたいな腕の振りもつければ申し分なし。とどめは♪やーぁって くぅううるー(←“ぅうう”は三連符) のほとんど演歌なコブシで。

……サラリーマン時代の飲み会で思いっきり周囲に寒冷前線張りめぐらしながら歌ってたのバレバレですが、そこのアナタね、笑うけど、ホント難しいんだから、かなり。アイドルとして大成功とはいかなかった城みちるさんですが、その主要原因が歌唱力不足でなかったことだけは確かです。

たぶん、当時の芸能界は偉い人がみんな戦前生まれのおっさんですから、小学高学年~中学生の女の子の、異性の好みなんてよくわからなかったんでしょう。新・御三家が受けてるからなんとなくソレ風のやつ探してきて、数撃てばどれか当たるかも、という手探り足探りだったのではないでしょうか。とりあえず“女の子と見紛う中性的な男の子”は郷ひろみさんが先鞭をつけてましたからね。

いまの芸能界なら、新人アーティストをお笑い芸人にイジらせるバラエティ番組もあるし、城さんのようなツッコミどころ満載なタイプは逆にB級っぽさを前面に出せば、デビュー曲ひとつとっても(て言うか他の曲知らないだけだが)実力はあったわけだし、もっともっと人気が出たはずの人ではなかったかと思いますが。

『麗鬼』のみちるくんのヘアアイロンでつけたような顔周りの外巻きウェーヴを見ていると、何となく連想が城さんに行ってしまいました。

このドラマに話を戻すと、ナレーションがいつもの「こうして○子と×夫をめぐる運命の歯車は、再び音を立てて回り出していたのです」式の“いかにもナレーション”ではなく、みちるくんの野太いオネエ言葉で語られるのも魅力なのだと思います。たくまざるユーモアってやつもあるし、作り物作り物した例によっての昼ドラワールドではあるんだけど、なんかふんわか風通しがよくなるんですよね。

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非常(時)のライセンス

2007-04-18 16:15:05 | デジタル・インターネット

ネットユーザーとなって1年3ヶ月、と1週間。特別高度なことに挑戦するでもなく、オンラインではもっぱらウェブ検索とブログ検索、あとは昨年10月から自分のブログを開いたぐらいしかめぼしいことをしてないので、セキュリティの危機らしきものは経験したことがありませんでした。

今朝、朝イチPCを起動させたら、2週間前にダウンロード購入したばかりのNorton AntiVirusのアイコンに×印が。何の警告?と思ってプロテクト・センターを開いて〔確認が必要〕の項目をチェックすると、何と「ライセンス切れ」の表示が出るではないか。

焦りますよ。AntiVirus 2005の更新切れ一週間前に、ちょっと高価になるけどプロバイダ提供の月額課金サービスよりは安いからと、再ダウンロード2年間保証サービス付きの2007にヴァージョンアップ。速攻ダウンロード、インストールも何とかうまいこといって、推奨通り一週に一度のシステム完全スキャンも励行してキレイなカラダを守ってきたのに。

〔アクティブ化〕のボタンを何度クリックしてもエラーになってしまう。Nortonアカウントにアクセス(まだ2週間しかたってないのでパスワードも忘れてない♪)してみると、ちゃんと有効期限2009/04/…になっているので、ライセンス切れという表示はどう考えてもヘンです。

プロテクト・センターからシマンテックのHPへ行って関連ありそうな項目を片っ端からクリックしてみたのですが、どうもぴったり来る答えが見つからないので、最後の手段、同社のテレフォンサポートへ。

しかし、この番号ナビダイヤルじゃないかぁぁぁ。ウチはネット開通時、少しでも通信費安くあげたいと思いひかり電話にしたので、ナビダイヤルは使えないんだよ。度数もバッテリーも折悪しく残り少ないプリペイド携帯からかけてみて、まずナビじゃない番号を聞き出しかけ直すと、うわー失敗。東京(03)のこの番号は、30分リダイヤルしても話し中。

