イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

目くるめくってくれ

2009-05-18 18:12:20 | コスメ・ファッション

先週、知人の事務所で打ち合わせ中、小休止となって、「冷蔵庫にミネラルウォーターとか生茶とか入ってるから、勝手に開けて適当に飲んで」と言われた通り勝手に、適当にやっていたら、奥のほうにキリンビールらしき缶を、推定半ダース発見。

事務所に昼間からビールをストック?と訊いたら、以前は“昼オンタイム用”と“夜オフ用”の2基、冷蔵庫を設けていたそうですが、1基壊れたのでオンオフ兼用にしたとか。

意味がよくわかりませんね。

それはともかく、キリンビールはキリンビールでも、全面金色の見慣れない缶だったので、サッポロにおけるヱビス、SUNTORYにおけるザ・プレミアムモルツ的なポジションのラベル?と訊いたら、「残念でした。発泡酒。生活苦しいから」とのこと。

KIRIN円熟 ENJUKU。そう言えば昨年の今頃か、ハチャトゥリアン『仮面舞踏会』の一楽章が流れるCMを見かけた記憶があるような。

打ち合わせが明るいうちに終わってしまった上、一旦帰社するメンバーもいるので、いくらなんでも自分だけ勝手に一本いただいてくるわけにもいかず、帰途コンビニに寄ったら置いてなくて、お米屋さん兼業の、大きな酒屋さんにはありました“円熟”。

発泡酒・新ジャンルの“なんちゃって辛口”にはたびたびプチがっかりさせられているので、alc.6%と謳われてもどんなもんでしょう…と半信半疑で飲んだら、素直に美味しかった。嗜好品ですからあくまで個人の好みですが、同じKIRINの淡麗生シリーズよりこっちのが、断然と言っていいくらい美味ですよ。

ヤツがオフ用に推定半ダース、他の銘柄をさしおいてこれをストックしてあった理由がわかりました。今度は深い時間に打ち合わせが終わるようなタイミングで押しかけて行って、1本と言わず3本ぐらいかっぱらって来るとしよう。

KIRIN製の発泡酒は、同社の誇る“ラガー”の味をどこかでスタンダードとして、念頭に置いて作っているような傾向がありますが、この“円熟”は6%にもかかわらず、5%のラガーよりマイルドに感じます。高度数でありながら、ハードにドライにではなく、まろやかにこっくり方向なのは好感持てますね。

近場のコンビニ常備ではない様子なのが残念ですが、酒屋さんでは淡麗生、ZEROとも、サッポロの生絞りみがき麦、アサヒのスタイルフリー等ともお値段は一緒でした。高級、プレミアムっぽい金色缶に尻込みしては損。ちゃんと庶民の発泡酒です。

ビールの味って、化粧で言えばアイメイクのようなものだと思います。いくら目パッチリ、目鼻立ちくっきりの美人でも、日本人女性の顔の“目まわり”面積なんて知れています。ほんの1センチかそこらの幅に2色も3色も、4色ものアイシャドウやハイライトを塗り分け、アイラインが1ミリ長い短い、0.1ミリ細い太いで顔の印象がこんなに変わる、こんなに目が大きく見えるって騒いでいる。

ビールも同様で、泡が出てホロ苦くて飲みクチ・後味がサッパリ、というベースはみんな一緒で、あとは香味やらコクやらキレやらの、ほんの狭い範囲での高低・凹凸の世界です。

極端な話、「暑くて喉がかわいていれば、よく冷えてたら何社の何ラベルでも美味い」というのも正論。

それでも季節季節の変わり目に、各社必ず新製品・新ラベルをリリースするのは、ビールファンの心理に一定量「いつも飲んでるやつより、もっと美味いのがあるのではないか、あるに違いない」「いままで無くても、これから出るのではないか」という、静かに飽くなき野次馬根性みたいなものが存在するからでしょうね。同じ左党でも、ウイスキーや日本酒がメインの人には、こういう心理はないんじゃないでしょうか。

だから、ビール、発泡酒って、新しいのを出せば、少なくとも出した当座は、それなりに売れる。

「ただ洗うだけじゃないか」「ただ洗った後しっとりするだけじゃないか」と思うのに、次から次へとTV・新聞広告に登場する洗顔石鹸やスキンケア製品のよう。皆さん、もうウン十年も、毎日顔洗い続け、洗った後、何かしらつけ続けているのに、「ワタシの肌をもっと良くしてくれる、もっと良い石鹸が、化粧水が、美容液があるのではないか、あるに違いない」と心のどこかで思っている。だから次から次へと、異業種まで参入して、洗顔石鹸、スキンケア製品はリリースされ続けるのです。

