アーロ・ガスリーといえばディランが崇めた流浪のフォーク・シンガー、ウディ・ガスリーの息子。
その彼も親と同じ道を辿りフォーク・ミュージシャンとなる。
そのデビューはのちに彼主演で映画化もされた1967年のライブ収録のアルバムAlice’s Restaurant。
(Alice’s Restaurant Massacreeを収録した1977年のベスト・アルバム)
18分30秒にも及ぶAlice’s Restaurant Massacreeは私のような英語不得手のレベルではかなりの難攻不落の強敵となる。
牧伸二のあ〜あ、いゃんなっちゃった、あ〜あ〜あ、驚いた〜と言う出だしのウクレレ片手の歌謡漫談のような形式で、フィンガー・スタイルのラグタイム・ギターの伴奏に歌と語りが入り混じる構成。
You can get anything you want to Alice’s restaurant
Walk right in, it around the back
Just a half a mile from railroad track
と言う歌の文句は聞き取れるが、語りの箇所となると字幕なしの洋画を見るのと同じで一体何の事を言っているのか判らないし、当然他の観客が笑うタイミングもつかめない。
てな事でインターネットに出ていた歌詞を眺めてみると、
数年前に友人のアリスが住む教会を訪ねた。一宿一飯の恩義を感じ教会の清掃の後、500キロのゴミ赤のワーゲンのマイクロ・バスに積み込んでゴミ処理場へと向かったが、生憎感謝祭の休日で処理場は閉まっており偶然見つけた既に他のゴミが投下されていた道端に投棄したところ、不法投棄って事で警察に逮捕勾留と相成る。
アリスによって保釈されたがその後流れ作業の様な裁判であっさりと有罪確定、罰金50ドルと投棄ゴミの回収。
この話が伏線となって、その後ニューヨークにある徴兵検査場に出向いた時、そこで徴兵逃れを意図したのか反抗的な突飛な行動を示したところ、問題ありとされ同類の連中が集うグループに括られて再聴取。
そして過去の不法投棄による犯罪歴により徴兵不適格者と認定された。
同じような経験があれば、アーロのギターをバックに是非語っていただきたい、てな感じの歌ですかね。
当時はベトナム戦争が泥沼化していた時期で20〜25歳の若者は抽選で徴兵されたそうな。
特権階級の議員や富豪の息子は徴兵から逃れられるとCCRが皮肉って歌ったFortunate Sonもあるように、義務とはいえ誰しも兵役を逃れたい。
Alice’s Restaurant Massacreeはこの時代のユーモア調だけど毒の効いた反戦歌ですね。
レノンの歌うImagineのような理想の世の中になってくれればいいのですがね。
ただ古今東西、強い者が弱い者のマウントを取り支配する欲望癖は未だ衰えず、全く歯止めが掛からず戦争の種子はあちこちばら撒かれいるのが現実でありまして…
このアルバム、英語の個人的聴き取り能力次第で長尺の語り部分の多いAlice’s Restaurant MassacreeやMotorcycle Songなんかは退屈に感じるかも知れないが、その他の収録曲は哀愁のホーボー・ブルースって雰囲気を醸し出していて中々よろし〜