出かけなければならない時間も刻々と近づいているし、帰宅してからではサポートの受付時間を過ぎてしまう。一昼夜ウイルス対策onにできないまま過ごすなんていままで1年3ヶ月、と1週間、一度もなかったことなので、もー途中でバッテリー切れになったっていいや聴取できるとこまでとりあえず訊こう!と再びプリペイド携帯からナビダイヤルへ。

結論から言うと、「サービス有効期間内なのにもかかわらずライセンス切れの表示が出る場合は、1日~2日で自然に問題が解決することが多い」んだそうです。なーーーんだ(脱力)。3日過ぎても同じ(ライセンス切れ表示が出る)状態ならさすがに「望ましくない」ので、その場合はAntiVirusをいったん削除してインストールし直せば解決するはず、とのこと。

普通に昨夜、WindowsをたたんでPC電源をオフしたときは何事もなかったのに、今朝いきなり言われなき“ライセンス切れ”表示になり、原因も何も説明ないまま1日2日放置すれば自然解決する「ことが多い」って、何か理不尽なような。ユーザーは曳かれ者か。放置しているその1日2日の間ウイルス対策はoffのままって不安ですよ?と言ったら、一応親切そな喋りの男性スタッフは「昨夜まで何事もなかったのであれば、昨夜までのウイルス定義更新はすべて有効になっているので、様子を見ている間の2~3日(←いつの間にか“1日2日”が“2~3日”になっている)に新しいウイルスの攻撃を受ける可能性は非常に少ない」とのこと。

確かにね。2005を使っていた約1年の間に“高危険度感知”の警告が出た回数は片手の指で足りるほどだったし。おっしゃる通りにしてみます、お宅、サポートセンターの担当はどちら様ですか?と男性に名前を尋ねると「○○です」珍しい苗字だ。「失礼ですがどちらのご出身ですか?ご迷惑でなければ」「中国です」…あらら。道理で「ヨースみていれば」って日本語が微妙だったわけだ。お世辞にもネット熟練者と言えないシロウトが初めての事態で「△△をクリックすると☆☆という画面が出て…」とたどたどしい状況説明、よく理解してくれたなぁ。

あとでいくつかブログ検索して見ると、シマンテック社のサポートの貧弱さ、土日・夜間に対応受付してくれないこと、テレフォンセンターのスタッフが日本人でないことなどは同社セキュリティ製品の大きな欠点として挙げている記事がすでに幾つもありましたね。この程度のトラブルにこの程度の対応してくれれば、平日午前というラッキーさもあって月河はほぼ満足ですが、夜中や週末前にこういうことになったら、軽くパニックですね。ちょっと2007、と言うより同社のソフト全般の利用自体を考え直さなければならなくなる。

ネットセキュリティ及びその自己責任という問題を初めてまじめに考えた、4月18日はちょっとした記念日になりました。…ちなみに“発明の日”でもあるらしいですよ。

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硝子とダイヤモンド

2007-04-17 20:42:43 | アート・文化

『暖流』第2話は、アメリカ留学仕込みのユートピア的地域医療論を一席ぶつ啓子/裏でリベート取ってるコソ泥事務長に帳簿出させて院長室で負債洗い出しをする日疋/のカットバックで、キャラと立ち位置を際立たせるなど、結構演出上の工夫がありました。

それにしても啓子=さとうやすえさんの、何か言い始めるたびに首に角度つけて切り出し、フレーズごとにクリクリ斜め左右に振る演技はちょっとどうにかしてほしいな。16世紀イタリア・マニエリスムの画家パルミジアニーノ『長い首の聖母』並みのプロポーションなので、言ってる内容以上にウルサく感じられ、つい「少し黙ってろ!」って言いたくなっちゃいます。