肌をいまより良くするためには、肌の上っつらにいろいろ、ぺちゃぺちゃつけるより、まず内臓、内分泌代謝から。

早寝早起き、偏食間食、ジャンクフード、深酒を避けるのがいちばん………って最後の一つはどのクチが言うんだか。

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世界を開くのは誰だ

2009-05-17 16:25:02 | ニュース

民主党の新党首“兄ポッポ”こと鳩山由紀夫さん、友愛の政治とか自立と共生の社会とか、電波か?と思うようなメタフィジカルなキャッチコピーやスローガンをクチにされるのにはいまさら驚きもあきれもしませんが、それらに混じって「全員野球で」とはいかがなものかと。そこだけ切り取ったようにオヤジ修辞。

高校野球、特に、プロスカウトが注目するようなスター選手を擁しない地方の無名公立校の監督さんがよくインタヴューで使いますよね。鳩山さんとしては、党首選で100票近く集めた岡田克也さん、とりわけ党首辞任したけど依然として選挙剛腕は錆びつかせていないはずの小沢一郎さんとその一派を“お客さんにしない”“民主党はどこかの党のような派閥争いはなく、政権奪取に一丸”ということを強調したかったのでしょうけれど、なんでそこで唐突に、野球持ってくるかな。

鳩山さんという人、小泉純一郎さんとはちょっと違うニュアンスで“変人”なんだろうなと思います。「浮き世離れしている」という表現で評する人もいますね。東大は東大でも、政治家に多い法学部ではなく工学部出身。友愛だ共生だも含めて、語彙選択のセンス・遠近感の独特さ、TVニュースなどでぶら下がりコメント求められたときの、両棲類的な低テンションも含めて、“言語の人”でなく“数理の人”なのかもしれません。

93年の細川護煕さん首班で内閣官房副長官として入閣時、ご自分でクルマ運転して、フロントグラス越しにフラッシュたかれて微妙に目を丸くしながら官邸玄関まで乗りつけられたときは、この人おもしろいなぁと思いましたけどね。閣僚呼び込みと言えば、呼ばれた人はたいてい運転手つきの車で後部座席から下車されるのが常ですから、自民党55年体制の崩壊、細川“殿”の登城と相俟って、“新しい時代到来”感がありました。

その後、結構“長いものに巻かれ体質”、“自分は矢おもてに立ちたくない体質”なのがじわじわ露見してきちゃいましたが。

それにしても、“全員○○”○○に来る部分、何ゆえ“野球”でなければならないんでしょうね。サッカーのクラブ監督や代表監督が「ウチは全員サッカーでいきます」と言うのを聞いた記憶はありません。オリンピックの体操や、こないだやってた世界卓球にも団体戦はあるようだし、剣道の試合も団体戦で最後に主将同士が立ち会いますが「全員体操」「全員卓球」「全員剣道」とは言わない。

「全員体操」なんて言ったら軍隊か、普通にラジオ体操が思い浮かびますしね。

“全員○○”というイメージと、野球というスポーツ種目のイメージとに親和性が高いのかもしれません。日本で野球が、相撲や柔道以上に、“プレイするスポーツ”としても“観戦エンタメ”としても草の根国技化しているのは、必ずしも敗戦後の“なんでもかんでもUSA傾倒”だけが理由ではないようです。

あれかな、今度の選挙でまかり間違…じゃなくて…えーと、何だ、民意に後押しされて、民主党が勝利して鳩山首班となったら「全員政治」「全員内閣」とか言い出すのかな。

なんだかスキマスイッチ『全力少年』みたいですが。

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おイモがポテッと

2009-05-16 17:35:05 | 昼ドラマ

えー、『エゴイスト egoist~』を視聴中の皆さんの中で、『特捜戦隊デカレンジャー』のホージー役から林剛史さんに好感を持って視聴始めた向きはどれくらいおられるのでしょうか。月河は確実にそのひとりですが。

その後、お元気ですか。清水由貴子さんが残念なことになって日も浅いのに“お元気ですか”ってのもナンなんですけど、まー絵に描いたような、優柔不断昼ドラダメ男になっちゃいましたね、林さん扮する郷田俊介坊ちゃま。

昼帯この枠に、ママさんたちのあこがれ特撮ヒーロー俳優さんの参戦は毎度のことですが、残念ながら特撮ヒーローのように“全方位カッコよく、男も惚れる男らしい男”“女性なら誰もがぜひ恋人に、理想の夫にと夢見るタイプ”の男性キャラが登場したためしがないのが昼帯でもあるのです。

