きさらぎあやし
春の前あたらしき鬼入れ替えて昏き陽の眼を惑いつつ撃つ
また来たる春と正月如月の逸る心を捨てる新月
樹もはだか風は荒れ吹く夕まぐれ気配を見せよあやかしの者
緩慢に斬る意思一つ捧げ持つ紙魚より遅き鎖付く足
貪欲に鏡の中の深みより出づべき声を待つや今宵も
夜の街張り付く寒の間隙にタワーは妖し翠にあやし
冬眠といつわる惰眠至福なりほどなく長き眠りの無明
あるままの夕日の中の澪標弥勒の袂イカロス行けず
うるわしき二月如月仲春に衣を替えて人の傲慢
あやうさをはらんで過ぎる如月は良きも悪しきも花の聲して
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ちょっと、言葉の冒険をしてみました。自分の歌のありようを考える時、
言葉や思考の領域を広げるためにも冒険は必然です。
成功しているかどうかは別次元の問題です。
画像も少し添付します。花はホトケノザ・ハナニラ・紅梅の順です。