対して吟花=小西美帆さんは、小さな輪郭の顔に小さめの目、感情表現においては不利な容貌なのに、細かな情感の表出が上手ですね。志摩家での啓子帰国祝いの手土産にケーキを買って行こうとして、結局いちばん安いシュークリームを選び、手渡した志摩夫人が無造作に置いたテーブルにもっと高価そうなホールサイズのケーキがあるのを見て軽くショボン…の場面は吟花のキャラがよく表れていました。吟花の父は理想家肌の町医者だったのに、新築した診療所の経営に失敗し妻子を残して自殺したんですね。ここまでのところ、視聴者の大半が吟花に肩入れしてるんじゃないかな。

志摩院長(近藤正臣さん)はすでに健康がすぐれない様子。自分の先短いのを悟って日疋を招き、啓子と次男・泰則(村杉蝉之介さん)の身が立ち行くように病院再建を望んでいるのでしょうか。10年以上前の東海昼ドラ『炎の旅路』の山口崇さんを思い出します。昼ドラの“院長先生”キャラって、悪辣やゴウツク張りでなければ、なぜか短命なことが多ような気がします。近藤さんには最終話まで出て欲しいのですが。

キャストクレジットにかつての松竹大船の清純派スター・雪代敬子さんのお名前があるなと思ったら、1話で空港で倒れ啓子に蘇生処置ほどこされる洋装の老婦人だった様子。

そう言えばナレーター・三島ゆり子さんも雪代さんよりちょっと後の、こちらは東映京都撮影所の時代劇で活躍したお姫さま女優。先般NHK朝ドラ『芋たこなんきん』ではすっかり貫禄なお姿で健在アピールされていましたね“昭和映画テイスト”がこのドラマの浮沈を握っているかもしれません。

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マスクなさるべきね

2007-04-16 21:19:47 | テレビ番組

13:30~TBS系を観たのは久しぶりです。『暖流』第1話を録画視聴。原作が岸田國士の戯曲、やっぱり昭和文芸原作だと“何かあるだろう”と期待してしまいます。

横浜の大病院が舞台ですが、オーナー院長役・近藤正臣さんがさすが。やっぱりいいですね。ひとり娘(さとうやすえさん)の留学先からの便りに「待ってるよ、啓子♪」って、どんな溺愛パパだよ!と思いますが、近藤さんが演るとイヤらしくないんだなぁ。木下恵介アワー『冬の雲』辺りからずっと“屈折ある二枚目”を続けている近藤さん、めっきりシワまみれになったし頭髪も微妙になったけど、依然として屈折ある素敵なおじさま。かつては“二枚目にしてはネックかも…”と思えた身長の不足やキュンと上向きのお鼻も、いまとなってはかえってチャームポイントです。

ヒロイン啓子の幼なじみでいまは病院に雇われる看護師となった吟花(ぎんか)役・小西美帆さんはNHK朝ドラ『芋たこなんきん』に続くナース服。こう言っちゃなんですが小西さんは、美人なんだけど昭和チックな“貧乏くさ努力家”がよく似合う顔。

対する啓子のさとうやすえさんは、持ち前のクラシックバレエ仕込みのスタイルと立ち姿の美しさ、付け睫毛ビューラーびんびんメイクでセレブ感出しまくりですが、ちょっと“マンガの強気高慢お嬢”に類型的に固まり過ぎ。過去のこの原作映像化を調べてみると、この役は高峰三枝子さん、野添ひとみさん、岩下志麻さん、松坂慶子さんと“文句なし大輪の花”(←その時代のね)系の女優さんが演じていますよ。

時代が現代に移し替えられているし比べても仕方がないけれど、空港で今後の相手役となる日疋弁護士(山田純大さん)と鉢合わせしたとき、心臓発作の老婦人と遭遇して応急処置を施すときの演技など、“育ちや教養、毛並みのよさに裏打ちされたプライド”より、“単なる神経質なツンケン”に見えてしまうのは考えものです。お話が先に進まないとキャラの全貌が見えて来ませんが、たとえば『ガラスの仮面』の姫川亜弓のように、“「育ちがいいから」「恵まれてるから」と人に言われがちなのが逆コンプレックスで、人の先入観にお釣りが来るくらいの結果を出そうと、人目に触れないところで猛然と努力してきた”というのが啓子の魅力になるべきではないでしょうか。