昼帯は、おもに女性の情念のベクトルの衝突ともつれ合いでもっている世界ですから、男性キャラ、特にヒロイン相手役は、あるときはヒロインにラブラブ、あるときは恋敵にコロリ、またあるときは第三の女性にフラフラ、女性キャラの嫉妬や対抗意識やプライドを煽り刺激し油を注いで、ストーリー前進の原動力となす“ツール”のような存在でしかないことが多い。

それも、観客として「あれだけの男なら、絶対手放したくないよね」「ヒロイン頑張れ、略奪しちゃえ、男もこっち向け」と思えるような男であることはほとんどありません。「あんなの敵役にノシつけて譲っちゃいなよ」「いっそヒロインと恋敵たちとで仕事に趣味に楽しく暮らして、男は野垂れ死にでいいよ」と思うこともしばしば。

今作で林さん扮する俊介坊ちゃま、手近な女性(しかも女性同士身内)と軽率に関係しては→「責任は取る。」のリフレインで、15日には身ごもった明里(吉井怜さん)にすら「誰にでもそう(=結婚しようと)言うのね」とあきれられてる始末。

亡き父の後妻で義母たる玲子(川島なお美さん)とは、ニッパチで俊介のほうが重症の共依存(玲子には女優のプライドと体面意識あり)、明里とは“こんなボクでもしてあげられることがある”“ボクと似た孤独を背負っているこのヒトに、できるだけのことはしてあげたい”との同情寄りの共感、香里(宮地真緒さん)とは大切なものを横からかっ攫われた腹いせ同士。その場その場の、でもその場限りは一応真剣な感情で、次々関係結ぶ結ぶ。

この3人の中で、誰が本命かと言えば、ドラマ的に純粋なのは明里への思いでしょうが、見ようによっては全員、“緊急避難”ともとれるんですね。

香里とのそれに至っては、“正当防衛”にすら近い。俊介から“狩りに行って次々落として鼻高々”なわけではない、居心地いいほう、ラクなほう、摩擦抵抗の少ないほうを採っていったら、あらら、こうなっちゃったという“なしくずし草食系だめんず”です。

確信犯的にあっちの女、こっちの女と“攻めて自滅”な、肉食というか、雑食だめんずも昼帯には少なくないわけですが、昼帯のメイン客層が既婚女性、未婚でも若さ爆発ではない年代の女性であることを考え合わせると、女性には“白馬の王子様”願望と同じくらい、「アンタがダメなのよっ、しっかりしなさいよ、この腰抜け!」と“男を思うさまどやしつけたい願望”もあるのでしょう。昼帯ドラマはそこを見越して掬い取っているのです。

結局女性は、男性と向き合うとき、恋人でも夫婦でも、師弟でも上司部下でも、「しっかりしてよ、しっかりしてくれないとワタシが困るのよ」「もっと出来るコだと思うから期待するし、要求するのよ」「外でどんなにダメでも、ワタシだけは貴方を信じてるし見守ってるんだから、よそで甘えずにワタシを頼ってね」「ホラ、やっぱりワタシがついてないとダメでしょう、ついていたら出来たでしょう」という、“母⇔息子のターム”に帰着してしまうのかもしれない。

逆に、“母親役”のしんどさ、間尺に合わなさ、やってられなさが身にしみて、女性たちがそこから尻込みし嫌悪し始めているから、恋愛ドラマも、恋愛小説も低調になってきたとも言える。

男女間すべからく“母⇔息子”性の普遍に、年齢差や地位差も関係ない。NHK『つばさ』の真瀬(宅間孝行さん)も、いくら威張っても怒っても、どんどんオカンつばさ(多部未華子さん)の掌で踊る息子化してきましたね。

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ミッシング“リンク”

2009-05-15 18:55:11 | デジタル・インターネット

先日は、インターネットを使っていてドキッとすることがありました。

いつもよく読みに寄るBBSで、ちょうどいま調べている件に関連がありそうな、或る個人のブログ記事のリンクをクリックしたら、目指す記事は読めたのですが、“戻る”ボタンで元に戻らなくなってしまったんです。

…と言うと所謂“フリーズ”のようですが、正確にはそうじゃありませんね。IE 7のタブが、リンク先に行ったままどんどん増殖というか、自己複製を始めて止まらなくなっちゃったんですよ。

