★『カワサキアーカイブス & 私のアーカイブス』も、
この10回目で最後となる。
昭和32年(1957)川崎航空機に入社以来の約40年間の現役生活は、
その殆どをカワサキの単車事業と一緒に歩んだのだが、
自分でも結構満足できるものだったと思っている。
その最後の質問は『後輩に送る言葉と座右の銘は?』だったのだが、
『後輩に送る言葉』は、躊躇なく即座に
Kawasaki Let the Good Times roll ! と答えたのである。
初めて出会った1974年当時はまだ42歳だった。
アメリカのKMCで創られたこのコンセプトに甚く感銘したのだが、
KMCでもその後、いつの間にか消えてしまっていたのである。
然し、私の人生の中ではその後もずっと一緒に歩いてくれたコンセプトで、
いつの日にかどこかで、と思っていたのだが、
20年も経った1990年代の国内市場担当時代に、
KMJで復活したのである。
明石のショールームに飾っていたのだが、
今もどこかに残っているのだろうか?
私が国内で復活し、
高橋鐵郎さんが事業本部での世界展開にして、
田崎雅元さんが川崎重工業のコンセプトにもしたのだが、
その後、一時消えかかった時期もあったのである。
その頃、カワサキで消えても世間で残そうと
NPO 法人 The Good Times を立ち上げて、
髙橋鐵郎さんにもその相談役になって頂いたのである。
アメリカで創られたコンセプトなので正規の日本訳はないのだが
高橋鐵郎さんが常に言われてたのは
『カワサキに出会う人たちが、みんなハッピーになるような活動を
カワサキは転がし続けます』 だったのである。
そんなことから、カワサキの後輩たちには『この言葉を送りたい』と思ったのである。
★ このアーカイブスが作られたのは2019年のことだったのだが、
それから2年が経過して、
今年10月1日付で新しく『カワサキモータース』がスタートしたのだが
その新会社の新しいミッションに
Kawasaki Let the Good Times roll ! が採用され、
その新ブランドロゴは、このように一新されたのである。
これで、もうこのコンセプトは永久に消えることはないのだろう。
川重の橋本社長はじめ、新会社の首脳陣の方々に感謝である。
★ 『座右の銘は?』と言われて
『人の不幸を喜ぶ者は自らの無力を恥じよ』という言葉だと答えた。
これは吉田茂内閣の副総理であった緒方竹虎の言葉である。
若いころ新聞で、緒方さんが語っておられるのを見て、
このように生きたいと思ったのである。
『人の不幸を喜んだりはしない』と思うのだが
よく考えてみるとそうでもないのである。
レースでも相手がこけたら喜ぶし
会社でも、競争相手が失敗したら内心喜んだりするのである。
『自分にそれだけの実力がない』ということなので、
私は自分に厳しく生きたいと思っているのである。
Let the Good Times roll. もある意味『座右の銘』とも言えるかも。
それくらい私は一緒に歩いてきた。
Furuya. Let the Good Times roll !
『私に出会う人たちが、ハッピーになるように』行動しようと常に思ったのである。
そんな人生を送りたいと思って生きてきたが、
もう88歳、米寿を迎えてしまっている。
『人の不幸を喜ばない』ほどの実力は付けられぬまま終わりそうだが、
『私に出会った人たちがハッピーになるような行動』は
何とか出来たのではないかなと思ったりもしているのである。
人生の終わり近くに、
こんな『アーカイブス』を創ってくれて
『カワサキの歴史』を語らせてくれた『Kawasaki』に感謝なのである。
最後に、私の川崎航空機入社以来の略歴である。
カワサキが単車事業をスタートした1960年以降退職するまで、
一貫してカワサキの二輪事業と共に歩めたことは
ハッピーだったと思っている。