元来が細おもてで吊り目で、求心的なキツネ系のお顔立ちだけに、もう少し眉の描き方だけでも再考されてはどうかな。いまのままでは、もっとたっぷりしたキャラのヒロインが別にいて、“そのヒロインに頭脳で挑む、自信家のいじめ役”に見えてしまいます。

ヒーローに当たる日疋弁護士役の山田純大さんは、いきなり風邪っ引きでくしゃみ連発の“ちょっとおマヌケ風”なたたずまいでの登場は、これから辣腕合理主義者の本性をあらわして行くと思われるだけに悪くないけど、如何せん相対するさとうさんがマンガの高慢令嬢なので、味を出し切れず空回り気味。この役は、76年の松坂慶子さんヒロイン版では、近藤正臣さんが演じたんですね。ドラマの物語世界がうまく立ち上がれば、近藤さんとはまた違った“野心家で打算的だけど、憎めなくてカッコいい”ヒーローになれそうですが。

この枠の昼ドラを観るのは05年『デザイナー』『メモリーオブラブ』ぐらい以来ですが、当時はお話の重さのわりに画面が白っぽく、セットや置き道具も妙に空間が多くスカスカだった印象しかありませんでした。久々に観ると、OPのキャストクレジットが縦書き行書体だったりなど細かいところが新鮮です。海岸で啓子・吟花・日疋・笹島(本宮泰風さん。女癖の悪い外科医)が後ろ姿で4人並ぶ映像は『仮面ライダー剣(ブレイド)』の後期OPを思い出させるふしもある。たぶん、この4人は最終回まで死んだり破滅したりはしないのでしょう。

それにしても、物語が現代の本編に入る前に、16年前の回想シーンで啓子と吟花の「ワタシたちずーっと親友よ」のやりとり、『母親失格』『麗わしき鬼』ほどではないけれど最近の昼ドラは“女同士の友情”を通奏低音にしないと成立しないのかな。主婦層、夜勤女性層、異性間の“悲恋”や“すれ違い”はもう飽きたんでしょうか。

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煽っちゃえ 煽っちゃえ

2007-04-15 18:41:48 | アニメ・コミック・ゲーム

もう30年以上前、70年代の初期ですが、のちに時代小説家として不動の地位を築く隆慶一郎さんの、脚本家専業時代の作品で『クラスメート ~高校生ブルース~』という6話の短期連続ドラマがありました。

ベテラン高校教師(故・田村高廣さん)が怪死、彼の大学の教え子で、穴埋め臨時教師としてその高校に赴任した女教師(故・武原英子さん。歌手錦野旦さんの最初の奥さん)が、さまざまな問題を抱える生徒たちと関わりあいながら恩師の死因の謎を解く…という筋立てで、当時から学園もの・教師ものが苦手だった月河も、再放送でしたから夕方4:00頃、走って帰宅し近藤正臣さんや赤塚真人さん、レインボーマン水谷邦久さん、故・沖雅也さんらが詰め襟姿で繰り広げるサスペンスに見入ったものでした。

そんなテイスト再びを微量期待して、『わたしたちの教科書』第1話(4月12日22:00~)を録画視聴。『孤独の賭け ~愛しき人よ~』と同枠なのでこちらは2台めのTVのアンテナ線をパソコンにつなぎ、えらい手間でしたが、どちらか引っ掛かりが残ったほうを2話以降録画続ければいいと思っていました。

引っ掛かりで言えば断然こちらの圧勝です。“笑わせてるつもりが笑われてる”、言わば“天然”な『孤独』に比べると、『わた教』はすべてが計算ずく、狙って狙っての確信犯。