当該個人ブログに問題があったとは思えません。ブログ主は斯界では有名な人でファンも多く、月河も何年か前に別件で参照させてもらいました。ブログサービスもブログ界でユーザー数5本の指に入るメジャーな会社のものです。

それにしても、戻しても戻しても反応がなく、閉じるボタン押してもその都度タブを増やして行く状況が、ドンズバ“癌細胞”や“ウイルス”を連想させて、コレ踏んじゃいけないとこ踏んじゃったかも…と気味が悪くなり、タスクバー内のウイルスバスターのアイコンは“保護されています”のままでしたが、ちょうどWordも起動させていなかったのを幸い、PCごと強制終了させてしまいました。

リンク元の掲示板も、結構歴史のある、アクセス数も多いところですしね。何が原因でああなったのか、いまだにわかりません。12分おいての再起動後、当該個人ブログは、キーワードを立てて検索サイトからリンクし直しましたが、増殖のきっかけになったページもその他のページも、まったく問題なく閲覧できましたから、問題があるとすれば掲示板の、リンク機能が一時的に不調だったのかもしれませんね。

不調ならば不調で“リンクで飛べない”か、単純にフリーズ式の不調ならまだわかりやすかったのにね。増殖ときたか。

ネットユーザーになってまる3年ですが、本当にまだまだネットにも、OSにも、PC本体にもわからないことだらけです。わからないことが多いということは、“こうなったときどうしたらいいか知らない”ことが多いだけではなく、“できるのに知らない”ことが多いということでもあるでしょう。

「トラブル発生してから、俄かにどうする、どうしたらいいと目次を探すより、日頃順調に使えているときから、購入時のPCマニュアルは全巻手元に揃えて、新聞や雑誌を読むように、一日一章でも一項目でも読んで、こんなことができるのかと興味が沸いたら、いたずらのつもりで操作してみるといい」「PCはとにかくさわること、いじってみること」と、80年代からのPCベテランのかたはクチを揃えてアドヴァイスしてくれるのですが、読みも、いじりも、実行してませんもんね。

マニュアル自体お世辞にも読みやすい版型、文体じゃないし、やったことのない操作をして、経験したことのない面倒に出くわしたらイヤだなというほうが先に立つので、“興味が沸いたらいじってみる”気にもあんまりなれないんですな。

結局、ネット検索エンジンと、動画や音楽のDLCDDVDの再生視聴、WordEXCELにメール、あとこのブログを書くぐらいしかいまだに身につかないという現状。しかも、“行きつけのサイトからリンク”という、慣れたはずの、当節小学生でもできる単純な操作ですら、今回のような不測の事態が出来するので油断も隙もなりません。

あ、それでもね、最近、ささやかですが、PCに関し目標らしきものが見えてきたんですよ。次クール昼帯ドラマ『夏の秘密』のメイン演出を担当される奥村正彦監督のブログに、iPodを愛用されているとの記述が。

世代的にではなく、いままで視聴する機会のあったドラマ作品の演出作風から推して、デジタル親和なタイプとはお見受けしなかった奥村さんでも、いまや撮影収録、演出プランニングのお伴にiPodなわけですよ。

個人的なFMラジオ黄金時代の97年頃、当地のNORTH WAVEでは深夜、『MIDNIGHT INDIGO』という魅力的な番組がありました。

ハウスやR&Bのノンストップで、これが昼間好きなときに聴けたら最高だなと思い、生まれて初めてカセットウォークマンを購入。ところが3年ちょっとであきれるくらいテープがびろびろたるむようになり、その頃から昔ほど通勤・外回りに時間を取られなくなったこともあって、近年の携帯デジタル音楽プレイヤー類には購買意欲をそそられなかったのですが、気がつけば昨年夏に機種変した携帯電話に、SDメモリーカードとかいう媒体を通じて、999タイトルだか音楽データを記録して再生できる容量があるらしいんですね。

お気にのCDから入れ込んで、出先で聴けるように、いまからでも携帯とPCのマニュアル首っぴきで挑戦してみようかと思っているんです。Media Playerなら再生で毎日使ってるし…と思ったら、“充電機能付きUSBケーブル01”ってのが、PCと携帯をつなぐのに必要って書いてあるな。別売りかぁ。めんどくさいな。

