『自社の持つ複数の技術を組み合わせ、新しい環境エネルギービジネスを産み出そうとする動きが、重工、造船各社に広がりだした。
温暖化対策が活発化する中、業界にありがちな組織の縦割りの壁を破って総合力で勝負する。』
と記事には紹介されている。
『川崎重工業は、10月に船舶、油圧機器、プラント機械の3子会社を本社と統合する。独立採算制を掲げ、分社化したが、新たな環境ビジネスを提供するために、技術や人材を再結集する。』と書かれている。
実は、川重のこの話は、私は新聞情報ではなしに、
潮流、海流発電の『ノヴァエネルギー』の鈴木さんに、
『川重の3つの部門が統合されて、潮流、海流発電のために、組織変更されたみたいだ。』
などと神戸新聞の記事を読んで喜んで伝えてくれたので知ったのである。
これは一般のかたの素直な感想なのだろう。
確かに、今後の環境エネルギー事業は有望である。
だから、『主力事業』として捉える、これはいい。
3つの部門を統合して、総合力を発揮する。
「?」ほんとに部門統合したら、総合力が発揮されるだろうか?
それがホンネの理由なら、ちょっと発想が単細胞過ぎないか。
折角、分社して独立採算制を採り、いい経営成果を挙げているものを、
わざわざ重たくするような統合がほんとに効果を発揮するのだろうか?
単なる「3社統合」をして、少し大きな子会社にするなら、まだ解るが、
それを川重本社自体と『統合する』と言うことになると、
単純に総合力の発揮とか、『縦割りの弊害除去』などの表面上のきれいごとではなくて、
もっとほかの、サラリーマン独特の『思い』が裏に見られるような気がしてならないのである。
サラリーマンが権限が出来たときに、誰でも最初にやりたがるのが『組織変更』である。
事業機能の効率化を図るために、組織変更をするのも確かに一つの方法である。
然し現実には、ほんとにそれはその目的どおりに機能することは意外に少ないのである。
新しい機能の組織を新しく作るのなら、よく解るが、
今まであるものを単に統合するだけでは、あまり中身は変わるはずもない。
同じ仕事でも、子会社の肩書きより、少し大きな本社の肩書きの名刺のほうがいいと言うような気持ちが若し少しでもあれば、ダメだなと思う。
また、本体の利益がもう一つだから、業績のいい子会社を取り込もう、
これも解らぬではないが、対策としては、もう一つである。
一番の問題は、新聞記事にあるように、
『タテ型の壁』が一つの部門に『統合することにより改善される』と思うのは、
これは『錯覚』以外のナニモノでもない。
発想の転換をして、仕事のやり方を根本的に変えない限り、『タテ型の弊害の除去』などは出来ないのである。
これは『体質の転換』を意味していて、ちょっとやそっとでは動かないものである。
造船重機という重い体質から、少しは『柔軟な柔工業』になったかなと思ったりしているのだが、
その中枢を支えた汎用機事業が今ちょっと苦しくて、元の『重工長大』の体質へ逆戻りの道を歩くのは、これは時流への逆行だと思っている。
その汎用機事業も、川重の中枢に量産事業がわかっている人が少なくなった現在、子会社として独立したほうが、川重の中にいるよりもいいのではと、ホンネで思っている。
成績の悪い今のほうがそのチャンスだが、果たしてこの数年よかった時期に販社の体力をどのように維持しているのか、或いは本部に吸い上げてしまったのか?
このアタリが二輪事業のキーなのである。
今の、価値観も何事も多様化した世の中の経営は、単純明快な解はないのだろう。
朝日の記事は、いかにも単純明快すぎると思った、記事を読んでの率直な感想である。
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