一見平穏な公立中学校に臨時教員として赴任した、熱血教師に憧れるおぼこな新人教師・加地(伊藤淳史さん)の視線で物語は展開しますが、両親を失くし施設から通学する、ピュアだが奇矯な言動の女生徒・明日香(志田未来さん)に、異常に功利的で無愛想な若手女性弁護士(菅野美穂さん)がからみ、先輩・上司教師たちもちょっとずつ、あるいは大幅に、我々一般人が“こうあって欲しいと願う教師像”を逸脱して、ハラにイチモツありげで、ひと言で言うと、物語世界全体が“思わせぶり”

陰で深刻ないじめに遭っていたらしい明日香の学窓からの飛び降り、ホラー小説家気取りの女子生徒が“ポー様”と自称している等、萩尾望都さんの代表作である古典的大河漫画『ポーの一族』シリーズのギムナジウムものエピソード『小鳥の巣』を原案にしているふしもありますが、謎解き、真相探し、犯人当ての興味でこの先も引っ張っていこうとするとあざとくなりそう。菅野さん扮する弁護士が実は明日香の母親だったという仰天のカムアウトで1話終了しましたが、釈然としないこと山積。

母娘?の因縁、明日香を飛び降りに至らしめた校内の隠れた力関係、心理模様などはこれから加地目線で徐々に明らかにされていくのでしょうが、いま実社会でリアルに問題を抱えている公立中学校と教員たちを取り上げているだけに、後味の悪いお話になりそうな予感もします。

しかぁし!このドラマの七難も百難も隠す圧倒的な見どころに遭遇してしまいました。加地の先輩のヘンな教師たちのひとり、数学教師八幡(やはた)役・水嶋ヒロさん。彼のこのドラマへの出演自体は事前情報で知っていましたが、てっきり高校が舞台で、生徒役と思い込んでいました。教師役だったのかぁ。

もうね、すごいよ仮面ライダーカブト』での“天の道を行き、総てを司る男”はこの役のための、偉大なる助走に過ぎなかった(爆)。髪のウェーブをとってボブ風味に、黒縁ダサ風メガネが加わった以外、メイクや衣装で特別突飛な手は加えていないのに、天道時代の様子様子ぶったセリフ回しを、軽ーくユニセックス風味、“キモ座標”にシフトさせただけで一気の変身、いやイメチェン。

ひと組の男子生徒たちの遊び半分に始まって全校をパニックに巻きこんだ乱闘騒動の間じゅう、「やめろー、やめてー」と右往左往、終いには投げ出して座りこむ姿には、全国の『カブト』ウォッチャーが「何で変身しないんだ!」とツッコんだと思いますが、ピチピチのカットソーを着たヒョロヒョロの体躯は、こういう“非力で頼りない理系オタク”にこそぴったりなヴィジュアルだったんだな、と改めて微苦笑。

月河も02年『龍騎』以降、ずいぶん大勢の新人美形ヒーロー俳優さんを見て来ましたが、最近はヒーローといえども昭和のステレオタイプな熱血正義漢でなく、作品によって“変人”“天然”“スノッブ”、あるいは“おバカ”、ヘタしたら“凶暴”など、せっかく多彩な味付けでデビューしてきているのに、ヒーロー卒業後はお子さま&お母さんファンへの気遣いもあるのか、どうしても“カッコいい”の呪縛から自由になれない人が多いのがどうにも不満でした。これからのヒーローOBは、持ち前の恵まれたルックスを逆手にとって、もっと“怪優”路線で役の幅を広げてほしいと思っていた矢先。水嶋さんはその勇気ある尖兵となってくれそうです。

自室はアニメフィギュアに埋まり、プライベートではネット匿名掲示板どっぷりの危ないオタクキャラ設定とあれば、すべてを仕掛けたラスボスとして最終回を迎える可能性もあるかも。いいぞ世界を変えろ。ひたすら水嶋さん目当てで2話以降も観るぞコレ。同僚に佐藤二朗さん、大倉孝二さんなど芸達者の曲者が揃っていますが、出番、多くなりますように。スタッフさんカメラさんお願いしますよ。ヴィジュアル、真木よう子さん級なんだから。

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