ストーンズが ビートルズのLET IT BEを意識して LET IT BLEEDというタイトルのアルバムを出したと思われている方もいるかもしれません。しかし、実際はLET IT BLEEDはLET IT BEより5ヶ月以上早い1969年12月発売されています。LET IT BE がビートルズの最後のアルバムとして大きな話題となり印象に残っていますので、オン・タイムで双方のアルバムを聴いていない限りそのような感じを持つかもしれません。
当時はストーンズにしろ、その他のバンドにしろ、大なり小なりなんらかの影響はビートルズから受けていましたが、ストーンズは、1968年頃からブルースをさらに煮詰めた原点回帰を図り、独自のサウンドで BEGGAR’S BANQUETや LET IT BLEEDを制作し、唯一無二の最強のロック・バンドへと進化しました。
今回紹介するLET IT BLEEDは、ビートルズの後追いからは完全に抜け出し、他の誰もが真似出来ないようなユニークなサウンドを作り出しています。
その頃ブライアン・ジョーンズが解雇されて手が足りなかったのも一因と思いますが、今までになくこのアルバムには曲ごとに多彩なゲストを迎えています。ライ・クーダー、ニッキー・ホプキンス、レオン・ラッセル、アル・クーパーなど豪華メンバーが参加しそれぞれの曲に厚みを加えています。特にR&Bシンガーのメリー・クレイトンがギミー・シェルターでミックと対等にボーカルを分け合い、迫力のあるボーカルで聴くものを圧倒させます。
この辺りがストーンズの懐の深いところであって、ゲストに自由に個性発揮させ、それをうまく取り込みストーンズのサウンドを完成させています。
ビートルズの場合はこうはいきません。ストリングスやホーン、それにジョージのインド音楽関連のミュージシャンなどの起用以外は、ほとんどの場合自前で演奏していました。そのためビートルズの後期のアルバムに参加したエリック・クラプトンやビリー・プレストンのように確たる音楽的才能を持ちかつバンド内での緩衝役を果たすことが出来なければ、ビートルズのセッションにはお呼びがかからないでしょう。まあ、当時ジョンとポールの間に入ってビビらないで自身を主張しロックを演奏できる人はそう多くいなかったのもありますが。
ストーンズのABKCOレーベル時代の集大成のLET IT BLEED、相変わらず彼ららしく物議を醸し出す言葉があちこちに散りばめられていますが、それらが溶け込みメロディーと一体化したヘビーなブルース一度聴いてみてください。
Let it Bleed_Rolling Stones