ほれ、この、何でも「めんどくさい」に帰着する料簡が良くないんだよね。このせいで、手を出してなかった新しいスキルがひとつも身につかない。

安売りのデジタルウォークマンでも買うほうが早いかな。でも、いまの携帯以上に、鐚一文触ったことないしなあ。

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au pas camarade

2009-05-14 00:03:17 | ラジオ

『クラリネットをこわしちゃった』という歌、昔NHK『みんなのうた』で聴き覚えたという、年上の従姉のそのまた親しい友達がお気に入りで、実家に一緒に遊びに来たときに♪ パパからもらったクラ~リネット と教えてくれたのですが、子供時代この歌、正直、ものすごく苦手で、聴きたくない、聞こえてきたら耳ふさいで逃げたくなる、歌えと言われても歌いたくない歌のひとつでした。

 うんと幼いとき、食器や玩具を壊しちゃったときの、どうにもこうにもばつの悪ーい、やりきれない気分がよみがえってくるからなんですね。

 実家の母は、小っさい子供を育てている母親としては珍しく、“子供がモノを壊したとき絶対怒らない、叱らない人”でした。チビ月河が何かをガチャンと落としたりぶつけたりすると、決まって「ケガしなかった?」と訊くけれど、壊れたモノのことはまったく惜しまず、責めなかったものです(まぁ、壊してオオゴトになるほど高価で貴重なモノが、子供の手に触れるほどそこらじゅうにある家じゃなかったってこともありますが)。

 子供としては、ガチャンという音と、砕けたり折れたり散らばったりしているモノの眺めだけでじゅうぶんショックなのですが、「これは絶対怒られるだろう」と思ったときに「ケガしなかった?」で、以下不問だと、それはそれで結構プレッシャーなものです。

実家母のこういう対応は、のちに一時同居することになった祖母(正確には母の養母ですが)の人となりや言動に接するとなんとなくわかりました。自家営業でひところ、かなりの人数の若い女性を雇って仕事をすることになった祖母は、「年端も行かない若い子に、商売モノを粗相されていちいちガミガミ咎めていては、毎日やっていけない」「ケガをされたら泣かれるから、そっちのほうが商売に差し支える」「次から気をつけてねと念押したほうが本人はこたえるし、今後のためにもなる」を肝に銘じていたようで、実家母もその薫陶を受けていたらしいです。

それにしても、チビ月河としては、怒られるぞと身構えたときに怒られないストレスって、逆に度重なると相当なもので、♪ パパもだいじにしてたのに 見つけられたらしかられる… 辺りに来ると「これは聴いちゃいけないモノを聴いてるな」と、まるで歌詞中の“ボク”になったような気がしていたたまれなくなっていたものです。

ところが、ずいぶんあとになってからですが、ふと気がついたんですね。「この歌、ぶっちゃけクラリネット壊れてないな」と。

2番の歌詞では♪ ドとレとミの音がでない ドとレとミの音がでない ですが、3番になると“ボク”も開き直ったのか、♪ ドとレとミとソとラとシの音がでない と正直に歌われていて、要するに“パパが自慢のクラリネットを、「オマエにやろう」と言ってくれたので、留守中にパパのマネして吹いてみたら、パパがいつも吹いてるときみたいな音程にならない、これは壊しちゃったに違いない、パパに怒られる、どうしよう”と、吹き方を知らないいたずらボウズが勝手にアワくって泣きそうになってる、という、トボけた歌らしいのでした。なんだ、パパ帰宅後は、笑って正しく吹いて聞かせてくれて、“ボク”ホッとしてまた泣いちゃうんじゃないかみたいな、微笑ましい歌だったのだ。“ボク”の年齢と音楽教育進度がどの程度に設定されているかわかりませんが、子供の手とクチで、大人の正式な木管楽器、見よう見まねでいきなり御せるわけないしね。

これがわかって以来、この歌、結構好きになりました。

52日(土)のNHK FM『今日は一日みんなのうた三昧』にリクエストしようと思っていたのですが、当日日中のリクエスト受付時間中はPCアクセスもFAXもできず、果たせずにいたら、、今朝(13日)900過ぎの同局『日本のうた 世界の歌』で偶然フルコーラス聴くことができました。

ちなみに、詳しく調べると、原曲がフランス語のこの歌、『みんなのうた』でもおなじみの日本語詞はシャンソンの大御所石井好子さんによるものですが、フランス原詞では1コーラスずつ♪ ドの音がでない  レの音がでない… と順に一音ずつ気がついていって、“ボク”の どうしよう どうしよう の緊張と動揺も高まっていく、というスリリングな構成になっているようです。一種の数え歌に近いですね。♪ ひとつ出たホイの来たホイのホイ ひとりムスメとする時は… みたいなものでしょうか。なんちゅう喩えだ。おーぱっちむらーのぱっちむらーのぱおぱおぱっぱっぱ。

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